42話 テンプレ。
42話 テンプレ。
「――夢ならはやく醒めてくれ、後生だからよぉ」
などと言いながら、センは、ポキポキっと拳の関節を鳴らし、
「もし、遺言があるなら聞いてやるけど、どうする?」
「絶対にありえない……絶対に……」
「今まではノリで付き合ってやったが、正直、その手の反応には、飽き飽きだよ……俺のクソ長ぇ神生の中で、もう、何度も、何度も見てきた。……お前みたいに『粋がってるくせに、自分より強い相手にボコられると途端に意気消沈するゴミ』を……これまで、マジで、何度も、何度も……」
「夢だ夢だ夢だ……こんなことありえない……ゆめゆめゆめ」
「トラック級にテンプレな反応するねぇ。……もはや逆におもしれぇ……けど、許してやらない。お前は絶対に殺す。なぜか分かるか?」
「ユメユメユメユメユメ――」
「てめぇは、この世界を、ゼノリカを……俺の家族を壊そうとした。絶対に許さない」
最後にそう言い捨ててから、センは、
一瞬だけ、スン……と涼やかにオーラをためて、
「閃拳」
とてつもなく長い時間をかけて磨きに磨きぬいてきた拳で、
邪神バチャルを、グシャリと、跡形もなく木っ端みじんに粉砕してみせた。
消えゆく中で、バチャルは、それでも、
『夢だ夢だ夢だゆめユメユ――うぼっ』
現実逃避から目を離さなかった。
静かになった世界。
空間魔法から解放されたセンは、数秒ほど周囲をうかがってから、
「……ん? あれ? なんもなしか? 邪神を倒した時は、いつも、コスモゾーンから報酬を貰えたんだけどなぁ。アポロギスを倒した時はアダムをもらったし、『蝉原』を倒した時は、『世界征服券』を押し付けられた。……他にも、邪神を倒した時は、たいがい、何かしらの報酬を貰えたんだが……んー……まあいいか。いまさら、現世級の邪神討伐報酬とかいらんし」
頭をぽりぽりかきながら、
「さて……後処理をどうしようかな……」
そこで、気絶しているミカンを見つめる。
「んー……『ミカンが気絶した直後に、たまたまアダムが助けにきてくれたから事なきを得た』ってことにしておくか。あとで、アダムと口裏を合わせておかないとなぁ」
アクビとノビをしながら、そんなことをつぶやいていると、そこで、通信の魔法が入った。
「ん……『平』か。はいはい。なに?」
相手は平熱マンだった。
名前だけはふざけ散らかしているが、それ以外はほぼ完璧な剣聖。
『この上なく尊き師よ、我ら全てを包み込む大いなる父よ、すべての絶望を切り裂く運命の光よ。あなた様の尊さこそが、ボクの……いや、全ての生命を導く無上の輝き』
「その、無意味に長い前口上はやめろって何度も言ったよな。用件だけ手早く頼むわ」
『はっ、尊き師よ! 明日の【神法改正会議】の件で、少しだけ、打ち合わせをさせていただきたく!』
「ああ、あの『言語道断極まりないゴミクソ会議』……明日だっけ……」




