65話 主導権。
65話 主導権。
バチャルが、サクっとこの場にいる全員を回収してしまったことに対し、
バチャルの『中』で『精神だけになっているユズ』が、
(ちょっと、なんで、おもちゃを簡単に壊すんだ! ミカン以外は敵じゃないんだから、ミカンだけ奪って、あとは置いておけばいいだろ! バカじゃないのか! これじゃあ、もう遊べないじゃないか!)
「……黙れ、ユズ、いつまで主人面している」
(はぁ?)
「主導権は私にうつった。貴様の力もスペシャルも体も、もはや、全部、私のもの。……こうなったら、もう貴様に用はない」
(ちょっと……何言って……)
「高貴な私の『中』に、貴様のようなゴミの意識など不要」
(ふざけるな、バチャルゥウ!!)
「ほえるな、鬱陶しい。死ね! 『悪心呪殺ランク37000』!!」
心を殺す魔法を使い、自分の中にいるユズを殺そうとした……が、
(くそがぁああ! あああああ――あっ!)
『迫りくる死』を前にして、ユズの中で、もう一つの覚醒が起こる。
2垓年もの間、センエースの中で、センエースという最強の神を苦しめ続けた悪霊の底力をナメてはいけない。
――加速したユズの怒りが沸点に到達。
その結果、たった一つの結論に収束。
衝撃的に……花開く!!
まだまだ発展途上だった『クズノハユズ』という、世界最高クラスの可能性。
ユズの中に眠っていた神種が、輝きだす。
(――『極悪神化』――)
神種が開くと同時に届く……彼女だけの固有神化。
(は、はは、ははははははははははははははははははははは!!)
「な、なんだっ! 私の『中』で、いったい、なにが?!」
(おい、クソ邪神。どけよ……いつまで、アタシの体を使っている。死ね――『邪心呪殺ランク55000』!!)
「――そ、そんな、あ、あ、あああっ!! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――」
……バチュン……と、あっさり命が踏み潰される音がして、
バチャルは完全に死滅。
そのまま、あますことなく、ユズの血肉となった。
こうして誕生した『極悪神クズノハユズ』。
その存在値は150京以上。
「はぁ……ははっ……やった。ふふ……くくく、ははははっ!! ははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
と、ユズが狂ったように、『勝利』に酔っていると、
そこで、
「……ん?」
気配を感じて、視線を向けてみる。
一人の男がそこに立っていた。
黒髪短髪中肉中背の風貌で、和柄の長羽織を着た、顔面偏差値48の男。




