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147.サビニャンコロ河畔の戦い

 アラゴエル砦を攻略すると我軍はさらに東のサビニャンコロ市を目指した。


 サビニャンコロ市はパンプアイロス市からアラゴエル砦そして、サビニャンコロ市と続く一連の盆地の東に位置し、ここまで来ると南北に山並みが迫ってきて、平地の幅も狭くなってくる。東に向かう街道はサビニャンコロ川の北側を走っており、盆地の幅がさらに狭くなる辺りにサビニャンコロ市がある。ここは同時に南に向かう街道の起点でもある。いわば東西の交通の要衝である。


 サウスブニューデン伯爵家の遠征軍が、ポルイスト王国の国境を越えてからすでに20日以上経過しており、ここまで来ると、さすがにポルイスト王国でも迎撃の準備が整ったようである。サビニャンコロ市の手前当たりで、ポルイスト王国の軍勢約1万人が陣を敷いて待ち構えていた。


 敵軍は歩兵6000人を前面にその後ろに騎士3000人と魔法士1000人を配置している。これに対して我軍は魔道馬車をただ並べただけ。といっても仕方がない、南側はサビニャンコロ川が流れ、北側は東西に連なる山並みとくれば、魔道馬車を配置できるのはその狭い限られた平地だけとなる。


 戦闘は朝から始まった。うちの魔道馬車は射程が長い。敵魔法士を警戒しながら、まず最前列の歩兵への爆裂弾による攻撃を行った。これには歩兵もあわてたようで逃げ出そうとする歩兵が多数いる。しかし、後ろの騎士がこれを押しとどめているようで、味方に切られて倒れる歩兵も見られる。そこでかなり前進して、敵の騎士に対して爆裂弾をお見舞いした。


 そうして押し切れるかと思ったら、森から魔道馬車に対して攻撃魔法が多数放たれた。いつの間にか敵魔法士は本陣近くから森に移動していたようである。森側に配置した魔道馬車が30台ほど破壊された。幸い死者はいないようであるが、このままではまずいので、けが人を収容して治癒魔法をかけるとともに壊れた魔道馬車に乗っていた兵士を近くの魔道馬車に乗り込ませた。そして、壊れた魔道馬車を俺の収納空間ボックスに収容した。


 この間隙を敵は見逃さなかったようで、森側の騎士が突撃してきた。どうも森側の一角が切り崩されそうである。「これまずいのでは」と思ったが、我軍の場合、別に背後に補給部隊を連れてきているわけでもないし、本陣といっても俺の乗る魔道馬車が本陣である。

「これそのまま敵の騎士には我軍の背後に回らせてもいいんじゃない」

と思って敵魔法士に攻撃されそうな森側にいる魔道馬車には川側へ引くように指示した。


 そしたら、敵の騎士はそのまま我軍を突き抜けた。そして背後から我軍を攻撃するようである。

また歩兵も騎士の走り抜けた後を追って回り込んで来るようである。敵魔法士と我軍の間に敵軍の歩兵や騎士がいる状態になった。


 これなら敵魔法士も攻撃できないだろうと思って、俺はすべての魔道馬車に急速前進して敵本陣を突くように指示した。我軍の魔道馬車が敵の歩兵や騎兵を跳ね飛ばしながら前進していく。


 敵本陣近くには魔法士も配置されていたが、一斉に攻撃してくる魔道馬車には太刀打ちできない。魔法士の魔法の射程は約50m、時速60kmだと1秒間に17mも進む。3秒の間に狙いをつけて詠唱して魔法を放つ。そうしないとすぐに目の前に魔道馬車が来て跳ね飛ばされてしまう。


 敵の本陣近くの騎士や魔法士がほとんど跳ね飛ばされた状態で敵の指揮官を取り囲むと、敵の指揮官は「降伏する」と言ってきた。


 今回の戦闘で、我軍の損害は、破壊された魔道馬車50台、敵軍には我軍の魔道馬車に突撃されても魔法を放って魔道馬車を破壊した猛者もかなりいたようである。破壊された魔道馬車については俺の収納空間ボックスから予備の魔道馬車を出して置き換えた。死者はいなかった。負傷者はすべて治療済みである。


 敵軍については500人ほどが死亡したようである。負傷者も多数いたようであるが治癒魔法ですべて治療した。


 さて9500人の捕虜をどうするか。我軍は3000人しかいないのである。結局これまでしてきたように、奴隷紋を刻んで我軍に忠誠を誓わせるようにした。この作業に10日ほどかかった。その間、部下にはサビニャンコロ市を攻略してもらった。といっても「ポルイスト王国の軍が降伏した」と聞くと、すぐに降伏してきた。


 ここまで30日以上かかっている。このまま1つ1つ拠点を攻略していくとすると、いつになったらルーズペルピ子爵領に行きつけるのか心配になってきた。


 選択枝は2つ、1つは一旦南に向かう街道を進み、カウエトス市を攻略し、そこから東に向かうコース、もう1つは多少移動に困難は伴うが山側の間道を進むコースである。


 我軍は魔道場所300台、兵士3000人である。魔道馬車の定員は1台当たり20人なので150台の魔道馬車で3000人を運べる。ただ150台でも、時速60kmで、車間距離を50mとすると150台で車列の延長は7.5kmにもなる。これは「途中襲ってくれ」と言っているようなものである。そこで、時速30kmで車間距離30mとすることにした。これだと車列の延長は4.5kmになる。これでもずいぶん長いが、ただ30mだと1台が襲われれば次の魔道馬車が救援に駆けつけられる。


 ここから、ルーズペルピ子爵領の領都ルーズペルピまで約300km、朝6時に出れば、夕方には領都につける。そこで俺は「明日山側の間道を通って、ルーズペルピ子爵領の領都に行く。出発は朝6時」と部下に指示した。

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