第5話 テラのレベル上げ中(アサヒ)
テラがヤケになってレベル上げをしている頃、アサヒとルナは何もしていなかったわけではなかった。
4話に書いた通りパーティーホームを作っていたのもあったけど、その他の話である。
* * *
その時のアサヒは『STAR』の中で最もレベルが低かったので、レベル上げをしていた。
建設途中のパーティーホームのある山にはレベル上げにちょうどいい攻撃力が高く、HPが少ない敵のいる迷宮がいくつかあった。
そのうちの1つのモンスターハウスでの話である。
「はぁ……」
アサヒは、ため息を付きながらも炎をまとった刀で眼の前にいた氷でできた鳥を斬り裂く。
今のアサヒはLv.15である。しかし、ソルはLv.20、ルナはLv.17、テラに至ってはLv.29である。ただ、上には上がいるもので、最高レベルのプレイヤーはLv.43である。
「もう25日だからなぁ、もっと頑張らないと」
いわゆるクリボッチである。かわいそうだなぁ。ちなみに筆者もアサヒの仲間です。悲しい。
まあ、そういうのはいいとして、アサヒが通路を走っていたとき、
「うわっ!?」
こういう場所を通っていたときのお約束のように床が崩れ、アサヒは落ちていった。
そして、お決まりのように迷宮王である氷でできた巨鳥がいた。
「なにか新しいスキルが手に入るといいなぁ……『居合・転移』」
アサヒは腰にさしていた刀に手をかけ、瞬間移動・居合をした。
そのまま連撃を叩き込み、炎をまとわせて突く。合計3割HP減。残りHP7割。
「『流星連斬』、あ、忘れてた。『炎纏』、『一連星』」
そこまでして迷宮王が黙っているわけがなく、無数の魔法陣を生み出し、氷柱を落とし始めた。
「やばっ、『盾状斬』!」
アサヒもある程度の氷柱は切ったが、数の暴力により少しずつ被弾していく。
魔法陣が消えた頃には、アサヒのHPは残り3割ほどになっていた。
しかしいくらか弾き返していたので、巨鳥のHPも残り4割だった。
「思ったより強かったなぁ、『火神の加護』、『炎嵐星斬』!」
ダメージを軽減し、高威力だが隙の大きい10連撃技を使った。
この巨鳥じゃ耐えきることは無理に決まっているようなものだ。アサヒも思わず過去形で言ってしまうほどである。フラグが立ちました。
巨鳥はこのままではやばいことに気づいたかのように大技を使った。自らを氷の槍のようにして飛び込んだのである。
「っ!、『火炎地獄』!」
それに対してアサヒは、火魔法の大技でカウンターを叩き込む。
すべて防ぐことはできないので、アサヒのHPがさらに減る。残り1割。
ただ、巨鳥のHPも残り1割をきっていて、あと一撃で死ぬほどだった。
ここでアサヒは普段の戦闘で最も使っている、クールタイムがあけたばかりの技を使う。
「『居合・転移』」
振るわれた刀は巨鳥に当たり、わずかに残っていたHPは消えた。
巨鳥が爆散し、30分に及んだ戦いが幕を下ろした。
* * *
「あー、疲れた。これ火魔法がなかったら詰んでたなぁ」
アサヒは寝転がって、さっきまで行われていた戦いを振り返っていた。
「あのとき油断したのが良くなかったなぁ、まあいいやっ。よっと………なんだ?」
アサヒは起き上がると、ようやく宝箱があることに気づいた。
開けると、装備と刀が入っていた。
【焔神の羽織袴】『戦神・阿修羅』『服炎纏』〈耐久力減少無〉ユニーク装備
STR +60 AGI +40 VIT +50
『戦神・阿修羅』……背中から6本の腕が増え、視野が全周になるが、長時間使うと
ダメージが入る STR +200% AGI +100% VIT +100%
『服炎纏』……衣服に炎をまとわせることができるが、長時間使うとダメージが入る
STR +50% AGI +25% VIT +25%
〈耐久力減少無〉……耐久力が減少しない
ユニーク装備……その装備しか存在しない、唯一の装備
【阿修羅刀】『炎纏』〈耐久力減少無〉ユニーク装備
『戦神・阿修羅』と連動し6本に増える
長時間使うとダメージが入る
STR +50% AGI +50%
『炎纏』……刀に炎をまとわせる
【焔神刀】『炎魔法』『焔神』〈耐久力減少無〉ユニーク装備
STR +100 AGI +75
『焔神』……焔神が宿っている
「へぇ、いいじゃん。使えそうだな。問題はHP減少か……」
その点はHPを増やせばいいと思い、アサヒは魔法陣で地上に帰っていった。
なぜ氷でできた鳥を倒したのに炎属性の装備が出てきたのかは、謎である。
それから期間ギリギリまでパーティーホーム建築とレベル上げをした。
そうして、2041年12月31日を迎えた。




