43話 神法。
43話 神法。
『神法』は、『センエースの発言』『センエースの善悪基準』を元に作成された法律。
仮に、他の刑法・民法等と矛盾・抵触する場合、
それがどんな場合であれ、優先されるのは必ず神法。
……その中に、
――『センエースを信仰するかどうかは個人の自由。センエースを信仰しないという理由で迫害したり、無閃論者にムリヤリ信奉するよう強制したりすることは絶対に禁ずる』――
というものがあるのだが、今回の神法改正会議では、
その条文を『神法から除外するか否か』が話し合われることになっている。
・除外を求めているのはセンエース以外の天上天下全員。
・『絶対反対』の立場にいるのはセンエース単騎、孤立無援。
「言っておくが、絶対に、神法は改正させないからな。俺のことを信仰するか否かは自由だ! 『センエースを信仰しない自由』は、不可侵の聖域! あの条例だけは絶対に、絶対に改正させないからな! 俺の意地と誇りとプライドと矜持と威信にかけて!」
センエースの必死の叫びに対し、
平熱マンは、たんたんと、
『主よ。尊き光の神よ。この世で最も誉れ高き永劫の輝きよ。……果て無く美しきあなた様を信仰することは、全生命の絶対的最優先義務であります。【偉大なる主を信じない自由】など、あってはいけないのです』
「相変わらず、ふざけ散らかしたことを、のうのうと、のたまってくれるじゃないか。前口上をやめろって言っても絶対に聞かないし。初めて会った時から、お前は、ずっと、トチ狂っているが、今回ばかりは、流石に、お前の凶行を見逃してやらねぇ。絶望を知るがいい! 明日は、何一つとして、貴様らの思い通りになどならんわ! 汚らわしい狂信者どもめ、我が苦しみと憎しみを知るがいい! ふはーっはっはっは!」
★
――太陽が沈みかけた夕刻。
羅衣服や仙浄衣と呼ばれる神御衣を着た『十席』の面々によって、『第2アルファ・神帝城』の宝物殿に眠る『センエースの英魂の一部』が込められた究極超神器『崇御霊』が、25基の神輿へと遷される。
――そんな、極めて神聖な儀式が、どこまでも厳格に執り行われる。
『十席』の面々による、腹の底に響く警蹕と、厳かな御神楽の音色が、ピンと張り詰めた夕闇に響き渡る。
そんな中、錦蓋によって守られた崇御霊が、過剰なほど慇懃に動座された。ゼノリカの天上天下、合わせて数百名の列が、赤々と燃える幻想的な松明の灯りによって導かれ、滞りなく最高位神事が遂行されていく。
その、あまりにも厳かが過ぎる光景を前にして、この儀式の主役である『神の王』は、しんどそうに、
「……これ、マジでやめない? 俺、この儀式、ほんと、嫌い……長いし、タルいし、無駄に荘厳で、なんか変にカッコつけているみたいだから……」




