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転生者とバグでない異世界人の物語  作者: @000-ooo


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123.王国の混乱

 フラ王国では、国王の軍隊があいつで敗れたことから、国王の求心力が薄れ、王権を狙う有力貴族が各地で小競り合いをするようになった。


 俺のところにも貴族家から援軍要請が来たが、俺としてはフラ王国内の貴族のことはよくわからない。取りあえず静観することにした。

俺としては

「元国王派の貴族さえ王様にならなければいい」

と思っている。


 そんな中、イングブリオ王国のアラン伯爵から軍の派遣依頼があった。彼からはフエランシェル市の救援以来、何かと目をかけてもらっている。依頼してきたのは王国東部の南の海に下る川沿いの伯爵家らしい。


 その伯爵家が隣接する侯爵家から攻められて窮地に陥っているらしい。その伯爵家はイングブリオ王国ともつながりが深いらしく、イングブリオ王国のアラン伯爵に救援依頼が来たそうなのだが、イングブリオ王国としては先の戦いの損耗が激しく軍を出すことが出来ないので、俺に代わりに行ってほしいとのことである。


 相手の侯爵家の軍の規模は1万ぐらいとのことなので、200台の魔道馬車と800人の兵士で救援に行くことにした。ただし、150台の魔道馬車はマジックバッグに入れていくことにした。


 軍の指揮を俺がとろうとしたら、レンが行くと言い出した。

「俺が行くと帰りに側室をもらってくるような気がする」

とのこと。あまり信用されていないようである。


 次の日レンは50台の魔道馬車に乗り800人の兵士とともにサウスナンテンブルグ市を、依頼のあった伯爵家のあるウェルブルグ市に向けて出発して行った。


 途中フエランシェル市のアラン伯爵のところによって、後は魔道馬車で車中泊をして、2日後に問題のウェルブルグ伯爵領に着く予定である。


「何事もなければいいが」

これが俺の偽らざる思いである。

先の戦争では「爆裂のブヒ」と何やらいわくつきの2つ名をもらったレンである。

「羽目を外さなければいいのだが」

と思ってしまう。


 昼頃にレンはフエランシェル市のアラン伯爵に着いた。

アラン伯爵からは

「この間は危ないところを助けられた。イングブリオ王国のフラ王国駐留軍の救世主だ」

と最大限の謝辞を受けた。

「報酬の話をしたい」

と言われたが

「ハルトと話をしてほしい」

と答えた。


 ただこの前の魔力弾の攻撃ではイングブリオ王国のフラ王国駐留軍にも被害が出たので、

「今後は少し威力を絞ってほしい」

と言われた。


 ウェルブルグ伯爵領に入り領都ウェルブルグ市に行くと、すでに領都は侯爵軍の兵士に包囲されていた。


「あちゃあ、少し遅かったのかな。でも、まだ、領都が落ちたわけではないし。周りの兵士を少しずつ削っていくか」

ということで、マジックバッグから150台の魔道馬車を出して兵士を乗り込ませた。

そして一路包囲する軍勢に突っ込んでいった。もちろんレンの乗る魔道馬車が先頭である。


「魔法士に攻撃されたらどうする」

そんなことは眼中にないレンであった。

「まずは景気付けに一発」

とレンは魔道馬車の上に出ると、魔力を込め始めた。

「ハルトからも昨日立ち寄ったアラン伯爵からも、魔力弾の威力は控えるように言われたけど、そんなことは気にしていられない。今は緊急時」


 目一杯の魔法弾をとりあえず目の前の兵士がかたまっていそうなところに放った。そして、「やばい」と思って急いで魔道馬車の中に避難した。


飛んでいった魔力弾は敵の軍が集中しているあたりに着弾し、辺りの物を吹き飛ばした。


大音響が響き渡り、衝撃がレンの乗る魔道馬車にも伝わってきた。


今回は結界を張ってくれるクララもハルトもいないので、ひたすら魔道馬車に被害が出ないように祈るだけだった。


 しばらくして、魔道馬車の上に出ると、魔力弾が着弾した辺りは靄で見えない。しかし、領都を囲む兵士たちは、茫然自失といった状況でうろたえているのが見える。


 そこでレンは魔法で声を大きくして

「我々はウェルブルグ伯爵家の窮地を救いに来たサウスブニューデン伯爵家の領軍である。

直ちに領都の包囲を解き撤退するように」

これを聞いた侯爵軍は

「爆裂のブヒが来た」

と言って一斉に逃げ出した。


 かくして領都ウェルブルグの包囲は一発の魔力弾によって解けたのであった。


 その後、逃げた侯爵軍を適当に追い回して領外まで駆逐すると、勇んで領都ウェルブルグまで戻ってきた。


 そして出迎えたウェルブルグ伯爵と一緒に城内に入ると、歓喜の声で迎えられた。その後伯爵邸に招かれ、夕食を一緒に取ることになった。


 夕食の席で伯爵家の家族を見るとちょうど年ごろの娘がいる。また嫁ぎ先が決まっていないという。

「これはハルトが来なくてよかった。ハルトはいい男だし、鼻の下が長いから、この娘に言い寄られたら、第4夫人にするとか言い出しかねない。私が来て正解だった」

と思うレンであった。


「落ち着いたら、ハルト伯爵にも挨拶に寄せてもらう」

と言われたので、

「その必要はない。謝辞は今回受け取ったので、手紙をよこしてもらえばいい」

と答えた。


 次の日に領都ウェルブルグを出て、また、150台の魔道馬車をマジックバッグに収納し、途中魔道馬車の中で1泊し、次の日にフエランシェル市のアラン伯爵に事の経緯を説明し、その日の夕方領都サウスナンテンブルグに戻ってきた。



 その後、いくつかの救援要請があったが、そのすべてを

「レンが行く」

と言って出て行った。

「レンも疲れているだろうから、たまには俺が行く」

と言っても頑なに拒否するレンであった。



 そしてその結果「爆裂のブヒ」の名声はさらに高まるのであった。


 しかし、懸案であった災害の対策工事と街道の簡易舗装、さらに病人の隔離用施設と公衆便所と公衆浴場の建設の作業が順調に進んだのは朗報であった。

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