44話 センエースの功績。
44話 センエースの功績。
儀式に対する不満を口にすると、
センの隣を陣取っている『平熱マン』が、この儀式の必要性について語ってくる。
「これら一連の厳かな儀式を経ることで、神法改正という国事がいかに重要なものであるかを天上天下民衆の全員が理解し、心を引き締め直すことができるのです」
「めんどくさいぃ。俺が絡む行事をするたびに、儀式だの礼典だのセレモニーだの大儀だの祝儀だの祭りだの、好き放題開催しまくりやがって。そろそろ、流石に、俺も我慢の限界だぞ。あんまり調子に乗っていると、俺が闇落ちして、お前ら全員を皆殺しにするって可能性も大いにあるからな。覚悟しておけ」
「この上なく尊き主がそれを望まれるのであれば、お手を煩わせずとも、我ら一同、みな、即座に首を奉げる覚悟でございます」
「……く、くそがぁ……」
どうあがいても思う通りにならない現状を前に、センは頭を抱えてうめき声をあげる。
ゴリゴリに重たい儀式を経て、
――ようやく、本題である『神法改正会議』が幕をあけた。
ここまでの鬱陶しい儀式の数々で、
センはすでにグロッキー状態になっているが、
(気合いを入れなおせ、俺! ここからが本番だ! もし、今回の神法改正が通ってしまったらすべてが終わる!)
厳かに始まった会議。
まずは、賛成派代表の平熱マンによる演説から始まった。
平の演説は、すべて、センエースに向けてのもの。
……平熱マンは、粛々と、今回の『信仰の自由に対する変革案』が『いかに適当であるか』をつらつらと述べた。
次に、『この改正会議が間違いなく神法に適合していること』を力説。
『改正した方が他の法制度と調和がとれる事』を滔々(とうとう)と語り、他の細かい懸念点も『多角的に検討・審査がされて、シッカリと解消されていること』を述べた。
最後に、今回の発議がいかに、『合理性と必要性にあふるる内容であるか』も訴える。
その際に、平熱マンは、センエースの功績の中でも特にイカれている『最新にして極致の武勇伝』であるところの『2垓年問題』を引き合いに出した。
本気で語りだすとべらぼうに長くなってしまうので、あえて極めて簡潔にまとめて述べさせていただく。
――センエースは、『抗えない世界の終わり』を回避するために、えげつない無茶をした。
『200兆年かけて磨いたエネルギー』の全てを注いで、自身の『無限転生』を『銀の鍵』へと改造したのだ。
そして、『始めて転生した日から、全てやり直す』というのを……『100万回』以上繰り返した。
すべては、世界を守るため。
『救いを求める声』に応えるため――
簡潔な文章にすれば、たったの数行だが……
――その絶望がどれほどのものか……
すべての弱い命を守るために、
『助けて』という声に応えるために、
センエースは、
――200兆×100万……合計『2垓年』を超える絶望を積み重ねる決意をし、そして、完遂してみせたのだ。




