95話 念願の超絶アイテムを手に入れたぞ!
95話 念願の超絶アイテムを手に入れたぞ!
最奥のボスも、なかなかの強さを誇っていた。
存在値は余裕で1000を超えており、戦闘力もなかなか……
まあ、とはいえ、今のセンエースの敵ではないが。
――ボスを撃破することで、センはようやく手に入れた。
この『アホほど糞面倒くさかったダンジョン』のクリア報酬。
手のひらに収まるほどの、歪な輝きを放つ結晶体。
内部で蠢く光は、まるで生きているかのように脈動し、見る者の本能に直接訴えかけてくる。
その名は――
「……『大狂乱の遺伝子コード』……効果は、体内に組み込むことで、『経験値17万倍』のスペシャルを得る。……うぉ……すんげぇ神器だな……こんなもんが隠されていたのか……もともとあったのかなぁ? それとも、俺が理銀の鍵でタイムリープしたから出現したのか……まあ、どっちか知らんけど、とりま、ありがたく使わせていただこう。いやぁ、良かった。いいアイテムがあってくれて、本当に良かった! もしこれで、隠されていたのがゴミみたいなアイテムだったら、ブチギレて、世界を終わらせるところだった。危ない、危ない」
発見した以上、遠慮はしない。
それが隠し神器だろうと、
秘密リスポーン地点だろうと、
異空間ダンジョンであろうと、
特殊ボスであろうと、
世界の法則の裏を突くバグめいた仕様であろうと、
センはすべてを力づくでねじ伏せ、
――利用できるものは骨の髄までしゃぶり尽くした。
そんな修羅のような日々を、センは延々と繰り返していく。
決して表に立つことなく、目立たず、ひそやかに、かつ大胆に。
★
『修行』と『救世』を手際よく、効率的に回していく閃光。
大きく世界を救う際は、常に『誰か』を前に出した。
誰でもいい。
それっぽいヤツなら、誰でも。
英雄が必要なら、力自慢の誰かを。
王が必要なら、知恵のある誰かを。
光の救世主が必要なら、できるだけ顔のいい奴を。
誰かをスポットライトの中心に立たせ、自分はその背後で糸を引く。
かつての周回でも、似たようなことはしていた。
分身を表に立たせたり、現地の最上位格を看板として担ぎ上げたり。
だが、それはあくまで『影に近い位置』に過ぎなかった。
だからこそ、結果的に祭り上げられてしまった。
今回のセンは違う。
徹底的に姿を消した。
歴史にも残らない。
記録にも残らない。
伝承にも残らない。
ただ世界の裏側に潜み、誰にも知られないまま世界を動かす。
戦争が起きれば、水面下で火種を潰す。
文明が滅びかければ、さりげなく技術を流す。
そうして世界を守りながら、その裏で隠し要素を一つ残らず収穫していく。
積み重なる経験。
積み重なる力。
誰にも知られないまま、センは自分自身を、ひたすら研ぎ上げていった。
「よしよし、いい感じ。……あとはゼノリカの下地だけ作っておくか……そして、最終的にはトウシを王にする。蝉原は……どうしようかなぁ……あいつ、嫌がらせで、俺のことを世界に公表しようとするかもしれねぇんだよなぁ……それだけは何としても阻止したい……『できる限り多くの命を守る』、『スポットライトから完璧に逃げきる』……両方やらなくっちゃあならないってのが『黒子』のつらいところだな。……覚悟はいいか? オレはできてる」




