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第4話

俺は、亀のアイコンにカーソルを合わせ


一瞬だけ迷って――


クリック。


水辺に、ぽつんと現れた。


「……ん?」


思わず、眉をひそめた。


亀。


の、はずだ。


だがそいつは、


体よりも明らかに長い杖を持ち、


二足で立っていた。


「……は?」


ゆっくりと、歩く。


とて、とて、と。


水辺の土を踏みしめながら、


周囲を見回すように首を動かす。


「いやいやいや……」


思わず笑いが漏れる。


「なんだこれ。」


その瞬間。


ポン、と軽い音が鳴った。


『実績達成』


画面の上に文字が浮かぶ。


同時に、見慣れないアイコンが一つ増えていた。


「実績……?」


クリックする。


【実績】


『初めての生命』


世界をつくる御供を設置しました。

今後、この生物はゲーム終了までプレイヤーの御供をします。

ともに世界を創っていきましょう。


「……御供?」


もう一度、画面を見る。


亀の頭上に、


赤い「!」マークが浮かんでいた。


「なんか出てるな……」


カーソルを合わせて、クリック。


【御供について】


食べ物を与えなくても死にません。

プレイヤーの思うままに一緒に生きていきましょう。


「……都合よすぎだろ。」


苦笑する。


「さっきまで環境ガチガチだったのに、急にファンタジーかよ。」


そのとき。


亀の横に、吹き出しが現れた。


『お主が主か。』


「……は?」


一瞬、固まる。


「喋った……?」


思わず、画面に顔を近づける。


すると、選択肢が表示された。


【返信】


①「よろしくな下僕。」

②「私が神だ。」

③「よろしくな下等生物」

④「自由記入」


「……性格悪い選択肢しかねぇな。」


呆れながら、④を選ぶ。


キーボードに手を置く。


「まぁ……」


少し考えて、


そのまま打ち込んだ。


「よろしく。一緒に頑張ろう。」


送信。


一拍。


吹き出しが変わる。


『よしなに。』


「……軽っ。」


思わず笑う。


だが、不思議と。


さっきまであった疲れが、


少しだけ抜けた気がした。


「……まぁ、いいか。」


画面を見る。


亀――いや、“御供”は、


水辺の近くで、じっとこちらを見ていた。


「一緒に、ね。」


小さく呟く。


そのときだった。


ピシッ。


「……またか。」


画面の奥で、何かが走る。


今度は、


亀の足元で、一瞬だけ。


「……文字?」


甲虫のような形と、見慣れない記号が浮かび、次の瞬間には消えていた。


「……気のせい、じゃねぇよな。」


「なんなんだ、このゲーム……」


呟きながらも、


視線は自然と戻る。


小さな世界。


草原と、水と、土。


そして、一匹の亀。


「……まぁ、面白くなってきたな。」


俺は、マウスを握り直した。

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