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ヒーローごっこをしていただけなのに、気付いたらカルト教祖になっていました。  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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105話 ユズ。


 105話 ユズ。


 ユズとミカンの会話を聞きながら、

 パメラノが、うんうんと深く頷いてから、


「ユズの言う事も正しいが、なにより、尊き主は、決して『今』に満足しない御方。『理想』が高すぎて、頂点に立たれた今の御自身ですら、『まだ山のふもとにいる』とお考えになられている。……実際問題、現状、世界には、まだまだ闇が残っている。われわれゼノリカによって支配された世界は、まだ幸せな方だが……ゼノリカの支配を受けていない世界では、今も、貧困、飢餓、疫病、人災が山のようにはびこっている。主は、全ての命を救いたいとお考えになられておられる。われわれは、そんな尊き主の想いに応えねばならぬのじゃ。わかるな、ミカン」


「はい! もちろん!」


 そこで、ユズはチラと時計を確認して、


「パメラノ猊下、申し訳ありませんが、この上なく大事な約束の時間ですので、失礼します」


 そう言って席を立ち、

 ユズは『講演の間』を後にした。



 ★



 ――蒼穹原典を片手に、ユズは丁寧なリズムで静かに歩く。


 長く伸びた回廊は、装飾を削ぎ落とした静謐な空間だった。

 足音だけが、一定の間隔で乾いた音を刻んでいく。


 ――仮面邪神バチャルの器として最適なユズは、ゼノリカの戦力増強の意味もあり、今回の『5垓年ルート』でもバチャルをその身に取り込んでいる。

 かつてのように支配権を奪われることはなく、完全に制御できていた。

 その結果、彼女は再連の中でも屈指の実力者と認められ、強く望めばセンエースへの面会も許される立場にある。


「……」


 扉の前で、ユズはわずかに足を止める。


 ほんの一瞬。

 呼吸の間をひとつだけ挟み、軽くノックを入れる。


「どうぞ」


 返答を受け、扉を開いた。

 室内は静かだった。


 広い執務室の中央に据えられた机。

 その上には整然と積み上げられた書類の束が並んでいる。


 センはその一角に座り、椅子に深くもたれかかったまま、無造作にペンを走らせていた。

 視線は紙面に落ちたまま、手だけが機械的に動いている。


 ゼノリカの王としての職務は多い。

 世界運営にあたっての『大半の面倒事』は『配下が処理している』が、

 『最終的に判を押す仕事』――責任の所在を明確にする仕事は、センにしかできない。

 というより、他者に任せる気がない。

 王にはなりたくないと嘆く癖に、王の仕事を誰よりも完璧にこなす閃光。

 いつだって『全ての責任は俺が取る』と言い張り続ける理想のトップ。

 (というのが表向きの理由で、セン的に最も大事な仕事は、配下がこっそりと仕込んでくる『条例改正案』を草案段階で握りつぶすこと。油断すると、配下連中は、すぐに『センエースを崇拝しない者は断罪』的なルールを作ろうとするため、常に目を光らせていないと危険がデンジャーで危なすぎる)


 センエースの隣には、いつも通りアダムが立っていた。

 書類を整理し、必要なものを差し出し、処理を補助している。

 スペックが高いので、秘書としての仕事も完璧。



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バチャルを制御下に置くなんて、 前世からは考えられない成長!
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