P29:紹介します。私のカレシです【04】
◇
連れてこられたのは倉庫街の一画でピカピカのバイクが数台駐車してあった。見た目からしてオシャレな人達の秘密基地、という感じだ。
「グースネストへようこそ」
「……」
(某大御所コメディアンのガレージみたい……)
テレビで見たことがあるだけの場所を想像しながらついていくと、大凡想像通りの空間が広がっていた。ビリヤード台らしきものとクラシックカーらしきもの、後は漫画やゲーム。ジュークボックスからは重低音が響いている。
「男の子の夢みたいな空間ね……」
「だろ? 分かってくれると嬉しいよ!」
溜め息を吐きながら海外ドラマのヒロイン気分も感じていたアリア。遠慮なくオリバーが肩を抱いてくる。
「紹介するぜ。アリアだ」
「ヘイ、ガール。覚えてるよ。ボビーだ」
「俺はマーク。ようこそネストへ……って撃墜判定喰らった女の子を忘れるかよ」
抱かれる肩を手で剥がしてオリバーから離れると両腕を組んで仁王立ちするアリア。馴れ馴れしいボディタッチに苛立ってるフリをする。シスコンの兄を遠ざけるイメージで演技している。
(こういうのが……現実になっていくのかな……)
このまま順調にオリバーから迫られれば『お兄ちゃんと思ってたら彼氏だった』みたいな少女マンガっぽい展開になってしまうし、座っている二人からだと『お兄ちゃんの友達といつの間にか……』みたいな展開かな、そんな創造に想いを馳せているアリア。
ふと前世の男子達がこぞって読んでいたエロ漫画の『寝取られ陵辱モノ』をイメージしてしまい寒気を感じる。身体が震えるのを目敏い一人が見つけてパチンと指を鳴らした。
「どうした? 寒いか? それか膀胱がいっぱいに――」
「――マーク、ぶん殴られたいのか?」
揶揄いに向けられた凄みのある声が弱い風に乗って聴こえてくる。たったそれだけで心が躍る。思わず微笑んでしまう。
「オリバー、まだシスコンが治って――」
「――機嫌が治ったようだから許してやる。アリア、何か飲むか?」
「あっ……じゃあ何かジュース――」
ここでもう一人扉を開けて入ってきた。マルコ隊長と呼ばれた男だ。
「――マルコさん?」
ここでアリアを無視してリラックスする男達を睨みつけると靴を鳴らして姿勢を正した。
「総員、戦闘準備。オペレーション・ガーベージの実施が承認された」
「おっし!」
「隊長、流石だぜ! 先ずはワイルド・スカンクからだっけ?」
だらけた姿勢から飛び起きると隊長と同じく姿勢を正した。
「ボビー、街の制圧からだ。作戦決行は二時間半後なんだぞ? それまでに作戦指令書を読み込んでおけよ」
「イエッサー!」
迫力に気押されるアリア。暫しの間、呆然としているといつの間にか四人に見つめられていた。
「……えっ? な、な、なんですか?」
オリバーだけが神妙な顔をしている。
「隊長……アリアは――」
「――チャンスはやったが時間切れだ。妹風な女か仲間か、どちらか選べ」
「……ロジャー」
そのまま出口に向かうオリバー。マルコ隊長が追い抜かれざまに肩に手をかけて慰めているようだ。そのまま二人で出ていってしまった。
ポツンと残されたアリア。
「どうなってんの?」
「おっと忘れてたよ、キンキーガール」
「きんき……? えっ、から揚げ?」
「そうだな。二時間あるし……」
こちらの問いかけを無視して男二人で会話を続ける様に苛立つアリア。
「ねぇ!」
仁王立ちのまま二人を見つめるが、いつもの飄々とした感じが変わらない。オリバーの表情の変化と比べて変わらなさ過ぎて逆に怖い。
「確保と移動で一時間かな?」
「その辺は五秒で終わらすこともできるし」
「ヒュー! 怖い怖い」
「ちょっと、何を――」
同時に振り向くボビーとマーク。ビクッと動きが止まるアリア。
「――まぁ、こんな痩せっぽっちじゃ二度も三度もできねーよ」
「贅沢だな。オレは三回はできる自信があるぜ」
「じゃあ二人で三十分くらいか? 俺が二十分でお前は三分が三回」
「うへへ。じゃあ気合いで四回だ。それなら満足できそうかい?」
最後の一言だけはアリアに向けられていた。ウインクすると急に上着を脱ぎ始めるマークと呼ばれた男。
「こらっ! 意味分かんないって!」
アリアが大声を上げても特に気にせず二人で会話を続けている。
「じゃあオレが先な」
「いきなり壊すなよ」
「大丈夫だって。俺は優しいしテクニシャンだぜ」
「早いけどな」
「そろそろブン殴るぞ?」
ボビーがソファーに腰掛けながら両手をどうぞ、とアリアに向ける。すると上半身裸のマークは逆三角形の筋肉質のボディーを自慢げに見せつけてきた。目のやり場に困っていると舌舐めずりしながら歩いて近づいてくる。
「ちょっと! な、何する気よ!」
マークはそれ以上会話をする気はないらしい。流石に危険を察知したアリア。逃げようとした瞬間、ボビーが銃口を向けているのに気づいた。
「そういうこと。大人しくしていれば股の間以外から血は出ねー」
ここで『強姦するつもり』だと理解した。何が原因かは分からないけど、もう今までの関係を続けるつもりはないらしい。
「本気なの……?」
「もちろん!」
身体の力が無くなったようにグッタリと俯いてしまうアリア。悪態もつかないので少し拍子抜けしたような二人。
「よーし、良い子だ。大人しく――」
「――結局これが現実よ。こんなんだったら要らないと思わない?」
アリア、突然の問いかけ。二人が一瞬警戒して周りを見渡す。
「独り言かよ……そういやネイサンはどうした?」
「バフガールの方を堕としてる。もう二時間はヤリ部屋に篭りっきりだぜ? トロトロじゃねーかな。うへへ」
「あっちも味見しないとな……」
下ネタにも全く反応しないアリア。二人して互いに肩をすくめ合うと、またマークはアリアに近づき始めた。
「ではキンキーガールちゃん、まずは服を――」
「――ほんと、面倒よね。結局あなたが私をしっかり抱き締めてれば、こんなことにならなかったのに!」
また辺りを見渡す。もちろん三人の他には誰もいない。
「私はね……あなたが幸せにしてくれるとは思ってないの。自惚れないで!」
「おいおい、誰に向かって話してんだよ?」
俯いたまま、演劇のように一人で喋り始めたアリアを気味悪がるマーク。ボビーの方を向くと呆れたように肩をすくめていた。
「修羅場経験が足りないな。捨てたオリバーに決まってる」
「……あぁ、フラれたことをブチ切れてるのか」
納得するマーク。
しかし、アリアはオリバーでも、ましてやこの部屋に残る二人に話しかけているわけでもない。
「ねぇ、聞いてる? あなただけの選択肢じゃないの。私も選ぶ権利はあるわ」
「へへへ、そうだぞ。今は無いけどな。あっ、最初が前か後ろかは選ばせてやるよ」
マークが勝手に下ネタで返事をしている。しかし、不可視の戦闘AIは確かにアリアの言葉を全力で聞いていた。
「私のことだけを考えてくれて、私のことだけを大切にしてくれて、私の幸せだけを願ってくれる。あなたはそんな存在よね」
◇
(ズット、カンガエタ、ケッカ、アリアノ、シアワセニハ……AIハ、フヨウダッタ――)
「――で、現実はこうなのよ。分かる? あなたが私を幸せにするなんて出来ないのよ!」
(ソウダ。シミュレーションノ、ケツロント、オナジ――)
「――だから二人で幸せにならなきゃいけないんでしょ? 他人を幸せに出来るなんて思い上がるな!」
ここで愕然とするオリハ。シミュレーションのパラメーターに決定的な誤りを見つけた。
(フタリ……フタリノ……キモチ)
恐る恐るBMのコンピュータの中で未だひたすらに動いているシミュレーションのパラメーターの根幹を変え始めた。
『オリハがアリアを幸せにする方法』
から
『オリハとアリアで幸せになる方法』
に変更する。そして二人の感情パラメーターに手を伸ばす。オリハの好意は百パーセントだ。アリアの好意は不確定にしてある。スライダーを上げていく。五十パーセントまで上げるとスライダーの動きが止まり小刻みに震える。
(ド、ドノクライ……アリア……アリアノキモチ……)
「分かったかバカ野郎! 私は……私はお前のことが好きなんだ!」
その瞬間、オリハはスライダーを限界まで上げてシミュレーションをスタートした。
するとパラメーター不足のアラートが表示された。
『対象期間が不明確』
また動きを止めるAI。すると、心が通じ合うような奇跡が起きた。
「未来永劫、絶対に好きとは言わない。でも今はあなたが好き。それだけは絶対よ」
NOWと入力すると瞬時に結果が表示された。
『バカップルなら何しても二人は幸せ。勝手にしろ』
全てのゴミメモリが破棄され、タスクの整合性が整理され、腐ったシミュレーションプロセスが全てキルされた。生まれ変わったように清々しい気分のオリハ。フラフラと飛ぶドローンの姿勢制御が寸分の狂いもなく行われるのを感じた。
『――mission compleet.(ミッション完了)』
これはアリアには聴こえないAI同士の量子的な会話。ナンシーも『Happy Ending』の条件である『AIが人を幸せにできる事象を確認する』の達成を認めた。
(ホントウニ……ホントウニありあヲ、シアワセニデキル)
オリハは今のアリアのセリフ『でも今はあなたが好き』を抽出すると厳重にロックして永久保存のフラグを付けた。そして、アリアを護る為に動き始めた。
◇
顔に当たる微量の風が変わったことに気づいたアリア。そっと顔を上げる。潤んだ瞳で睨みつけると目の前のマークは少しだけたじろいだ。
「どうせ私の彼氏はAIよ……」
「はぁ?」
「愛の巣なんかコクピットなのよ」
「何言ってんだよ?」
モデルのように立ちポーズを決める。
「それでもリアルのお前らなんかより百倍カッコいいわ!」
恐怖で架空の恋人でも語っていると判断したマーク。相手にしないことに決めた。
「さて、迫力の演技良かったぜ。さて可愛い子ちゃん、俺と――」
「――紹介します。私のカレシです」
突然の言葉に再度辺りを見渡す。もちろん誰も居ない。
「焦らすな――」
「――ショウカイニ、アズカリマシタ、カレシデス」
何処からかは分からないが機械音声が聴こえてきた。その瞬間、バチンと音がするとマークの身体が痙攣した。
「デハ、デンゲキヲ、ドウゾ」
「もう気絶してるじゃん……」
大きな音をして倒れるマーク。何をされたかは分からないがボビーはアリアから攻撃されたと判断した。そのまま容赦なくアリアに発砲した。頭部に二発、胸部に二発を正確に撃ち込んだ。しかし、銃弾は何故か一発もアリアに届かない。身体に届く前に透明な何かに阻まれてしまった。
「ドローン連れの魔女! ファー○ク!」
叫びながら連射するが決して銃弾が届くことはなかった。スライドが後退して弾切れを示していても、ひたすらに引き金を引くボビー。
「な、な、何だ、何だよ?」
「私、カレシ持ちだったの」
呆然としているボビー。銃がゆっくり下がっていく。
「な、な……」
「デハ、オマエモ、デンゲキ、クラエ」
先ほどより大きな音と大きな痙攣。焦げ臭い匂いと共に軽く弾け飛んだ。
「コロソウト、スルノハ、ヨクナイ」
アリアはボビーの右後方の上空を見つめていた。すると、寸分違わず見ていた場所にドローンが音もなく現れた。
「アリア……」
「オリハ……私……」
二人がキラキラに包まれて接近していく。両手を伸ばせば届きそうな距離……まで来たところで急にアリアは腕を組んで膨れっ面になった。
「アンタに最初に襲われた時を思い出したわ!」
「エエエッ……」
ラブラブからの不意打ちでまともに反応できない。マジックハンドを伸ばせば身体を触れる距離なのに、今、オリハのカメラからはアリアは何キロも先とエラー表示するほどに動揺している。
「エエッ……ア、ありあ……」
精神的な距離と実体との距離を混同するほどの混乱。姿勢制御も覚束なくヨタヨタと震えていると、突然アリアは飛びついて抱きついた。慌ててプロペラでアリアが怪我をしないように回転部を本体から離す。
「モウ……アブナイッテ……エッ?」
そのままセンサーの辺りへキスをするアリア。
「エッ? ア……アレ?」
「……もうっ! ご褒美よ……」
自分からキスしておいて照れているアリア。数秒見つめ合うと顔を真っ赤にして俯いてしまった。それを見たオリハの全センサーは瞬時にフル活動し始めた。目的はアリアの状況把握。アタックを仕掛けた場合に確実な勝利を物にできるかどうか。そして瞬時に戦況シミュレーターは解答を出した。
『You have the green-light.(攻撃を許可する)』
LEDが紅く光ると刹那に展開したマジックハンドがアリアを絡め取る。
「あんっ……」
やはり否定の回答なし!
「……ア、ア、アリアーーーッ!」
「いやーーん」
瞬時二本のマジックハンドがアリアを強く抱きしめる。同時にVRゴーグルがアリアの視界を奪っていた。八頭身の美形が半裸で息荒く抱き締めていた。アリアも仮想現実の中では下着すら履いていない。
不快感は無く興奮のみが支配するキラキラ空間。
「アリア、モウ、シンボウタマラン、アリアーー!」
「だ、抱い――」
ここでドアがバタンと勢いよく開いた。アリアが視線を移すと八頭身オリハの背後で干からびた裸の男を引きずる下着姿のカミナが居た。
「あっ、カミナさん! 無事だったんですね!」
「カミナ……ジャマ……」
左手で引きずる男をポイっとソファーに投げ捨てると右手でバツが悪そうに頭を掻いている。
「すまんすまん。邪魔するつもりはなかったんだけどね」
こちらはこちらでほんのり上気した身体が色っぽ過ぎる。明らかな事後だ。床に乱雑に投げ捨てられた自分のズボンやシャツを見つけると気怠そうに身につけている。
「いやね、自信満々だったから久々に本気で搾り取ってたんだけど……全く、今の若い男は根性がないな……」
「えぇぇぇ……」
「もう二、三回はヤリたかったんだけどな。すまんね、こちらだけ楽しんでさ」
ニヤリと笑うカミナ。イチャコラしてても本番は未経験のアリアとオリハ。あまりの生々しさに自らの次のアクションを想像して二人とも反転して背中を合わせている。
(恥いー。でもって、や、ヤバかった……あのまま最後までイクところだったわ……)
振り向いてチラリとオリハを見つめるアリア。オリハも同時に振り向いたので視線が合った。二人同時にビクッと痙攣すると再度背中合わせになってモジモジしていた。
「ア、ア、カ、カミナ、アア、アリア……」
「な、なになに、なに?」
「エッ? アッ……キレイダヨ……」
「えーっ! オリハ……」
キラキラ空間の中に二人。飛び散る星のかけらを邪魔臭そうに手で払う素振りのカミナ。呆れ顔でポンっと手を叩いた。
「そうだ。さっきの部屋で少し休憩してきたらどうだい?」
顔を真っ赤にしたアリアとLEDが不規則に点滅するドローンがもう一度顔を見合わせた。
「……きゅうけ……休憩!」
「ア、アリア……イコウカ?」
「……うん」
フラフラ飛ぶドローンと手を繋いで大人しくついていくアリア。突然にマジックハンドを振り払った。
「ちがーう!」
「エーーーッ……」
カミナに走って近寄ると今にも泣きそうな顔をしていた。
「カミナさん。アイツら『ワイルド・スカンクじゃない。街の制圧が先だ』なんて言ってた……なんか怖い……今までとは違う怖さを凄く感じたの……」
「……」
カミナはアリアを見つめてじっと考えている。ヒョイとオリハの方を見てみると壁に向かってシャドウボクシングをしていた。
「オリハ?」
「……ハジメテ……ゼンブデキル、ハズ、ダッタノニ……」
「オリハ、聞いてるのか?」
「ンーー?」
不機嫌そうな機械音声に不規則な排気音。威嚇するマジックハンド。ゆっくりこちらを振り向いた姿は少しだけカミナに恐怖を与えた。
「おいおい、焦るなよ、バージン」
「ド、ドド、ドウテイ、チャウワ!」
定番の揶揄いで大いに焦るドローン。中身は青春真っ盛りの少年だ。
「それより状況分析だ。どう思う?」
語りかけながら三人を拘束することにしたらしい。適当な電源コードで手際良く腕や足を縛っている。
「ねぇ、どうすれば……ぶっ! オリハ、服着なさい!」
「ア、ゴーグル、ツケタママカ……」
「へー、ゴーグル越しにはなかなかの光景が見えてそうだな……」
瞬時に画面の中では迷彩服を着る八頭身オリハ。これはこれで精悍な姿なので思わずときめくアリア。完全にフリーズしてぼーっとドローンを見つめていたが、呆れたカミナがVRゴーグルを少し上にずらした。
「はっ! ありがとうございます。で、オリハ、どうなの?」
冷静になったアリアが再度オリハに問いかけるがドローンは微動だにせずホバリングしていた。カミナがゴーグルをオリハに投げてもホバリングの姿勢は一ミリも崩れない。その様子を見つめて息を飲むアリア。
「無線があるといいんだけどな。取り敢えず基地に確認したい。その上で偵察を出して欲しいな……」
カミナは顎に手をやって考え込んでいる。
「何が起きてるんだ?」
「カミナ。ヒトリ、オキルミタイ」
「ん?」
倒れている三人を確認すると最初に電撃を喰らったマークが意識を取り戻そうとしていた。
「丁度良い。起きたなら聞いてみるか」
◇
カミナとオリハの本気の尋問ということでアリアは小部屋に入っているよう言われたので大人しく従っていた。
(ここって……カミナがエロいことしてた部屋よね……)
流石にゴミ箱を漁ったりはしなかったがベッドをそっと触ってみる。
(うっわ、少し湿ってる……)
ギュッと自分の身体を抱きしめた。まだ身体の奥底に燃え残っている欲求を感じる。そのまま掌を胸に滑らすと先端が固く尖っているのが感じられた。
「痛いくらい……あっ――」
「――アリア、もう良いよ」
「はひぃっ!」
慌てて振り向くが胸の先端が擦れて少し痛かった。そんなことは勘繰られないように何食わぬ顔をする。
「な、なななんですか? 変なことしてませんよー」
夢見心地なバージンの妄想など全く気にしていないカミナ。何も言わずに部屋を出ていったので慌てて追いかけた。ソファーにはマークと呼ばれた男が気絶している。結局十五分ほどで再度気絶することになったらしい。
「ブラバマウスのおかげでターゲットは明確になった。しかし目的が分からん」
「メインターゲット、ハ、ワイルド・スカンク、ト、マチ、ソノモノ……」
「何でだよ……意味分かんねー……」
カミナとオリハが話しているのをじっと聞いていた。作戦とか戦略とか言われてもピンとこないアリア。ふと基地の皆が心配になってきた。
「ねぇ、早く帰った方が良いんじゃない……かな?」
呟くとオリハとカミナがジロリと見つめてきた。
「な、なん――」
「――BMデアルクト、チョット、ツカレル、キョリ」
「ざっと三日はかかるな」
「えぇぇぇ……」
輸送機で数時間というのは相当な距離らしい。ここでポンっと手を打った。
「あっ、なるほど……なら」
ここでアリアは悪戯っ子のようにニヤリと笑みを浮かべていた。
「私達が怪しまれる迄に、まだ二時間ほど残ってるわよ」
――貞操の危機を脱したアリア。それは新たな危険の始まりだった
――そんな中、二人の間に燃えるような何かが生まれ、二人の絆を育んでいく
――イケ、アリア。生きていく為に。イケ、オリハ。最後までスルために
Sector:08 End
二人の絆の回数:五十五回(抱き締められた時に+1回)




