66話 遅れてやってくるようなゴミはヒーローじゃない。
66話 遅れてやってくるようなゴミはヒーローじゃない。
「……やっぱ、俺はヒーローじゃねぇなぁ……」
その男は、泣きそうな顔で、一度そうつぶやいてから、
自分自身の奥底に問いかけるように、
「コスモゾーン……お前は、この世界すべてを演算しているんだから、この状況になっていることは理解していたはずだ。なのに、なぜ黙っていた? ――あん? ……『教える義理はないし、これからも、そういうことは教えない』だと? ……ふざけてんねぇ……もし、目の前にいたら、馬乗りになってボコボコにしているところだぜ」
ぶつぶつ独り言を口にしたのち
ユズの顔をジっと睨み、
「……お前の『中』から、アダムたちの波動を感じる。どうやら、ゼノリカ上層部全員を奪い取ったみたいだな。で、この世界の民間人も大量に殺した……と」
静かなトーンで、ゆっくり周囲を見渡しながら、
その男――センエースは、
「この手の絶望も、これまでの永い神生で何度か経験したよ。お前がシューリ達を奪い取ったスペシャル……『マフツノカガミ』系か、それとも『吸収』系か……もしくは、より上位のスペシャルか」
あえて過剰に冷静に、状況と向き合いながら、
「詳細は分からんが……しかし、ずいぶんと膨らんでいるな。……やるねぇ。強い、強い」
褒めつつも、深いタメ息交じりに、頭をかくセン。
「ぁあ、久しぶりだな……こんなに落ち込んだのは。本当なら、お前を使って、俺の評判を下げる方法とか考えたいところなんだが……流石に、ちょっと心がしんどすぎて……無理だな」
「そこのゴミ……なにをブツブツ言っている。気持ち悪い」
吐き捨てるようにそう言ってから、
ユズは、眉間にグっとシワを寄せる。
「本当に気持ち悪い。……なんか、あんたのことが、すげぇムカつく。生理的に無理。生きる価値のないキモ男……死ね、ゴミ。――華緋・異次元砲――」
派手な魔法で、豪快に、センの体を吹っ飛ばそうとする。
「アダムから奪った魔法か……追い打ちかけてくれるじゃないの。匂いたつねぇ……穢らわしい血で誘うものだ。……あんまり震えさせるなよ、こんないい歳したオッサンをよぉ……えづくじゃぁないか」
ドゴォオン! と、盛大な爆発音。
土煙が舞い上がり、世界が真っ白になる。
『全ての生命を塵にできる一撃』。
そう信じていたユズの目に、信じられない光景がうつる。
ありえないことに、その男は死んでいなかった。
煙をまといながらも、悠然とした足取りで、ユズに近づいてくる。
「存在値150京……すげぇ数字だな。ビビるぜ。この恐怖は、『ゴキブリが顔面に向かって飛んできた時』とだいたいイーブンだな」




