13話 オッス、おらペン・ケース。いっちょやってみっか!
13話 オッス、おらペン・ケース。いっちょやってみっか!
授与式を終え、講堂の扉が開かれると、再連メンバーたちは整然と外へ流れていった。
足音だけが規則正しく響き、先ほどまで満ちていた熱と圧は、嘘のように引いていく。
だが、その余韻だけは、建物全体に薄く残っていた。
幹部候補の四名は、別導線で同じ建物内の貴賓室へと通される。
厚い扉が静かに閉じられ、外界と切り離された空間が完成する。
「のちほど、ドナ様から正式に試験内容の通達がある。それまで待機せよ」
指導官の言葉は簡潔だった。
余計な説明はない。
それだけで十分だと、全員が理解している。
室内は広く、調度は過剰にならない程度に整えられている。
格式はあるが、威圧的ではない。
だが、それがかえって『監視されている空間』の静けさを際立たせていた。
四人は、下座に設えられたソファに横並びで腰を下ろす。
無言の時間が、わずかに流れた。
空気が完全に落ち着くよりも早く、口火を切ったのはレンだった。
最年少の美少女は、足を組み、わずかに体を傾けながら、隣に座る男へと視線を向ける。
「あんた、見たことないんすけど、誰っすか?」
遠慮のない声音だった。
問われた男――ペン・ケースは、ほんのわずかに顎を上げる。
「俺の名はペン・ケース。人は俺を紅の蒼い流星と呼ぶ。俺の名を呼ぶのは勝手だが指図は受けない。嫌いなものは運命とコスモゾーン。好きなものは、ぴちぴちのおねーさん」
抑揚のない声で、淀みなく言い切る。
沈黙が一拍。
「……あんた、死ぬほどキモいっすね」
「それほどでも」
ペンは、特に気にした様子もなく返す。
その温度差が、わずかに空気を歪めた。
「……あんたのこと、マジで一回も見たことないんすけど。名前も聞いたことないし」
レンは眉をひそめたまま続ける。
軽口ではなく、本気で疑問に思っている声音だった。
そこで、ミカンが口を開く。
「彼は完全な前衛速攻型の武道教程を受けていたから、魔法職サポーター型のレンと一緒になることはなかったな。私は何度か一緒に訓練を受けたけど」
落ち着いた口調で、事実だけを補足する。
再連では、『基礎課程を終えている上澄み』に対して、それぞれの適性に応じた特化訓練を施す。
よって、役割(職業・適性)が異なる場合、訓練中に顔を合わせる機会が一度もないことも珍しくない。
レンは軽く肩をすくめる。
「一緒に訓練を受けたことないのはどうでもいいんすよ。ミカンパイセンともユズパイセンとも、一緒に訓練受けたことなんかほぼないし……」




