104話 本当の高み。
104話 本当の高み。
――記憶アドバンテージをいかすことで、『救えた命の数』は間違いなく増えた。
ユズの家庭環境にメスをいれたことで、ユズが腐らなくなったし、結果、ミカンも異常な暴力を受けることはなくなった。
ただ、運命のアリア・ギアスが働き、二人とも、ほぼ同じタイミングで死んで転生をしている。
そして、現状、二人とも、再連に入っている状態。
――二人の問題以外にも、特に、序盤の世界大戦や、バグ戦や、バーチャ戦では、多くの人を救うことができた。
ただ、できたのはそのぐらいで、それ以外の流れはほぼ変わっていない。
序盤に救えた人間は、現状、寿命で大半が死んでいる。
バタフライエフェクトは、コスモゾーンの法則によって強制鎮圧された模様。
――結果的には、序盤に救えた数が増えた分だけ、全体の信仰心が増すだけの結果となってしまった。
「頼むから『信仰しない自由』は残せ! そうじゃないなら、自殺するぞ! 俺が死んでいいのか! 俺が死んだら俺は絶滅するんだぞ!!」
可哀そうになるぐらい、支離滅裂をブン回し、ギャーギャーわめいた結果、
神法は、以下の通りに書き換えられることになった。
『センエースを信仰するか否かは個人の自由とする。ただし、センエースを信じない者は、公的サービスの大半を制限され、重要インフラおよび社会的保障の利用権を失う。無閃論者の存在自体は容認されるが、他者への布教・思想拡散・組織化を行った場合、厳格な身分剥奪、強制労働、または永久拘束刑を含む重大な処罰が科される』
「重い、重い、重い! 書き換えを要求する!! おい、聞いてんのか、こらぁああ! この上なく尊い命の王様がご命令あそばされてんだろうがぁあ! シカトこいてんじゃねぇぞ、ゴミどもぉおお!」
センエースの絶望は終わらない。
彼の地獄は、むしろ、ここから始まるのだ。
★
「――果て無く尊き方は、いつも、自分はただの『凡人』であり、『何も成していない者である』と仰っている。その意味がわかるか?」
パメラノからそう問われた『ミカン』は、首をかしげて、
「わかりません。あれだけの功績を残していながら、なぜ、セン様は、あんなにも自己評価が低いのでしょうか」
その隣にいる『ユズ』が、
「簡単な話でしょ。陛下は、『命を賭して世界を守る事』なんて、食事や排泄に匹敵する『あたりまえのことである』と考えているからよ」
「な、なるほど……だから『この程度で褒めるな』とお怒りになるのか。……確かに、私も、食事をしているだけで褒められたら、『バカにされている』と思うかもしれない……」




