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158.ひと時の安寧

「幼馴染のマリーが結婚して子供もいる」と聞いて、少し落ち込んだ。奴隷ハーレム計画が俺の夢とはいえ、マリーにも気があったのは事実。そして何よりしゃくに障ったのはレンがそれを聞いて嬉しそうにしていることだ。


 こういう時は飲みに行くのに限る。ということで俺は今、侯爵邸の居酒屋にいる。この居酒屋はこういう時便利である。いつでもやけ酒が飲める。


 アンナやリタも誘ったが危機感を覚えたのか

「今日は用事がある」

と言って断られた。


 したがって付き合うのは、いつもの愛人4人組である。こういう時、奴隷は便利である。俺の命令は絶対である。「飲みに来い」と言われれば、後でレンの叱責があろうとも従わざるを得ない。エバは今は奴隷でないが奴隷契約を解除する時の条件で俺の命令には従うことになっている。


 今日はいつものカクテルに加えブランデーを用意した。ガスオクシタ地方とアルジュル地方が俺の領地になったことで良質のワインが手に入るようになった。そこで、俺はそのワインを蒸留してブランデーにすることにした。現地に工場も作った。ブドウだけでなくリンゴやサクランボなども原料にするように命令した。それで現地では様々なブランデーが作られている。ただ熟成期間が必要なことから、最初の製品は俺の収納空間ボックスの中で時間を進めて作った。現地の工場長の話では売れ行きは上々とのことである。


 その最高級品を今回ここで披露するのである。

エバ、ソフィー、ミレーヌ、パメラには

「もしアンナに聞かれたら、あんな美味しい物は今まで飲んだことがない」

と言えと命令した。俺の誘いを断ったアンナへの当てつけである。



 しかし、このブランデーすごく美味しい、掛値なしで美味しいと思う。

そこで俺はいいことを思いついた。この香りを転移魔法でアンナのところへ転移させてやるのである。これはいい案である。さてアンナがどう動くか。酒好きにはたまらないと思う。


 しばらくするとアンナがやってきた。

「ハルト様、そのお酒少しでいいから飲ませて」

アンナの陥落した瞬間である。

「こっちへ来て俺の横に座るのなら飲ませてやる。レンには『俺に命令された』と言え」

と言うと

「絶対ですよ、レン様にはちゃんと言ってくださいよ」

「わかっているレンには言っておく」

そう言うと、安心して飲み始めた。


 しばらくすると、

「このブランデーですか、これまでのワインやカクテルとは違いますね。何というかフルティーというか、言葉では表現できない美味しさですね」

つぼにはまったのか、グイグイと飲み始めた。


 そしてしばらくして出来上がってしまった。そして俺にしなだれてくる。美人にしなだれるのはいいのだが、

「酒臭い」

そして、なんか戻しそうな勢いである。


 結局エバとソフィーに洗面所まで連れて行くように命令した。ここで吐かれては困る。


 しばらくするとすっきりした顔でアンナが戻ってきた。洗面所で吐いてきたそうである。もう酒を飲むのはやめるのかなと思ったら、

「さあ、飲むぞ」

と言ってまた飲み始めた。


「やめて、それ以上飲んだらまた吐く」

それを見ていたらなんか酔いも冷めたような気がした。


 結局、その日の酒はアンナの独り舞台であった。なんかマリーのことはどこかへ行ってしまった。


 王国歴340年12月、ハルト31歳、領都サウスナンテンブルグは今日も平和である。

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