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勇者物語、その後に  作者: 背水 陣
第二章 水の精霊 編
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第十話 ~シキ島の事情~

 「……あ、あの」


 ジルは鉤状にした指を口元に当てて思考を練っていた。なので、小さな声でしか会話の出来ない伊織の声は、彼の耳に届いていない。数秒経っても反応がないので、聞こえていないのだと判断したジャンヌが、代わりに呼んでみる。


 「ジル」

 「ん? なに?」

 「イオリちゃんが何か言いたそうなんだけど」

 「あ、あぁ。ゴメンね、何だい?」


 ちょんちょんと、指でつついてジャンヌは意識を伊織へと向けさせる。もしかして、何か怒らせてしまったのでは、と勘違いして潤んでいた少女は、表情を明るくして口を開く。


 「し、失礼でなければで良いのですが……その、お二人は何故、海神(わだつみ)様にお会いしようと?」


 背筋を伸ばしてしまうと、自然となってしまう上目使いで伊織はジルへ問う。こんな島国までわざわざ、何で大陸の人が来たのだろう。そして、どうしてピンポイントに海神に会おうとするのか。疑問としてしまうのは当然であった。


 「んー……それはね」


 ジルは少し考え込む。観光で来た、と言いたいのだが自分たちの服装は、どうみても旅人のそれだし、予備知識が不十分なことは露呈している。

 魔王の呪いを解きに来ました、なんて言ったら混乱や恐怖を招くだけだ。魔王が完全に死滅していないことを知るのは、ごく一部の信頼できる身内だけでいい。無用な不安を与えたくない。

 数瞬だけ悩み、なにか適当な言い訳をしようとしたその時だった。


 「伊織、そこで何をしている?」


 ジルとジャンヌの背後から、伊織にとっては正面から。低い男性の声が飛んできたのだ。音から判断するに、若者だろう。振り向いてみると、確かにそこにはジルより少し年上に見える青年が立っていた。

 藍色の、老婆が着ていたような上下一体型の服だが、袖の部分を紐で結んで動きやすく締めている。結われた袖口から伸びている筋肉質な両腕の片方には、大きな籠が握られていた。


 「ん? お客人か?」


 よく通る低音で、日焼けした表情を少しだけ緩ませる。目鼻立ちは、大陸の人間と比べると、全体的に平坦である。しかし、力強さのこもった瞳や、整った眉はジルとはまた違った、男性の造形の良さを出していた。短く切り揃えられた黒髪は、重力に逆らうように跳ねており、より一層快活さを引き立てている。


 「あ、兄様」


 伊織の表情は少しだけ強張っていた。まるで、兄と出会うまで何かを忘れていたかのように。そして、その所為で、怒られるのではないかと身構えてしまったのだ。


 「山菜を積むように言っていただろう。いつまで、こんなところ(・・・・・・)で油を売っている。早く着替えて、行ってきてくれ」


 ジルはその発言を聞いて眉をひそめた。兄様、ということは伊織の家系である。つまり、神社の人間のはずだ。伊織が熱心に手を合わせて祈りを捧げていたこの場所は、きっと神前のはず。

 それを、こんなところ、などとまるで侮蔑のように切り捨てた兄の言葉が、どうにも不思議に思えたのだ。


 「す、すみません。すぐに向かいます」

 

 伊織は兄のお叱りを受けると、急いで神社を出て行ってしまった。その揺れる黒髪を見届けていると、伊織の兄が近づいてきて、背を曲げない綺麗な礼をしつつ、二人に謝罪と自己紹介をした。


 「失礼いたしました、お客人。私は、この渦流神社当主の渦流 伊綱(うずる いづな)と申します。こんな辺境の地まで、ご足労頂きありがとうございます」

 「いえいえ、こちらこそどうも……」


 伊織へ向ける表情や口調とは打って変わって、礼儀の正しさが全面から出ている言葉に、ジャンヌはたじろぎつつ返答をする。


 「して、どういったご用件で? もしや観光でしょうか? 我が神社主催の大滝(おおだる)の儀式は、既に時期を過ぎていますが……」

 「ええ、なのでそれを抜きに、ただの観光で来てみたんです。この神社、というものに興味が沸いたので見てみようかと……」


 この伊綱とは、まだ話を掘り下げていない。観光という名目は十分に通じると判断し、ジルは適当な嘘で言葉を紡ぐ。


 「そうでしたか……。でしたら、非常に残念な事実を伝えなければなりません」

 「? なんでしょうか」

 「実は、このシキ島には、既に我々ミズホが所有する神社がほとんど存在していないのです」

 「……それは、何故ですか?」

 「詳しいお話は省かせていただきますが……率直に申し上げるのであれば、貧困です。漁も農耕も、うまくまわっていないのです。我々シキ島の人間は金銭を得る為に、歴史的価値のある神社の所有権を諸外国に売って、何とか生計を立てている者がほとんどなのです」


 先ほどの老婆が、『もう神社も持っていない』という言葉を何気なく言った理由がこれでわかった。

 本来、ここに住む人はみんな神社を所有し、水の精霊、海神(わだつみ)を崇めていた。それが出来ないから、ああやって伊織や老婆のように山へ出て、食料を確保しに出ているのだ。


 「精霊の加護を我々が得て、漁猟や農耕といった事業を豊かにする。その代わり、フソウやアキツの島の方々から物資を頂き、生きる糧を得て、再び祈りを持って精霊へ人々の想いを返す。そういった循環過程で、ミズホの国は成り立っていたのです」

 「なるほど。よく出来た流れですね」

 「でも、貧困でそのサイクルは崩れたんですよね。なんでですか?」


 感心しているジルをよそに、ジャンヌはさらっと聞きにくいことを尋ねる。伊綱も、少しだけ驚愕を表情に浮かべたが、すぐさま自嘲するように顔を複雑に歪ませた。


 「誰も、神を信じようとしなくなったからですよ」


 神への祈りというのは、シキ島の人間のみでは絶対的に足りない。だから、他の島の人々にも、祈りや願いをしてもらう必要があった。みなが祈り、みなが願うからこそ、神はその対価として恵みを授けてくれるのだ。

 しかし、人間には『慣れ』というものがあり、シキ島の人々がどれだけ一生懸命、神の啓示を訴えて成果を説明しても……神という抽象的なもの信じられないのだ。

 彼らからすれば、自分で畑を耕して、自分で沖に出て魚を取ってくる。それだけなのだから。そこには技術や知識というものが挟まれており、神様のおかげ、なんて言葉で片付けてほしくない。という意地の張り合いも存在していた。


 「……なんか、大変ね」

 「そうだね。技術文明や魔術文化が進むにつれて、色々な物を証明できるようになったことも原因だと思うよ。やろうと思えば、神様に近い所業を一人の人間が実現することも可能だからね」


 だからといって、神の存在を否定する理由にはならないはず。風の精霊ヴァーユが存在するように、水の精霊テティスだって、間違いなく居るのだから。


 「……ところで、御両人。本日の宿はいかがなさるつもりですか?」


 言われて、二人は顔を見合わせる。神社ばかりということは、きっと宿屋なんてないだろう。観光地のど真ん中で、礼儀作法も違う人間を泊めると大変なことになるのは間違いないし、防衛措置としては当然である。現在は衰退しているものの、昔は毎日帰りの船が出ていたのでそれで問題はなかったのだが……。


 「野宿?」


 考えた結論を、ジルもジャンヌも揃って口に出した。好んでするものではないが、何度も経験した行為になので、戸惑いはない。むしろ、他の場所よりも安全そうなので、楽にさえ思えるくらいだ。


 「やはりそうでしたか。よろしければ、うちに泊まられてはいかがですか? 大したお持て成しは出来ませんが、雨風くらいは凌げますよ」

 「ええ。それは非常にありがたいですけど……良いんですか?」


 はじめて見せた屈託ない笑顔と、期待すら見える眼差しを向ける伊綱に、戸惑いを隠せないジャンヌ。しかし、隣にいるジルはその表情に覚えがあった。ああ、きっとこの人も……。


 「勿論ですよ。よろしければ、色々とお話をお聞かせ願えますか。大勇者、ジャンヌ様。それにジル様も」


 異国の島国でも、わかる人にはわかるものだ。名に聞こえし勇者御一行様である。改めて名乗るまでもなかった。



――――その夜。


 日が落ちるまで、神社を見たり森を歩いた後に、渦流兄妹と落ち合い、離れの実家へ移動した。

 神社と似たような、瓦屋根と木製の壁。意匠の違いはあれど別段、ユアラシル大陸の家屋と構造などはかけ離れてはいないが、屋内に入る前に靴を脱がねばならないことだけに、異国人の二人は驚愕していた。


 紙が貼られた木製の引き戸の先は、リビングと思われる場所であった。真ん中に、焚火でもするようなスペースが有り、そこを囲むように茣蓙(ござ)が敷かれていた。


 「すぐにご用意しますので、しばらくお待ちください。伊織、こっちは任せるぞ」

 「は、はい、兄様」


 一礼し、静かに引き戸を締めて紙製のランプを片手に部屋を出ていく伊綱。

 残された三人は、それぞれ別の行動をとっていた。一人は、キョロキョロともの珍しそうに周りを見渡し、一人は黙して坐するのみ、一人は任されたと言っても何をすればいいかわからず、手持無沙汰に目を泳がせるのみだった。

 簪で結ばれていた髪は、平静時のジャンヌと似たように後ろで簡単に結ばれ、服装も身体の半分近くを構成していた朱色のズボンに似たそれを脱いでおり、伊綱達が着ていた物と同じ、つなぎの一枚を細い帯で留めたものに着替えていた。


 「ジャンヌ、言い忘れてたけど、こういう時はセイザをして待つものらしいよ」

 「なに、セイザって?」

 「伊織さんと僕がやってるこの座り方だよ。僕らは招かれた側なんだから、それ相応の態度で接さなきゃね。これは、相手に敬意を表した座り方なんだってさ」


 そもそも家の中だというのに、地べたに座るという感覚が信じられないジャンヌからすれば、座り方にも作法があるのかと驚く。伊織とジルは膝を曲げたまま、踵に臀部を乗せるような形で座っていた。これがセイザというものらしい。


 「……これ、すっごい窮屈なんですけど……あ、足痺れそう……」

 「あ、あの……えっと、その、正座は異国の方には辛いと思いますので、崩してくださって結構です」

 「崩す……あ、そういうこと? じゃ、遠慮なく」


 ホッと息をついてジャンヌは、正座を解いて胡坐をかく。まだこちらの方が気楽だ。ジルは傍らで、それはそうだと思いつつも、ジャンヌの短いスカートでは胡坐にすると色々見えてしまうから正座を勧めたのに……と、内心落胆していた。伊綱が帰ってきたらどうするのだ。


 「そ、それに、あの大勇者様に正座なんてさせられません……ジル様も、結構でございますよ?」

 「もー、別に良いのよそんなことは」

 「泊めて頂けるだけでもありがたいことですから。ご好意に感謝します。お気づかいなさらず」

 「そそ、そんな! こ、こちらこそありがとうございます」


 ジルは正座のまま、背筋を一切曲げない綺麗なお辞儀を伊織へする。異国人と思えない所作法の美しさに、感心しつつも畏まって伊織はぺこぺこと頭を下げる。


 「そ、その……ジル様は、ミズホにいらっしゃったことがあるのでしょうか?」


 顔をあげて浮かび上がった疑問を述べてみる伊織。姓名の名乗り方や、礼儀作法など手だれている様子は、不思議にさえ思えてくるほど。


 「いや、初めてだよ。でも、出来るだけ勉強してきたんだ、世界のことをね。そうでもしないと、ジャンヌが、どこでどんな粗相をしちゃうか心配だからさ」

 「ちょっとジル! 別に、あたしそこまで無知じゃないわよ?」


 返答を聞いた伊織はしばし動きを止める。きらきらとした、尊敬を目一杯につめた目で、ジルを見ていたが、フォローをしなければならない話題に入った途端に現実世界へ戻り、言葉を返す。


 「そ、そうです。ジャンヌ様は、お綺麗で、お上品で、お強くて、その、その!」

 「い、言い過ぎじゃない……? そこまで言わなくっても大丈夫よ?」


 伊織も伊織で、改めてジャンヌとジルが勇者の一行だと知ると、相応の反応を示してくれていた。何か考え事をしていたせいか、自分が考えていた言葉を歯に衣を着せず出してしまい、異様な持ち上げ方をしてしまった。


 「あ、あの」

 「ん?」

 「お、お二人は、どのような旅をされてきたんですか?」


 勢いそのまま、伊織は聞いてみたかったことを口に出した。この旅、というのは現在のことではなく。魔王討伐を果たした時のことだ。


 「そうね、まずもちろんオルラン王国から出発したでしょ。そこから、南下してサウスグリーンと風の里を抜けて、フリスタに行ったの」

 「次に、そこから船でアミリア大陸に渡って、また南下。グラスコ村とか、ルアン王国とかに寄ったりもして、徐々に東に向かったんだ」

 「あれ、聖少女の泉ってどこだった?」

 「よく忘れられるね……死滅の凍山(グリムリーパー)の手前だよ」

 「あ、そうそう。で、そこを越えて冥府の外門(タルタロス・ゲート)をくぐって、魔界に突入、ね」

 「魔界には一週間も居なかったかな? 長居するのも厳しい場所でね。とにかく前進前進で、魔王ベルクの居る魔岩窟(まがんくつ)に入って、最終決戦さ」

 「…………」



 伊織は英雄たちの、その冒険譚の軌跡を聞きながら、ただただ感激していた。まともな感想も出せず、口を開けて身を乗り出し、目を大きく見開くだけ。それでも、彼女なりの精一杯の感情表現であった。

 しかし、それは当然の反応である。ジルもジャンヌも、あえて道中での辛い経験や悲しい別れなどは口に出さなかったから。表面だけの、淡々とした報告にも似た道中劇である。


 「す、すごいです。大陸を二つもわたって、異世界にまで……さぞや、色々なものを見てこられたのですね……」

 「自慢じゃないけど、そりゃあね。見たいものも……勿論、見たくなかったものも……ね」

 「…………」


 ジャンヌは少しだけ顔を伏せながら話していた。それを気にする様子もなく、伊織は黙り込んで何かを考える。

 数秒無言になり、ジルがどうかしたのか、と聞こうとするかしないか、絶妙な間で伊織は一度頷いてから、口を開いた。


 「あ、あの……お二人に、お聞きして欲しいことがあります。お、お恥ずかしい戯言なのですが……」

 「? 何かしら?」

 「そ、その……昼時に仰っていた海神(わだつみ)様のことです」


  思いがけない水の精霊の話題に、ジャンヌのみではなくジルも、反応を示す。身を乗り出して、聞く気満々の姿勢を見せた二人を見て、伊織は話をして良いと判断した。


 「……そ、その……信じてもらえるかは……わかりませんが……」

 「ええ」

 「わ、わたし……海神様が、見えるんです……!」

 「…………」


 伊織は顔を赤くし、おかしなことを言ってしまった、と目をギュッと瞑って両手で膝元の衣服を掴んでいる。

 対して、二人はポケッとしていた。風の精霊をこの目で見て、話したり、触ったことのある者からすれば、何を当然のことを、と思えるからだ。


 「あ、あの、おかしく……ないですか?」

 「ええ。おかしくないわよ」

 「ほ、本当ですか!? 信じていただけるのですか!?」

 「もちろん。それで、見えるということは……会ったことがある、ってことかな?」

 「え、えっと……それが、お話はしたことはありません。お見かけしているだけです」


 『見かけた』という表現が不思議だ。この神社、ひいては人間を媒体に力を得ている存在と聞いたが、相互干渉出来る関係性ではないのだろうか。


 「それはどこで?」

 「……さ、三角島(さんかくじま)の海域です。いつもいらっしゃるんですよ。お二人は、ご覧になられましたか?」


 ジルはチラリとジャンヌを見た。首を横に振っている。対して、ジルも同じく頷いた。自分も見ていない、という返答である。

 アキツ島から、一直線に船を使ってシキ島に来た。変に迂回もしていない。ということは、三角島(デルタアイランド)の海域というのは、一望しているはず。

 けれど、何も見なかった。見えなかった。いつも居るはずらしいのだが。


 「どんな姿かな?」


 もしかしたら、何かに擬態していたのかもしれない。偶々空を飛んでいた海鳥が、それだったかもしれない。ジルは、見逃した可能性を信じて、質問する。


 「り、龍神様のようなお姿です。あちらの絵画が参考になるかと……」


 伊織が指をさした先にあった、壁に貼られた絵画。油絵ではなく、水で描いたかのような独特の色合いを持ったそれは、龍神と呼ばれるものが書かれていた。短い手足の生えた蛇のような胴体に、長い髭と鹿のような角、鋭い眼光は平面ながらも、こちらを見ているような威圧感さえ覚える。


 「…………うーん」


 ジルは小さく唸る。間違いなく言える。このような生物は見ていない。魔族でも、似たようなドラゴンという生物が居たが、やはり違う。大体、この海域では魔族には一匹たりとも遭遇していない。

 そしてジルは思った。ここまで異形の姿とは、考えもしなかった。会話は通じるのだろうか、そういう心配さえしてしまう。何故、ヴァーユはこの異生物に会えと言ったのだ。


 「…………や、やはり変……ですか?」


 反応が淡白で、地味だったことに今さら気が付く。伊織はやっぱり、素っ頓狂なことを言ってしまったと、落ち込んでいた。


 「い、いや。そんなことはないよ。こんな感じの、たくさん見て来たし……」

 「そ、そうですか! 兄様も、近所の方々も、誰も信じてくれなくて……」


 この子一人にしか見えない、海神様という龍。ただの幻覚、と切り捨てたいところだが……常に見えているのが引っかかる。一度や二度、見かけた程度ならそれでいい。いつも見えているなら、何か明確な理由があるはずだ。


 「伊織ー、ちょっと運ぶの手伝ってくれー!」

 「あ、は、はい! 今行きます!」


 他に情報がないか尋ねようとした矢先、伊綱が伊織を呼んだ。どうやら、持て成しの料理が出来たようだ。

 思ったより長いとこ話していたらしい。意識した途端に、自分が空腹状態だと理解する。ジャンヌもジルも同様に、お腹の虫が鳴ったのだ。

 

 「す、すぐにお持ちしますので!」

 「あ、急がなくていいわよ」


 赤面しつつお腹に手を当てジャンヌは言っておく。かの大勇者様だって、空腹には勝てないものだ。

 一体どのような料理が来るのだろう。組んだ足に手を置いて、ジャンヌはソワソワと待ち、対照的にジルは、背筋をピンとしたまま、正座で待機することにした。

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