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159.領地の施設整備と家族の出産と結婚

 マリーのことも気持ちの整理がついたので、新しく領地になった地方の施設整備をすることにした。まず、簡単な方、ガスオクシタ地方とアルジュル地方から始めることにした。


 先ず災害対策と道路整備をすることにした。魔道馬車で現地に行くと、この地方は平野が多く河川の流れも緩やかで災害が起きそうなところはない。そこでガスオクシタ地方とアルジュル地方の主要都市を結ぶ街道を既存の街道を再整備する形で整備していった。


 これなら早い、することは道幅を広げて舗装と言ってもクレイ舗装だけど、をするだけである。平野部の道路整備はすぐにできた。


 そこから山間部に入って愕然とした。山肌を見ると真砂土である。どこで崩れてもおかしくない。真砂土は花崗岩の風化した土で、もろく降雨によってすぐに崩れる。流れ盤だとそのまま滑ってくるし、受け盤だと山肌のチャートなどの風化しにくい岩が落石として落ちてくる。まことに厄介な地質である。


 どうしたものか悩んだが、とにかく範囲が広すぎる。こんな国境地帯全部に対策工事なんてできない。そこで俺は災害が起きそうなところの居住禁止と森林伐採の禁止を現地の官吏に命令した。しかし、山間部全部を居住禁止にするわけにもいかず、どこまで居住可能かは現地の住民に任せることにした。


 フラ王国とポルイスト王国の境界の山脈の地質が非常に悪いことが判明したわけであるが、ここを抜ける街道をどうするかという問題が生じている。これまでも、この山脈にはいくつかの街道が通っていたが今回は両側のが俺の領地になったので、その重要性は以前にも増して高まっている。


 そこで、とりあえずその中の1つだけ街道整備をすることにした。後はこれまでのままとすることにした。崩れた時だけ復旧することにした。


 整備する街道はアルジュル地方の領都から南に行く街道とした。この街道を抜ければ辺境伯領の東西のちょうど中間付近に出られることと、比較的山並みが緩いので災害の危険性が少ないと判断したからである。


 俺は北から順番に既設の街道の幅員を広げ、災害が起きそうな斜面は勾配を緩くしたり、俺の土魔法で表面を固めてたりして工事を進めていった。


 そしたら、最後はとてもそれだけでは済まないような山の斜面に出くわした。仕方がないので、ここにトンネルを掘ることにした。しかし、この世界でナトム工法の施工なんて不可能である。だいたいロックボルトがない。仕方がないので掘削したアーチ部の側面をその内部も含めて俺の土魔法でかんかちに固めることにした。


 壊れたらまた復旧することにした。途中湧水が出てきたときは心が折れそうだった。掘削しても掘削しても肌落ちする。結局掘削する前に周りを固めてから掘ったら何とか掘れた。


 そうして冬の初めから始めた工事であったが、なんとか春の初めごろには南へ抜けることが出来た。そしてかつて俺が突き進んだ山間の間道を整備していったら5月ごろになったので一旦領都サウスナンテンブルグに戻った。


 王国歴341年5月ハルト31歳、山籠もりから帰った領都サウスナンテンブルグは春の装いであった。



 領都に戻って今日はお決まりの居酒屋タイムである。

「もう行きたくない」

いつもの愚痴タイムである。

相手はお決まりの愛人4組。

「光も見えない山の中で、ひたすら土を掘る気分、わかる?」

酒が入ると、愚痴が絡みになる。


「俺の頭の上の岩が落ちてきたら、一巻の終わり。そんな恐怖の中でひたすらトンネルを掘る。考えたことある。

もっと優しくしてよ。それなのにレンやアンナ、『今まで何していたって』、そりゃ領地が増えて領主の仕事が増えて大変なのは分かるけど、あんまりじゃない。

旦那様が半年ぶりに帰って来たというのに。かける言葉がそれじゃ。

こらエバ、そんないやそうな顔すると、また奴隷に戻すぞ」

するとエバが

「すいません旦那様、決してそのようなことは思っていません」

「そうか、適当に相手して、なんて考えていないだろうな」

「滅相もありません。旦那様の帰りを1日千秋の思いで待っていました」

「そうか、エバはやさしいな」


 ハルトの愚痴はその日延々と続いた。


 そして、次の日今度は辺境伯領の施設整備をすると言って辺境伯領へ旅立っていった。


 出張でどんなに遅く帰っても次の日は定時で出社していく悲しい社畜時代に培った体質は今のハルトにも受け継がれているのであった。



 辺境伯領に着くと、俺はまた、街道整備を行っていった。東西の街道は5月に整備したので今度は山脈に点在する集落へ至る街道であるが、

「こちらの山肌はフラ王国側より荒れている」

それが第1印象であった。


 そのため、街道整備での法面対策に時間がかかる。中々作業が進まない。土地の広さはフラ王国側の4倍である。焦っても仕方ないと思い、とりあえず集落に至るまでの街道を整備し、そこから奥は今回はやめにすることにした。また、ため池の整備は来年以降にすることにした。



 そのようにしていたら、8月にレン、アンナ、リタ、エバが相次いで出産したというので一旦領都に戻った。生まれた子供はすべて女の子であった。マーサが結婚し、ルナとリヒトが相次いで婚約したことで気が抜けて、居酒屋で浮かれた時にできた子供のようである。居酒屋で浮かれると子供ができる。それも女の子が多い。これはハルトの体質のようである。名前はレンの子供が十三女カーチャ、アンナの子供が十四女マヤ、リタの子が十五女セリナ、エバの子が十六女リンダとつけた。母子ともに全員元気である。


 レンに「これで出産枠の7人達成だな」と言うと「もっと生みたい」というので、「レンに似ると相手の旦那さんがかわいそうだ」と言ったら、「こんな時に言う言葉でない。それにレムやアデナのように旦那様に似ると美人だ」と怒られた。



 再び辺境伯領に戻って、工事を再開した。11月ごろには一応辺境伯領での安全対策と街道整備を終えることが出来た。

残った工事はフラ王国側での、公衆浴場と公衆便所それに隔離施設の整備、

辺境伯領でのため池の建設と公衆浴場と公衆便所それに隔離施設の整備、それに集落から奥の街道の安全対策工事である。

これは来年以降することにした。


 俺が新しい領地から戻って、しばらくしてルナとリヒトが相次いで結婚した。式の準備は、俺が新しい領地整備で忙しいのと貴族の結婚のことが全く分かっていないので、妻たちに丸投げである。俺は金を払っただけそんな感覚である。


 王国歴341年11月、家族のことを妻たちに丸投げするハルト32歳、領都サウスナンテンブルグは今日も平和である。

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