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P30: あと『Realy sorry』ってメモも……【01】

「こ、こんにちは!」

「えっと……アリア准尉だったね。慣れた?」

「は、ハイ!」


 何日も通った正門の守衛を通り過ぎるだけでアリアの頭の中ではスパイ映画のBGMが大音量で流れていた。


(ヨシっ! 正面突破で潜入に成功よ)


 諜報活動はもちろん初めてのアリア。緊張の極みだったが、オリハのアドバイス通りニコニコしているだけですんなり入ることができた。


(こうなったら愛想でも色気でも使えるものは使うわよ!)


 無駄に曲がり角で様子を伺ったり、無意味に忍足をしたり、自分の口で「さささっ」と擬音を呟いたりしていた。


「アリア……カワイイケド……アヤシイヨ」

「いいの! スパイには必要なの!」


 自室までは誰にも会うことはなかったので怪しまれることはなかった。急いで扉に鍵をしてからホッとため息を吐く。


「さて……」


 徐にワンピースを脱ぎ出すアリア。


「ウヒョー! ナンノ、サービスデスカ?」

「違うわよ。変装よ!」


 ピンクのハートのついた蓋をパカパカさせて興奮するオリハを放置して軍服に身を包んだ。着替え終えてから姿見の前で確認しているとドローンからため息が聞こえてきた。


「グンノ、セイフク、カ……」

「そりゃそうでしょ……では行動開始!」


 帽子も目深にかぶると直ぐに部屋を出て歩き始めた。しかし数歩進むといきなり立ち止まって振り返った。


「ねぇ、どうしたらいいの?」

「エッ?」


 不満そうなアリア。膨れっ面でオリハのいるだろう空間に向かって喋りかけている。


「次はどうすれば良いのよ? 何処行けば良いのよ? もう分かんない!」

「アァ……ソウダネ……デハ、キョウリョクシャヲ、ミツケ……アッ、マダ、ダメー」


 よく分からないが急に空気の流れが乱れ始めた。何か分からないが焦っているらしい。


「unknown person is approaching.(正体不明者が接近中)」


 すると外国の女性風な機械音声(マシンボイス)が、それも女性の声が聴こえてきた。オリハの機械音声(マシンボイス)も昔より感情の機微が良く伝わるようになったと思っていたが、遂には性別すら異なる声色で喋るようになったかと少し驚いた。


「ん? 誰?」


 エアコンが温度湿度を喋って伝えてくれる世界からの転生者。正直、違和感は無かった。何となく口から出た問いかけだった。


「アワワワ、アノ……」


 しかし、怪しすぎる狼狽え方。アリアのラブラブ(ヤキモチ)センサーにアラートが鳴り響いた。


「誰?」

「……」


 質問は同じでも圧が強い。そして『無回答での沈黙』というこの場で最も愚策を選択するスーパーAI。好意が爆上がりしたばかりなのでちょっとしたことで大暴落の危険性大だ。


「ちょっと、何とか言いなさ――」

「――何してるんですか、アリア准尉?」

「うひぃっ!」


 ビックリして振り向くと不思議そうな顔をしたエルメラが立っていた。オリハはステルスモードで見ることはできないし、指向性スピーカーでアリアと話していたので側から見れば独り言を言っているようにしか見えなかった。


「あぁ、え、ええエルメラさん……あの、その――」

「――アリア、キョウリョクシャ」

「えぇ……えっ、協力……はぁ?」


 オリハの言葉の意味が分からず目を泳がせながらブツブツ呟いているとエルメラの方がポンっと手を叩いた。


「何かお手伝いできることありますか?」

「あっ……えっ? あー……あの、まだ極秘なんだけど……次のファッションチェック・アリアで……そ、そう! この基地を紹介して欲しいって――」

「――きゃーーー! ヤバいですね、それは!」


 会心のアドリブが成功してかエルメラの心を完璧に掴んだようだ。オリハの満足そうな声が聞こえてきた。


「イイネ。デハ、アンナイ、シテモラオウヨ」

「あっ、うん……エルメラさん、まず下調べにざっと基地を紹介してもらえると助かります」

「はい! 不肖エルメラ、全力で案内させていただきます!」

「よよ、よろしく……」

「ロジャーー!」


 満面の笑みで敬礼するエルメラ。それを見てぎこちなく笑顔を作るアリア。


「う、うん。あっ……ま、まだ公表していないので……ひ、ひっそりお願いします」

「はい! 現時点からの行動は機密扱いとします!」

「よ、よろしい……」



◇



「こちらが武器庫……あっ、こういうのは不要でしょうか? アスレチックジムを案内した方が良いですか?」

「あっ……いえ、全ての設備をまず見せてもらおうかと。その上で番組構成をこちらで決めますので……」

「ハイ! 失礼しました」


 心が痛むアリア。張り切るエルメラに背後から無言で手を合わせて謝っていた。しかし此方もそれこそ仲間の命が懸っているかもしれない。


(エルメラさんは悪い人じゃないけど……)


 この作戦は継続することに決めた。基地内をどんどん紹介してもらうと、初日に来た司令部が奥に見えるエリアまで辿り着いてしまった。部屋の前には警備兵の姿も確認できる。


「司令室です……けど、入ります?」

「あっ……んー……」


 思いっきり悩むアリア。


(流石にヤバいよなぁ……入ったら多分逮捕よね、タ・イ・ホ)


「あっ、オリバー少尉とマルコ大尉だ」

「ぎゃっ!」


 後ろの方から近づいてくる二人。慌てふためくアリア。


「エルメラさん! あの二人にはヒミツなんです。な、何とかなりませんか?」

「あー、サプライズですね。じゃあ……あっ、そこの倉庫に入って、早く!」

「うひぃー!」


 パタンと扉を閉めると二人の声がする。


「エルメラ、何してるんだ?」

「はい。倉庫の片付けをしております!」


(扉一枚隔てて私を殺そうとした人の仲間がいる……)


 生唾すら飲み込めないアリア。できる限りで息を潜めるしかない。静かにしゃがみ込むと冷や汗を拭くために帽子を脱いだ。


「……そうか……この倉庫は……」

「はい。生理用品なんかの……」

「……ゲスな奴もいるからな」

「そんな男が来たらぶん投げてやりますよ!」


 扉に耳をつけて聞き耳を立てていたが突然のエルメラの大声に驚いて尻餅をついた。四つん這いでもう一度扉に耳をつけると足音が聴こえた。


「……お前にも招集がかかっている筈だ。急げよ」

「はい! ありがとうございます!」


 ここで足音と笑い声が遠ざかっていく。警備兵が敬礼する踵の音が響くと同時に、自動ドアの開く音と大勢の人の声が数秒だけ聴こえた。どうやら二人は司令室に入っていったらしい。静かに長い安堵の息を漏らしているとオリハがマジックハンドで背中を突いてきたので小声で注意するアリア。


「なによ……密室だからって興奮――」

「――アリア准尉、急ぎの招集がかかってたから失礼させていただきます」

「ひっ!」

「では撮影がんばってください!」

「あっ、はい。あ、ありがとうございます」


 ここで足音が遠ざかっていった。オリバー達の時と同じように踵の音、続いて大勢の話し声が聴こえてきた。暫くすると物音は全く無くなり、ほっと一息吐くことができた。


「ふぅ〜……ひゃん!」


 今度はマジックハンドでお尻を突かれた。そのまま片手でお尻をガードして振り向くと、いつの間にかLEDは赤点滅していた。


「ハァハァ……アリア……スコシダケ……」

「こらっ! 良いわけないでしょ!」


 立ち上がってから咳払いをして落ち着くアリア。前屈みになって人差し指を向けて注意しようと口を開く。


「落ち着いたら静かなところでゆっくり……」


 ここで急速に顔が赤くなるアリア。両思いを確認できたのだから、止まる理由などありはしない。それが逆にアリアを臆病にもさせるし、色んなシチュエーションを想像して興奮もしてしまう。


(こらこら、私は何を言おうとしてるんだ)


「……イイノカ?」


 このタイミングで真剣に問いかけられれば、もうただの乙女でしかない。LEDを真正面から見つめながらこ(・)く(・)ん(・)と頷いた。


「……いいよ」


 アリアの脳内では二人の周りにピンクの花々が咲き乱れた。キラキラが輝くラブラブ空間。いつの間にか展開されたマジックハンドに抱き締められた。


「あっ……オリハ、もっと抱きしめて……」


 甘い台詞(ゴーサイン)と共に抱きしめる力が強くなったが、急にマジックハンドがプルプルと震え始めた。


「イカーン! アリア、テイサツ、スルヨ」

「えー……あー、そ、そうね」


 また流されるがままだった、とアリアも少し反省しているようだ。音も無く窓に近づくドローンの背後を頭を掻きながらついていく。窓は閉じられていたが、マジックハンドを器用に使って鍵を開けると心地よい風が倉庫に流れ込んだ。


「ココカラ、ミニイコウ」

「へっ?」



◇



「ちょっと……ひぃっ……怖っ……」


 空中に浮いているアリア。もちろんステルスモードのオリハにぶら下がっている。基地司令部は六階建の六階にあり、なかなかの恐怖感を感じる高度だ。

 音も無く司令室の窓に近づく。


「ひー、見つかったらどうしよう?」

「ニゲルダケー」

「……そ、そうよね……よし、情報収集よ」

「ロジャー!」


 そのまま司令室の真ん中辺りまで空中を進む。大きな窓ガラスはブラインドがピッチリ閉まっていて中の様子を伺うことはできない。


「まぁ、ブラインドが開いたらこちらも丸見えですけどねー」


 エアコンの室外機が取り付けられるくらいの隙間があったので、そこにアリアは降ろされた。とりあえず窓ガラスに耳をつけてみるが物音一つ聴こえてこない。


「ダメね……中の音も分かんない」


 悄気(しょげ)ているとオリハは触手を伸ばして窓ガラスに触れていた。


「フンフン……イケソウダ……」


 アリアはオリハが一人呟いているのを眺めていた。暫くするとマジックハンドがヘッドセットを付けてくれた。次の瞬間、司令室の中の音がクリアに聴こえてくる。


「コレクライ、ナラ、ヨユー」


 オリハはガラスの細かな振動を音声化してアリアに聴かせていた。3D音声で臨場感溢れる音が聴こえてくる。


「凄い……目を瞑ると部屋の中に居るみたい……あっ、マルコさん……」


 マルコとオリバーが敵なのか、それとも何かの誤解なのかはまだアリアには分からない。とはいえ見知った声が聴こえてきたので集中して聞いてみる。


「貴官が特務を受けているのは理解しているつもりだ。しかし……街の住民を皆殺しなど承知できるわけがない。どう考えても交戦規定から逸脱している」

「皆殺しでは無い。これは新時代を作る為に必要な試練なのだ。今のままでは土地や空気中に漂う御霊(みたま)の数が少な過ぎる」

「何だそれは? スピリチュアルか何かか? 残念ながら貴官がカルトの教祖か何かなら協力などできん」


 部屋の中では強めの言い争いが行われている。アリアは自分が怒られているような感覚のせいもあるがあまりに不穏な言葉に怯えていた。


「……街の……街の住民を皆(・)殺(・)し(・)って……どういうこと?」

「……」


 オリハも何も答えなかったが、実際はこの時点である一つの推測に辿り着いていた。しかしそれは自身の中でも突飛すぎた発想だと要検証のフラグがついている。故に何も回答できなかった。


「あれ? オリハ?」


 沈黙を不思議に思ってオリハの浮いているだ(・)ろ(・)う(・)空間に視線を向ける。もちろん何も見えないが、空気の流れに動揺は感じられない。何か、真剣に考えているんだろうと判断したアリアはまた目を瞑って会話に集中することにした。司令室の中では議論が更にヒートアップしている。


「カルト? 宗教とでも言いたいのか、マルコ大尉……巫山戯(ふざけ)るな! そんな低俗なものではない!」

「じゃあ街の住民を虐殺する正当性を語ってください!」

「虐殺? あはは。依代(よりしろ)を集めることは遥かに高尚な行為だ」

「ヨリシロ……何だそれは?」


 アリアには会話の意味は分からない。ただ、皆殺し、虐殺という言葉に怯えていた。ふとオリハがボソリと呟く。


「マサカ……イヤ、た(・)ま(・)は(・)が(・)ね(・)……ナノカ」

「ん? オリハ、なんて言った?」


 しかし回答はない。不満をぶつけようとした瞬間、耳に怒声が聴こえてきた。


「軍隊は敵対勢力と戦うか、人民を護る為の存在だ! カルトの言い訳など飲むわけがない。オリバー、帰投するぞ。憲兵に報告……な、何故だ?」

「マルコ大尉。考え直してください……」


 急に緊迫感のある声が聴こえてきた。嫌な予感しかしない。


「オリバー、どうした? あの男は街の住民を全員殺すと言っているんだぞ? 意味もなく殺すなど――」

「――仕方ないんです。全てはミスリル様の為。全てはタマハガネの為なんです」

「……トチ狂ったか……オリバーーっ!」


 刹那に響き渡る数発の銃声。


「残念です。隊長なら理解してくれると思ったのですが……」

「大義の為、よくやってくれた。この犠牲も必要なものだったのだ」


 オリバーの辛そうな声。すぐにミスリルと呼ばれた男がフォローしていたが、そんなやり取りは乾いた茶番にしか思えなかった。


「はい」

「この作戦が無事に終わった暁には、このような悲劇も報われる。なぁ、オリバー大(・)尉(・)」

「……はい」


 信頼するお兄ちゃんが実は悪党だった、という事実を噛み締めるアリア。するとオリハがマジックハンドで抱く力を強めてくれた。


(でも、私の選択は間違ってなかった)


 抱きしめてくれている透明なマジックハンドに手を重ねる。それだけで心が躍るように軽くなる。


「何っ? 輸送機が……ワイルド・スカンクから来た女に奪われた、だと!」


 遠くからエンジン音が聴こえてくる気がした。


「アリア、カミナダ。ムセン、アッタ」

「凄い! 本当に輸送機をゲットしたんだ!」

「Warning. The roller blind is opening. (警告。ブラインドが開きます)」


 マジックハンドの手を握って喜んでいると、またも怪しい女の声がヘッドセットから聴こえてきた。


「あっ! さっきの。ねぇ、誰の声なの?」

「アワワワ……」


 先程と同じようなやり取りをしていると、本当に窓を覆うブラインドが上がっていった。部屋の中の全員が輸送機を確認しようと窓から上空に視線を向けている。


「やばっ……」


 数秒は何も飛んでいない空中を見ていたが、徐々に全員の視線が降りてくる。最終的には全員が窓の外にいる少女を見ていた。


「えへっ。ハーイ……」


 愛想良く手を振ってみるアリア。数名の男は手を振り返してくれた。


「誰だ?」

「何をしている!」

「いつからいたんだ?」


 蜂の巣を突いたような騒ぎになり始めたが、一人静かにアリアを見つめる男がいた。


「アリア……なのか?」


 オリバーだった。ビックリしたような顔でこちらを見つめている。どう反応しようか考えていると、透明なマジックハンドに引っ張られた。


「あれ、ちょっと……えぇぇぇ」


 そのまま足を踏み外すとアリアは地面に落ちていく。これには流石に驚いたのか、皆が慌てて窓に張り付いて外を覗いていた。しかし風船のようにゆったりと落下していき六階から落ちたとは思えないほどに軽やかに着地した。ドローンは不可視モードなのでパルクールか何かのようでもある。

 そのままペコリと頭を下げると格納庫の方に全力で走り始めた。


「アリア、ムセン、ツナゲルヨ」


 直後にヘッドセットからカミナの雑音混じりの声が聴こえてきた。


『――ザザッ……アリア、アリア! 聴こえるか?』


 余裕のない声。

 それを聞くとこの身に迫る危機を意識してしまう。胸の辺りが苦しくなってきた。


「カミナさん! 輸送機降りられますか?」

『――無理に決まってるだろ。あと何回か旋回してやるからその間に空中で飛び乗れ! ほらよっ』


 音の方を見ると建物の影から輸送機が現れた。想像していたより近くて低い。殆ど真上で旋回する機影は後部ハッチが徐々に開いていくのも良く分かる。


「見えました……って、アレに飛び乗るのー?」


 想像したのはこのままドローンに引っ張られて空中散歩でドッキングだ。


「空中ブランコやるの……?」

「アリア、ソノマエニ、ヤルコトアルヨ」

「へっ?」


 直後に地上からも爆音が聴こえてきた。数機の軍用BMが容赦なく銃をこちらに向けて高速でこちらに近づいてくる。途中で二機は輸送機に狙いを定めて止まったが、一機はアリアの近くまで滑るように近付くと銃口をアリアに向けて止まった。

 ここで司令部からも数名が銃を持って駆けつけてきた。オリバーが先頭にいる。


「アリア。逃げ道はもう無い。手を上げてうつ伏せになれ。反抗すればミンチ肉だ!」

「オリバーさん……」


 少しだけ優しさの混じった声。アリアはオリバーの顔を改めて確認した。そこには『優しいお兄ちゃん』は居らず、ただ『不気味な男』が存在していた。


「信頼していました……」


 呟くとオリバーが早口で喋り始めた。


「そうだ、アリア。正式に同志となれ! 俺達と共にこの世界と戦おう! どうだ?」

「……街の人を殺すの? ローズちゃんみたいに……」


 慌てるオリバー。どちらかというと『何故にこんな崇高な理念を理解できないのか』と苛立っているように見えた。


「魂は救済される。苦難に生きるより真の自由を――」

「――うるさいっ!」


 アリアの両方の瞳からは涙が溢れていた。それでも、オリバーの方をじっと睨んでいる。

 ふと今まで身体に感じていた空気の流れが止まったのを感じた気がした。


「アリア、ジュンビ、デキタヨ」

「うん」


 モデルのようにポーズを決めると指鉄砲をオリバーに向けた。


「さようなら。もう二度と会うこともないでしょう」


 刹那にアリアの後ろの空間が裂けてコクピットが現れた。吸い込まれるように収まると同時にアリアの姿が上から見えなくなっていく。

 ものの数秒でアリアは完全に消えていた。


「ファーー○ク! 魔女だ、『ドローン連れの魔女』だ!」


 オリバーが叫びながら構えていた拳銃を発砲する。合わせて数名が自動小銃を連射し始めたが背後の軍用BMから火花が上がるだけだった。直後に数十メートル横の地面で砂煙が上がるのと同時に展開していた三機のBMの銃火器が爆発した。



◆



「あれは……まさか……」


 混乱する現場を司令室の窓から眺める男。ハッチを閉めながら飛び去っていく輸送機を睨みつけながら呟く。


「まさか、玉鋼(たまはがね)の……誰だ?」


 酷く個人的な恨みでもあるように一瞬顔を顰めたが、直ぐに平静を取り戻した。深くため息を一度だけ吐くと、焦る様子もなく司令室を後にした。

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