37話 仮面。
37話 仮面。
「ぷはぁ……」
その『仮面棒人間』は、深く息を吸って、吐いて、そして、
「嬉しいねぇ……出迎えてくれるとは……」
まがまがしい声でそう言うと、ミカンとエンスをねぶるようにして、
「ごきげんよう。はじめまして。私は、仮面邪神バチャル。この世界を終わらせるために存在する者だ。よろしくどうぞ」
「邪神……ほ、本当に? ……な、なんで……」
突然の事に意味が分からずワナワナと震えているミカンの横で、エンスは、
(仮面種の邪神か……珍しいな。初めて見た)
仮面種は、数あるモンスター種の中でも『だいぶ特殊な種族』で、希少性だけで言えば、龍種よりも上。
『備わっている性能』が『かなりピーキー』というか、
『ワケのわからない特質』を持っていることが多いのも大きな特徴の一つ。
『道連れにした相手に死者蘇生阻害の死呪をかけるタイプ』
『自分を生贄にささげて、上位個体を呼び出すタイプ』
『死ぬまでずっと超害悪魔法【みんな死ねばいいのに】を無限に連発し続けるタイプ』
『特定の手順で攻撃しない限り絶対不死身のタイプ』
――といったような『イカれた性質』を持つ種が多くいる。
センが、
(これまで、龍種、鬼種、精霊種あたりの邪神は、何度も見てきたが、仮面種の邪神はマジで初体験。……いやぁ、どれだけ長い事生きても、新しい発見ってのはあるもんなんだねぇ)
などとしみじみ考えていると、バチャルが、パチンと指を鳴らして、
「限定空間ランク23」
詠唱した瞬間、空間魔法が展開される。
ミカンとエンスの視界がグニャリと歪んだ。
目の前のほとんどが線になって廻っていく。
歪んでいた視界は、コンマ数秒で元に戻った。
スゥっと感覚が元に戻っていく。
――気付いた時、バチャルと『ミカン&エンス』は、
白い壁に囲まれた『体育館サイズ』の何もない空間に閉じ込められていた。
「ふふ。逃げられても困るし、助けを求められても困るのでね。閉じ込めさせてもらったよ」
「くっ!!」
状況を即座に理解したミカンは、『亜空間倉庫』から剣を抜いて、
「エンス様、下がってください! あの邪神、とんでもない強さです! 私のセンブスアイでは、はっきり見えませんが、おそらく存在値800か……もしくは900以上! あなたでは瞬殺されてしま――」
「オッケー、ミカン。あとは全部任せた。俺の支援には期待せず、全部ひとりでやってくれ。俺はお前を助けないが、仮に俺がピンチになった時は全力で助けてくれ!! 頼んだぞ!!」




