Miso soup Episodeー003
真由、その名前を口にしたとき、頭の奥がズンとした。
『・・・真由』青い髪留めを握ったまま私は立ち尽くしていた。知ってる、この髪留めを。
真由の事も知ってる、私が一番仲が良かった、友達。
休み時間になると一緒に遊び、放課後くだらないなぞナゾを出し合って二人で笑った。
『恐怖の味噌汁』そんなことを言って大爆笑していた。なのに、いつからか、真由の記憶だけが私の中から消えていた。
"どうして・・・"そう思った時、指先が震えた。頭の中に真由の場面が・・・浮かんだ。
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放課後の校庭・夕焼け・ランドセルを背負った真由が私の前に立っている
「今日も遊ぼ、美有」けれど、次の場面が思い出せない・・・。
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もう一つの場面が浮かぶ。それは古い井戸。学校から少し離れた場所に、誰も近づかなくなった井戸。
真由が言った「明日、ここで待ってるね」
「わかった」
でも、その記憶は、途切れた。
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我に返り、背筋が寒くなった。私はその場所へ行ったのか、行ってないのか・・・?
気になって、母に聞いた。
「昔、この辺りに井戸ってあったよね?」
母の手が止まった。
「井戸・・・・」
「古い、井戸」
「どうして、急にそんなことを聞くの?」
「昨日、思い出したの、真由のことを」
母の顔色が変わった。
「真由・・・」
「知ってるでしょ」
母は視線を逸らした。
「その名前久しぶりに聞いたわねっ」
「真由はどうしたの、今は元気なの?」
母沈黙の後、応えた。
「あなた、ホントに覚えてない?」
母は窓の外を見て話した。
「真由ちゃんがいなくなった日のことを・・・」
「いなくなった?」
「真由ちゃんは突然いなくなったのよ」
頭の中で青い髪留めが浮かんだ。
「私、その井戸へ行ってみる」
「美有、やめなさい、もう思い出さなくていいの」
「どうして・・・」
「どうしてもよ」
その言葉を聞いた時、確信した。母は何かを知っている。そして私は何かを忘れてる。




