156.ガロンルーズ侯爵家の処分と新領地の経営
王宮での糾弾の後、俺とルーズペルピ子爵は魔道馬車のところへ戻った。レンは心配そうにしていたが、
「すべてうまくいった。筋書どおりだ」
と言うと「よかった」
と言って抱き着いてきた。
今の王宮とのやり取りがガロンルーズ侯爵家に知られると領軍を集めたり対策をとられたりする恐れがあるため、すぐにガロンルーズ侯爵領に向かうことにした。俺たちサウスブニューデン伯爵家とルーズペルピ子爵家の両軍合わせて6000人を乗せた550台の魔道馬車はすぐに王都郊外を出発した。
途中魔道馬車の中で1泊して、次の日の朝、ガロンルーズ侯爵領に至った。
領地境の検問所では入領を拒否されたが、
「王命である」
と言ってこれを押し切った。
そして、領都ガロンルーズの城門に着いたが、さすがにここでは「王命である」と言っても、入れてくれなかった。
しばらくするとガロンルーズ侯爵が出てきた。そこで、
「王命よりガロンルーズ侯爵家を処断に来た」
と言うと、
抵抗する意思はないようである。
「どうかガロンルーズ家だけは存続させてほしい」
と言ってきた。
「詳細については中で話をさせてほしい」
と言って、城内へ入った。
侯爵邸に行って話し合いが始まった。ルーズペルピ子爵とも話をしたが、結局、後の領地経営のことも考えるとここでガロンルーズ侯爵家を残しておいた方が得策だろうということになった。
俺がガロンルーズ侯爵領の西部のガスオクシタ地方とアルジュル地方を領有する。
またルーズペルピ子爵が侯爵領の南東部のムレブオート地方を領有する。
ガロンルーズ侯爵が残った北東部のガヤサンヴァール地方を領有する。
そして、ここからはもう一度陛下の了解を得なければならないが、ルーズペルピ子爵は伯爵に陞爵し、ガロンルーズ侯爵は子爵に降爵することになった。
領都ガロンルーズの取り扱いが問題になったが、俺もこんな大きな都市を領有するのは面倒である。正直って手にあまる。また、ルーズペルピ子爵も同様であった。そこで領都ガロンルーズは引き続きガロンルーズ侯爵が領有することになった。ガロンルーズ侯爵からは「感謝する」と言われた。
結論が決まったのですぐに魔道馬車で王宮に戻った。
そして、国王に報告した。
異論はなかった。
すぐに叙任式が行われ、俺は国王から
「侯爵に陞爵させる」
と言われそれを受け入れた。
これで、俺が侯爵に陞爵し、ルーズペルピ子爵は伯爵に陞爵し、ガロンルーズ侯爵は子爵に降爵した、これで一連の戦争の後始末は終わった。
ルーズペルピ伯爵は、この際だし、
「フラ王国内の貴族を誘って、派閥を作る」
と言っている。
名前はサウスブニューデン侯爵派だそうだ。
「あまりそういうのは得意でないのでほどほどに」
と言って任せることにした。
ルーズペルピ子爵は
「私にお任せあれ、閣下に迷惑かけませんから」
と言っているが、本当だろうか、きな臭い匂いがしてならない。
俺としては
「宮廷で暗躍するより領都の居酒屋で浮かれている方がいい。早く領都サウスナンテンブルグに帰りたい」
そう思うハルトであった。
なお、このようなことをしている間に五女レノア、六女セリーナ、七女ミリーの学院の入学試験が終わったようである。3人ともフラ王国の学院を受験した。結果は3人とも合格、そして3人ともAクラスであった。
そういえばもう8月の終わり、もうすぐ9月である。春に疫病が治まってから怒涛の半年であった。
今回俺の領地はそれまでの倍以上になった。まずポルイスト王国でフラ王国に隣接する領地を与えられ辺境伯となった。この辺境伯領はそれまでの俺の領地より広い。また、かつてのガロンルーズ侯爵領の西半分ガスオクシタ地方とアルジュル地方を領有することになった。この領地だけでもかつての俺の領地の半分ぐらいある。だから俺の領地はこれまでの約2.5倍になったのである。
新しくもらった領地については基本的な政策はこれまでの領地と同じにした。
1.疫病対策、
2.農地の連作対策、
3.各家の衛生対策、
4.治安の維持
5.災害対策工事と街道の舗装工事
6.病人の隔離用の施設と公衆便所と公衆浴場の建設である。
このうち1.~4.はすぐに実施したが、5.と6.については俺が、各集落を回っての作業となるので、やっと、シャランナント地方とモンホーラバル地方の施設整備が終わったところなのに、新しい領地の施設整備となると、いつになることやら頭の痛い話である。
それとポルイスト王国の辺境伯領はどうも水不足の心配があるようである。ダムやため池の建設となると、これも俺の作業になる。中々することは多そうである。
兵士や官吏の雇用については旧ガロンルーズ侯爵のガスオクシタ地方とアルジュル地方については、ガロンルーズ侯爵家で働いていた人たちで、うちで働いてもいいという人たちを雇用した。これには、ガロンルーズ侯爵家も子爵家になりあまり多くの人を雇用できないので、ガロンルーズ子爵にも感謝された。
税率については商業税をあまり多く見込めないことから4割としたかったが、そうすると、サウスブニューデン地方と差が出ることから兵士や官吏の数を最小限にして固定経費を減らすことでサウスブニューデン地方と同じ3割5分とした。そのため、官吏や兵士をサウスブニューデン地方から派遣するのはやめた。
問題はポルイスト王国の辺境伯領であった。なんせ戦争で無理やり切り取ったのである反感がないわけではないと思う。ここはさすがに兵士の数を減らすと南のポルイスト王国から攻められる恐れがあることから、ある程度の数を維持する必要がある。
また俺がもらった場所は主要街道から外れた間道がほとんどで、産業もあまりないため多くの税を見込めそうもない。そこで税率は4割とした。
兵士については今の辺境伯領を攻略する時に奴隷にした兵士のうち「そのまま勤務してもいい」と言う兵士を、そのまま兵士とした。故郷へ帰りたいという者は奴隷契約を解除しして、故郷へ帰した。
官吏についても同様ここで働きたいという人間はそのまま雇用し、故郷へ帰りたいという人間は故郷へ帰した。この地方を攻略する時に無益な殺戮や略奪とかをしなかったので、俺に対する感情はよくもなく悪くもなくといった状況であった。
ただそれまでは、サウス王国と戦うために税率がかなり高かったようで4割にするというとかなり好意的に受け止められた。




