86++++++話 全人類の認知を、サっと書き換えてくれたまえ。
86++++++話 全人類の認知を、サっと書き換えてくれたまえ。
・2008年。……理銀の鍵を使ってから5年が経過……
・センエース教の拡大が止まらない。
・信者数の急増が留まることを知らず、『センエースを信じない者は知性が足りない』と侮蔑されるようになる。
・セン本人は一切関与していないが、信仰体系は勝手に構築・複雑化されていく。
・『センエースの生誕祭は断食して、御生家の方向に向かって17時間礼をしなければいけない』などといった系統の、どこかの誰かが勝手に創った謎のマナーや儀式がどんどん増える。
「はじめてですよ、このわたしを、ここまでコケにしたおバカさんたちは。いや、実際のところ、初めてでもないが、何度くらっても新鮮にムカつくぜ。俺は『マナー講師が勝手に作った系のマナー』が大嫌いだってのに。……覚悟しておけ、虫けらども。こっちには、トウシという、死よりも恐ろしい究極の天才がついているんだ」
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――この頃から、センエースは『田中・イス・東志』との関係をより強固にしていく(ここまでは、仕事を丸投げするだけで、正面を切った交流的なものは少なかった。センエース自身は、『田中家に丸投げするだけで自分は何もしていない』と言い張っているが、産まれてから5年間、一度も休むことなく、朝から晩まで働き詰めの状態だったので、同年代の知人とゆっくり交流する時間などなかった)。
トウシは、天才しか生まれないイス田中家の中でも、間違いなく『史上最強・最高・別格の知性』を持つ天才の中の天才。
2垓年の神生の中で、センエースが最も頼りにしていた究極の知将である。
同級生なので、この段階のトウシはまだ5歳。
だが、その知性はすでに人類最高峰の域に到達しており、
複雑極まりないセンの未来話をすべて完全に理解してしまった。
「正式な5歳の分際で、実質2垓歳の俺より万倍賢いってどういうことだ、てめぇ。相変わらず有能すぎて腹立つわぁ。……殴っていいか?」
「アカンに決まっとるやろ、ぼけぇ」
「あとでタコ殴りにするのは確定として……とりあえず、お前にミッションだ。世界中の連中が、おまえの功績を、俺のものだと勘違いしている。由々しき事態だ。というわけで、全人類の認知を、サっと書き換えてくれたまえ。流石にちょっとだけ難易度高いミッションだから、秒でやれとは言わんよ。2~30分くらいかかっても、ちょっとしか怒らないから、ゆっくりやってくれ。じゃ、よろしく」
「ワシの演算結果を、おどれのものやと勘違いしとる……という部分もゼロではないやろうけど、根本の話はそういうことやなく――」
「ごちゃごちゃ言わなくていい。貴様はただ、俺様の命令を聞いていればいいんだ。わかったか、ナッパァ!!」
「仮に、ワシが、何らかの方法で、人類の認知を書き換えたとしても、どうせ、また、今と同じ状態に戻ると思う。なぜなら、どうせ、おどれは、今後も、同じように、世界と人類に尽くすやろうから。人間はアホやけど、そこまでアホやない。誰が一番、死に物狂いで頑張っとるからぐらい――」
「ゴミみたいな言い訳をダラダラと! 情けない! 口ではなく手を動かせ! 俺が求めているのは結果だけだ! そんな有様だから『今どきの若い奴は終わっている』と言われるんだ!! 本来、この程度のミッションは、言われる前に実行すべき! 銀河一の天才が聞いてあきれる!! だから貴様はダメなんだ! 何がどうとは言えんけど!!」




