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153.パニベルド要塞攻略戦

 こちらの停戦条件が決まったので、パニベルド要塞の攻略に取り掛かることにした。動員する兵力はサウスナンテンブルグ伯爵家の領軍が魔道馬車550台、兵士4000人、ルーズペルピ子爵家の領軍が兵士2000人、なお、ルーズペルピ子爵には騎士はいらないと言った。またルーズペルピ子爵には魔法士は300人ぐらいしかいないとのことであったが彼らにも参加してもらうことにした。


 ルーズペルピ子爵家の領軍も魔道馬車に分散して乗車してもらうことになった。したがって、魔道馬車1台に11人から12人が乗車することになった。これでパニベルド要塞に向けて出発した。


 なお、五女レノアは学院の試験があるということで、魔道馬車で帰っていった。

「魔道馬車の1台ぐらい途中の貴族家の領地の通過は問題ないだろう」

とのことである。

「通過をじゃまされたら、爆裂弾で吹き飛ばす」

とのこと。

「なるべく穏便に」

と言ったが、さてどうなることやら。気の荒いところはレンゆずりか。最悪問題が生じれば転移で逃げるだろうということで任せることにした。


 そのようにして領都ルーズペルピを出発した遠征軍であるが、魔道馬車だと早い30分もするとパニベルド要塞に着いた。街道から見ると要塞は小高い山の上、要塞までの距離は400mから500mといったところだが、高低差があるので魔道馬車の爆裂弾の発射装置では届きそうにない。上空に監視装置を浮かべる。要塞の中にはかなりの兵士がいるようである。


 時間をかける気にもならないので、ここでも爆裂弾を風魔法で距離を延ばすことにした。街道沿いに魔道馬車と風魔法の使える魔法士を並べ、街道沿いから魔道馬車の発射した爆裂弾を風魔法で飛距離を伸ばして要塞に打ち込んでいった。そしたら、かなりぎりぎりだったが半数ぐらいの爆裂弾は要塞まで届くようであった。


 そしたら要塞から多数の矢が降ってきた。俺はとっさに結界を張って防いだが、高低差があるだけに敵の弓矢はこちらまで届くようである。厄介である。味方の損害は極力抑えたいので、一旦魔道馬車と魔法士は下がらせた。


 俺はレンを呼ぶとレンに魔法弾を放ってもらって、それを俺が転移魔法で飛ばして要塞にぶつけることにした。

「私がこの要塞攻略の要ね」

と言ってうれしそうである。レンは嬉しそうに魔力を込め始めた。


 ここで俺は重大なミスに気付いた。レンに魔力を抑えるように言うのを忘れたのである。

レンはいつまでたっても魔力を込めるのをやめない。ハラハラしてくる。

「もうやめてくれ」

とっさに言ったのだが、レンは集中しているようで聞こえていない様子である。


 超極大の魔力弾が出来ると「えい」と言って空中に魔力弾を放った。俺は、慌ててその魔力弾を転移魔法で要塞上空に転移させた。


「助かった」気を抜いたのがまずかった。その魔力弾はそのまま要塞に落ちていった。

大音響とともに要塞が砕け散った。とっさに俺は結界を張って飛んでくる瓦礫を防いだ。


 念のためにと思って索敵をかけたが、もう要塞には生きている人いないようである。

「仕方ない。見なかったことにしよう」

俺は

「要塞は無力化した。これよりポルイスト王国のゴリアンブラハ市に向かう。全軍出発」

と号令をかけた。


 すると、ルーズペルピ子爵がやってきて

「あのう、パニベルド要塞は直してもらえるのでしょうか」

これは頭の痛い話である。仕方ないので

「帰りに余裕があったら直す」

と言った。


 そしたら

「絶対ですよ。あの要塞作るのにずいぶんお金がかかったと聞いているので。

とても子爵家だけでは修復できませんから」

中々引き下がらない。

「サウスナンテンブルグ伯爵家は裕福である。あれくらいの要塞の1つや2つ修復は問題ない。金は出す」

そう答えた。


 やっと引き下がってくれたようである。これからは攻めるときはあとの修復も視野に入れて攻撃しないといけない。これは教訓である。


 その後、俺たち遠征軍はフラ王国とポルイスト王国の国境を越えた。そして峠をくだっていった。平原に出ると向こうにゴリアンブラハ市の城壁が見える。


 そしたらレンが近づいてきて体を寄せてくる。

「あのう旦那様、さっき魔力弾を放ったらすごく気持ちよかったの。快感、生きていてよかったという気持ち」

何となく嫌な予感がする。

「それでね、ここでもさっきみたいな魔力弾は放ってみたいな。だめー?」

先ほど

「攻めるときは後の修復も視野に入れて」

と思ったばかりである。

ここは心を鬼にして「ダメ」と言うべきである。しかし上目遣いに言われると、断ったら後が怖い。


 ここは俺の平穏のため、ゴリアンブラハ市には泣いてもらうことにした。

「いいよ、好きに打てば」

そしたらレンは

「うれしい。旦那様、愛している」

と言って上機嫌で、また魔力を練り始めた。


 横で見ているとハラハラしてくる。胃に良くない。今日の料理はあっさりした物にしよう。

現実逃避したのがまずかった。


 気づくとレンは「えい」と言って魔力弾を飛ばした後だった。

俺は慌てて転移魔法で魔力弾をゴリアンブラハ市の城門あたりに飛ばした。


 しかし

「城門を壊すと後で修理費がかさむ」

と思って、城門に結果を張った。

「これなら城門は壊れない」

そう思ったのだが、確かに城門は魔力弾の直撃は免れた。


 しかし、魔力弾の威力が強かったのと、結界で爆発の威力の向かう方向が制限されたため、城門の前に直径30m深さ10mぐらいの大きな穴が開いた。


 レンはすがすがしいような顔をして「満足」と言って、うっとりしている。

そしたら、しばらくすると城門がその穴に静かに落ちていった。


 そして、城門のなくなった空間から市内がまる見えになった。しばらくすると、ゴリアンブラハ市が「降伏する」と言ってきた。「まあいいか」結果オーライである。


 結局、その日はゴリアンブラハ市で、降伏に伴う取り決めや細かいことを協議していたら終わってしまった。俺たち遠征軍は市内を占領するだけの兵員は連れてきていないので、市内には入らず郊外で魔道馬車の中で1泊した、市内を荒らさないというのでゴリアンブラハ市の代表には感謝された。次はロジアンブラハ市である。


 次の日の朝ゴリアンブラハ市を出発して、ロジアンブラハ市に向かった。


 我軍がロジアンブラハ市に着くと、ロジアンブラハ市の代表が前に出てきて「降伏する」と言ってきた。拍子抜けである。昨日のゴリアンブラハ市で城門を破壊した魔法のことが伝わっていたようである。ということでもここでも1泊した。


 しかし、まだポルイスト王国からの停戦の申し出は来ない。仕方ないので、バルマトル市まで軍を進めることにした。


 そうやっていくつかの市や町を攻略して、バルマトル市の見える丘まで来たら、やっとポルイスト王国からの停戦の申し出があった。

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