142.疫病の流行
ハルトは奴隷ハーレム計画も一段落、毎日美しい妻たち、一部そうでない妻もいるが、に囲まれて。おいしいものを食べて、週末には居酒屋でカクテルをあおる。
最近はエールでなくカクテルに凝っている。なぜかカクテルと聞くとアンナが同席するようになった。4人の愛人はハルトにお酒を注いでいる。居酒屋のつまみも、最近は新しい食材が増えたこともあり、野菜の漬物が出るようになっている。まさに至福の時間である。
そんな時、伯爵家の執事が急に飛び込んできた。緊急事態が起きたようである。執務室に戻るとレンやリタもいる。
家令の報告が始まる。
「今日港に入った船の船員の報告によると、先日サウス王国の西の出口港への入港を禁止されたとのことです。
理由は、サウス王国より東の国で疫病が大流行しているため、当分国を閉ざして人の出入りを規制するとのこと。
特に外国人の入国は絶対禁止とのことです。
そのため、御当主様が所望されている南の産物の購入は出来なかったとのことです」
これを聞いて、俺は家令に
「俺の趣味はどうでもよい。それで、どんな病気か聞いていないのか」
すると家令は
「そこまでは聞いていません」
「至急その病気についての情報を得ること」
「すぐに手配いたします」
俺は
「うちの領地はどうするかな。いきなり領外の人間の立ち入り禁止なんてしたら問題だろうしな。
とりあえず外国人については、取引のできる港を、ここサウスナンテンブルグ港1つにして、それも、船の船員の上陸を禁止する。
取引は船から降ろした小舟の上でマジックバッグを用いて行う。
取引に立ち会った人間は隔離とする。領外の人間についても同様とする」
するとリタが
「外国人についてはそれで問題ないと思うのですが、ここフラ王国の商人も同様に規制するとかなりの反発を食らうと思うのですが」
「サウス王国ではもうすでに国を閉ざしているのだろう。そんな流暢なことを言っていると、うちの領地が滅んでしまう。それならうちの他の港の商人にはマジックバッグの無料貸し出しで対応してもらう」
「それなら何とかなるでしょう」
「それと王都へ続く街道と北へ抜ける街道、南へ行く街道も、同様に外国人の入領は禁止、フラ王国の商人については一時そこで留め置き、疫病に感染していないことが確かめられた後、入領を許可するようにする。
それからうちの領内で疫病の感染者が出た場合は、直ちに隔離、他人との接触を一切禁ず」
とりあえず、このような対策とする。それと同様の通知をネイメー伯爵領へも通知してほしい。
するとレンが
「ネイメー伯爵領との定期連絡船はどうします」
「しばらくは中止するか」
「仕方ないですね」
「南方領地への連絡船はどうします」
「これを中止すると向こうが干上がるからこれは運航せざるを得ないだろう。
ただし、途中他の港へは入港しない。
また、途中船を見つけても接触しない」
これを通知するように。
するとレンが子供たちをどうします。
「そこが頭の痛いところだよな。学園を休ませるわけにもいかないし、絶えず結界を張って、他人との接触をできるだけ避けるように言っておいてくれ。
それからアムスム王国の伯爵邸にも外出禁止と他人との接触禁止を通知しておいてくれ。食料は転移魔法で届ける」
また、疫病が発生してその対策を講じる必要があるということでアムスム王国の王宮のパーティーやフラ王宮のパーティーもすべて欠席した。
王国歴338年12月、ハルト29歳、疫病の流行におびえる領都サウスナンテンブルグは緊急事態真っただ中である。
このようにサウスブニューデン伯爵家とネイメー伯爵家ではハルトが対策を講じたが、他の貴族家では、そこまでの危機感はなかった。そのため、疫病の伝播は早かった。北の大陸の南側で流行した病気は、1年後にはフラ王国にも広まってきた。
今回の病気は感染が早く感染するとすぐに死亡するそうである。そして感染すると皮膚が黒く色づくようである。これを聞いて俺は「前世のペストだ」と思った。
疫病の広がりにより、アムスム王国でもフラ王国でも学院は閉鎖となった。フラ王国の学院に通っていたリヒトはそのまま卒業となった。またアムスム王国の学院に通っていたマーサとルナもそのまま卒業となった。またレムは学院が閉鎖されたため、領都サウスナンテンブルグでアムスム王国の学院から時々送られてくる課題をこなしている。
幸い対策が早かったこともあり、サウスブニューデン伯爵領とネイメー伯爵領では、疫病の発生はまれであり、発生してもすぐに隔離されるため、流行は抑えられている。しかし、他の貴族家の領地ではひどいようである。ところによっては全滅した村もあるそうである。
どこの国でも、疫病対策で余裕がないため、これまで頻繁に起こっていた戦争も最近は少なくなっている。




