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信長様と行く戦国時代  作者: 焼ミートスパ
第1章 家督相続編(信長18歳)
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18 信勝の甘い予想

戦国時代では戦は秋に行われる


田んぼの収穫を終わった後に農民を徴兵するからだ


だから信勝ももしも信長あにとの内戦が起こるとしたら秋だろうと思っていた





まだまだ数カ月ある


その間に仲が良くなれば内乱もなくなる


信勝はそう思っていた




家督争いというのはどちらかが勝つまで続くのだ


完全な勝利


完全な敗北


のどちらかである





そういう意味で信勝は現実を全く判っていなかった


一般的な良い子だったからである





母である土田御前


家老のごとく振舞っている柴田勝家


そんな年長者にとっての良い子というのは聞きわけが良い子供のことである





言いかえると親の思い通りに動く子供である


親の顔色を伺い、その意を予想して行動するとも言う


早い話自我や自己主張が無いとも言える


・・・まあ勝家は親でも叔父でもないのだが




世の中が平和で昨日の平和が今日も続く


そして今日の平和が明日も続く


そんな泰平な世の中であれば問題がないだろう




ところが今は乱世である


弱肉強食の世界


信勝のような優等生は狩られる方である





・・・子供のことを思うなら一人で自立できるように育てるべきである


主君と望むなら自律できるように厳しいことを言うべきである




ところが残念なことに誰も真剣に向き合わなかった


責任をもって育てるということをしなかった




本人はどう思っていてもきちんと自律して自立できる大人は少ない


そういう意味で子育てを失敗するのは当然であった




実際の所、信勝は自分で自分を育てるべきであった


しかし信長よりも年少の16歳


元服したての若輩者にできるわけはなかった





たとえ親が教えてくれなくても周りに尊敬できる大人が居れば見習うことができる


そうすればもう少しまともに育つことができただろう


そういう意味も信勝は不幸であった





一方、信長はというと


自分で考え


自分で行動し


自分で責任をとる


というふうに育っていた





・・・同じ環境にいながら兄弟でこの差


信長は異質であると言ってよかった




そんなわけで信長からすると弟のほうが


大うつけ


である





土田御前の方が


大うつけ


である




柴田勝家の方が


大うつけ


である





それなのに信長じぶんばかりが大うつけと呼ばれている


あまりの不条理に内心で叫んだ



この大うつけども!

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