Miso soup Episodeー002
翌朝、みそ汁のいい匂いに誘われて、目が覚めた。
麩の代わりに、わかめ・あげ・豆腐で、定番の具だけど、また、これも、おいしかった。
「ふぅー、ふぅー」とお椀を傾けて飲もうとしたとき、お椀の底に何かが見えた。
「ナニコレぇーっ・・・」
箸でつまみ上げると、それは小さな消しゴムだった。
薄汚れていて、角がまるくなってる。
(なんで、こんなの入っているの?)
ふきんで、みそ汁を拭いて、何気なく裏返したら、油性ペンで、"みう"と書いてあった。
あっ・・・、私のだ・・・。
小学生の頃、いつも筆箱に入れて、使っていた消しゴム。
ある日消しゴムを使おうとしたら、無くて、色んなところ、場所を探した。それでも結局見つかることはなかった、諦めた消しゴムだ。懐かしすぎる。
母が庭先から戻ってきた。
「どうしたの、大きな声出して・・・」
「そら、声も大きくなるさぁ、みそ汁からこれ、消しゴムが出てきたんだからさぁ」
「えっ・・・っ」
「知らないわよ、そんなの入れてないわよ」
「でも、この消しゴム、私のなのよ、小学生の頃使っていた消しゴムなの」
「えっ、そんなことってある・・・ぅ、不思議ね」
「名前もちゃんとホラ、書いてあるでしょ」
「ほんと、見えるわ・・・」
きっと偶然だよ、美有はそう思うことにした。
その夜目を閉じても、今朝の消しゴムの件が浮かんで、気になって、眠れなくて、ゴロゴロして、寝返りを何回もしていた。その時、"カタン"と台所から、小さな音が聞こえた。私は布団で、固まった。
しばらくして、私はゆっくり布団から出て、台所の電気を付けた。もちろん誰もいない。
戻ろうとしたとき、"コトン"と物音がした。
「えっ・・っっっ」
洗ってある鍋をそっと開けると青い髪留めが入っていた。
私はゴックンと息を呑んだ。手が震えて、でも、見覚えがなぜかある。
じーっと見つめ、あっ・・・、"真由"が持っていたものかも・・・?
その名前がふと、浮かんだのだった。




