45話 最後の切り札。
45話 最後の切り札。
センエースが世界に奉げた『異常すぎる献身』……
その『偉業』と改めて向き合ったゼノリカの天上天下の面々は、
みな、一様にボロボロと涙を流し、
『これほど尊き方を信仰しないなど万死に値する』と、
大合唱につぐ大合唱。
正直、この段階でゲームセットだった。
『イヤだから』という『竹やり以下の感情論』しか持ちあわせていないセンに、この牙城を打ち砕くことは不可能だった。
……それでも、センは諦めなかった。
絶対にあきらめない英雄としての胆力を世界に魅せつける!
センの『破綻した弁舌』がうなる!!
「何度も言わすな、バカども! 俺は、ただの頭が悪い以下略――」
結論を言うと、誰も聞く耳を持っていなかった。
センの『厄介な性格』を知らぬ者はこの場にいない。
ゆえに、最初から、センの意見など相手にする気はなかった。
……窮地に陥ったセンは、ここで、とっておきの切り札を投入する。
「……失礼いたします。栄えあるゼノリカの天下、再連323班のミカンと申します」
壇上に現れたミカンに、ゼノリカ幹部の視線が集まる。
本来であれば、彼女の立場で、この会議に出席することはできないが、
センエースたっての希望ということで、特別に許可された。
議長を務めている『パメラノ』が、
「それでは、ミカン。今回の神法改正に対し、意見があれば、つつしんで、それを述べよ」
「は、はい……」
ミカンは、逡巡してから、決意したようにグっと上げて、
「私は……神法改正に反対です」
その発言に、一度、幹部連中がザワっとした。
中には、ミカンに殺気を向ける者もいる。
その空気感を感じ取った神帝センエースが、本気のオーラを出して、
「……ミカンの発言を邪魔することは許さない。これは命令だ。いいな」
センの威圧感に押し黙る幹部連中。
そこで、ミカンは、一度、深呼吸をして、軽く震えながらも、
「主を……信じるか、信じないかは……自由であるべきだと……思います」
「ふむ。ちなみに、なぜ、そう思う?」
パメラノ議長の問いに、ミカンは、
「それは……あの……」
パメラノや、他の幹部の手前、なかなか、思った事を口に出来ない様子のミカン。
そこで、センが、
「ミカン」
「ぇ、あ……はいっ、なんでございましょう、この上なく尊き命の王センエース神帝陛下」
「――俺、実はセンエースなんだ」
「っ?!」
センの、そのセリフ、声音、トーンから、ミカンは、
『大聖堂で隣だったウセネス』が『センエース』の擬態だった……と確信する。
「……」
そして、センが、この場で、あえて、ソレを伝えてきた意味も理解できた。
センエースは、明確に、ミカンへと『メッセージ』を発信している。
その意味が分からないほど彼女はバカじゃない。
……だから、ミカンは、
「……っ」
覚悟を決めて、
「――本音で言います! 神帝陛下以外の全員に対して申し上げる!! ……あなたたち、全員、バカなんじゃないですか!! なんですか、『2垓年』って!! いい加減にしてください!!! 200億とか200兆でも無茶苦茶だったのに、また輪をかけて、バカな数字にして!! あまつさえ、こんな頭悪い数字を信仰することを強制する?! 『2垓年がんばったセンエース神帝陛下はすごい』と褒めなければ罰則?! ふざけるなぁあああ!」




