16.ヤマユリ商会開店
今日は土曜日、店を開ける日である。1階の店をクリーン魔法できれいにして、商品の陳列棚に、収納空間ボックスから商品を並べ値札をつけていく。
この世界には値札をつけるという習慣はないようだが、これをしないとレンが値段を分からなくなってしまう。
並んだ商品は、リバーシ(銀貨1枚)、栄養剤(小銀貨2枚)、アクセサリー(銅貨3枚)、水墨画(小銀貨1枚)、木製置物(銅貨3枚)、木製食器(銅貨3枚)、陶器の食器(小銀貨1枚)、ううん、商品が少ない。陳列棚に空きがある。
それで、裏の庭のところに行って、陶磁器の食器ができないかダメもとでやってみた。
前世の記憶をもとに、陶磁器の皿やコーヒーカップを思い浮かべて土に魔力を込めた。最初はうまくいかなかったが、込める魔力をだんだん多くしていったら前世で見たような陶磁器の食器ができた。
絵模様を描こうかと思ったが、いい絵柄が思い浮かばなかったので、索敵で風景を探して、気に入った景色を転写してみた。そしたら白い色にうまくマッチしていたのでこれをいくつか作った。
これを持って戻ったら、レンが
「きれい」
と叫んで寄ってきた。
これは異世界人にも受け入れられるようである。さてこれをいくらにするか。難しいところである、前世では〇〇〇均にも売っていたような記憶があるが、ここは異世界、込める魔力の量からしても簡単にはできないと思い、銀貨1枚とすることにした。売れなかったら値段を下げればよい。
陳列棚が埋まったので、店を開けたが、お客さんが来ない。
表通りでもないし、宣伝もしてないし、当たり前といえば当たり前である。
暇なので、レンと一緒に喫茶コーナーに行って料理をすることにした。まず、収納空間ボックスから果実の実をとって、果実ジュースを作った。甘さが足りない場合は糖液を入れてみた。
レンに飲ませたら
「おいしい」
と言って、感激していた。
しかし、糖液はあまりないので、これは砂糖が庭で作れるようになってからにすることにした。
魔獣の肉を取り出して、焼き肉にしてみたが、ソースもなければ、タレもない。味気ない。
レンは
「おいしい」
と言って食べていたが、前世の味を思い出した俺としては、すっきりしない。
することがないので、レンに店を任せて、俺は裏の庭に行って、店で売る商品の生産にいそしんだ。
陽が傾き始めたころ、レンが来て
「店をしめてもいいか」
と聞いてきたので
「いい」
と言った。
結局、今日は、お客さんは一人も来なかった。次の日曜日も土曜日と同じような時間を過ごした。そして、この日も、お客さんは来なかった。




