36話 転。
36話 転。
……『再連323班のミカン』は、つらつらと神話を語る。
「――『最終固有神化』という『神化』の最果てに届いたセンエース神帝陛下は、『凶悪邪神セミハラユーゴを討伐した報酬』として、コスモゾーンから『全ての世界に干渉できる許可証』を進呈された。それゆえに、ゼノリカは、『第2~第9アルファだけを統べる小規模統制』から、『全世界征服』へと乗り出したのだった」
話し終えたあとで、一度、フゥと息をついて、
「こんな感じで理解していますが、私の認識と正史にどこか齟齬がございますか、エンス様」
「全部間違っているな。覚え直し」
「えぇ……ちなみに、具体的にどこが間違っているのですか?」
「まず、俺は……じゃなくて、センエースは、もっとダサい」
「はぁ……つまり、具体的には?」
「センエースは、悪神セミハラユーゴに、もっと、ボッコボコにされている。お前の話ぶりだと、なんか、カッコイイ感じに勝ったように美化されているが、全然違う。センエースは、何度も、蝉原の靴をなめている。なんだったら主食にしていた。あと、タイムループの最中、何度もウンコを漏らしている。あと、ゲロもたくさん吐いた。それで、えっと……」
「本当に、大丈夫ですか、エンス様……流石に、その誹謗中傷は許されないレベルです。粛清は免れないと思いますよ。センエース神帝陛下のことを信仰していない私ですが、普通に、上層部に、このことを報告しようと思うぐらい、あなたの言動は倫理的に間違っています」
「とにかく、センエースはゴミなんだ! だって童貞だもん! それだけで十分じゃないか! 他に何がいるってんだ!」
「別に、何もいりませんが……」
「ミカン、お前は絶対に勘違いするなよ! ちゃんと、今のままの冷静な『無閃論者(センエースを信仰しない者)』でいてくれ。頼むから、俺を一人にしないでくれよ! ずっと俺と同じ穴のムジナでいようね! ウチら、ズッ友だょ!」
「あなたの同類になるぐらいなら、神帝陛下を信仰した方がマシのように思えてきました」
などと、ミカンが、ボソっとつぶやいた。……その時、
「ん?」
『エンス(センエース)』は、異変に気付いて、バっと立ち上がる。
「どうしました、エンス様」
「……なんだ、この気配……」
エンスがそうつぶやいた直後、エンスが、それまでもたれかかっていた巨大墓石が、ギュギュギュッ!
と、凄まじい勢いで圧縮されていく。
この急な出来事にミカンは、
「ぇ、え、な、なに?!」
当然のように驚愕している。
その横で、冷静に眉間へシワを寄せるエンス。
――圧縮された巨大墓石は、いつしか人型になっていく。
数秒を経て、ソレは、『仮面をかぶった棒人間』のような、奇異な姿へと着地した。




