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168.マエズラ族の意識改革

 とにかくマエズラ族の意識改革が必至である。こいつらは周りの国々からは蛮族と呼ばれ、腹が減ると食料を略奪に行く種族だったのだ。北の都市同盟も全くおかしな住民を押し付けたものだ。こんな住民と知れば、最初に断っていたものを、うまく乗せられたのだ。今でもあの時の市長たちに怒鳴り込んでいきたいものだ。さすが商人といったところか、まさに「生き馬の目を抜く」とはよく言ったものだと思った。


 愚痴を言っていても仕方がないので、この種族の意識改革をすることにした。まず「人の物は取らない」これを教え込まなければならない。そこで、極寒の地に赴任してくれる従士を募集した。前回給料5割増しでやっと最低人数を集めたわけだが、今回は2回目ということで、さすがにそんな奇特な人は集まらなかった。


 彼らの人口は約10万人、50人に1人の教師をつけるとすると2000人は必要である。何か人を集める手段はないものかと思案した。


 そこで、前回「借金を抱えた農家に借金を肩代わりする」と言ったら多くの農家が応募してきたことを思い出した。そこで、今回も農家の借金を肩代わりする代わりに現地に家族ごと赴任してもらうことにした。


 別に難しいことを教えるわけではないのである。「最低限の読み書きと、人の物をとらない」これさえ教えてもらえればいいのである。別に従士のように高度な教育を受けた者を派遣する必要はないのである。


 そこで、領内の農家から借金をかかえた農家を募集した。条件は家族ぐるみで極寒の地に赴任して、現地の人間を教育すること。衣食住完備。農家の抱える借金は領主が全額肩代わりする。という内容で募集したら、シャランナント地方とモンホーラバル地方からの応募は少なかったが、新しく俺の領地になったガスオクシタ地方とアルジュル地方からは多くの応募があった。一番多かったのはポルイスト王国の辺境伯領であった。俺の領地でこんなに貧しい人々がいるということには今更ながら驚かされた。応募が多かったので当初の2000家族から倍の4000家族を送ることにした。そしたら、その家族から「農業は続けられるのか」と聞かれたので、「都市の周りの農地を広げたら、そこで耕作ができるようにする」と約束した。


 応募してきた農家を軍艦の周回に合わせて現地に送りながら、俺は現地に転移して、植民都市のなかに学校を随所に作った。また都市の周りの農地を広げていった。そして、現地の従士に依頼して配属先を決めてもらうとともに、職員宿舎の建設を行っていった。そうしていると用地が不足してきたので、せっかく作った都市であったが城壁を一部取り壊して都市を拡大していった。


 このようにして始まったマエズラ族の意識改革であるが、マエズラ族があまり学校に来ないという問題に突き当たった。そこで、学校に行かないものはサウナの利用を禁止するという通達を出した。これは効いたようで、すべてのマエズラ族が学校に来るようになった。


 どんな授業が行われているのか一度学校を見に行った。そうしたら、ひどいものであった、一応学校には来ているが、教師の言葉を聞いている者はほとんどいない。どうしたものか思案したが、彼らの関心はサウナと食べることである。サウナはもう使っているので、食で釣ることにした。テストでいい点を取った者には俺が南大陸の王国から輸入している南方産の甘い果実を与えるという通知を出した。そうしたら少しはやる気が出たようである。特に子供のやる気が出ているようでうれしかった。


 このようにして始まったマエズラ族の意識改革であるが、前途多難である。


 王国歴344年6月、マエズラ王国の国民の意識改革に頭を悩ますハルト34歳、植民都市マエズラは今日も平和である。

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