91話 無双。
91話 無双。
どうにか起き上がろうとする龍……その頭をセンは、ぐいっと掴み、
「頭が高い。神の御前である」
ズガンと、地面にたたきつける。
死なないように調整した上で、
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、
「やめ……わかっ……謝罪する……この私が……頭をさげるんだ……だから――」
「だから許せって? 高度なボケかますじゃねぇか。いくら喉が渇いたからって、俺のヘソで沸いた茶を飲んで急場をしのごうなどと、なんてふてぇ野郎なんだ……万死に値する」
地面がさらに沈む。
『許さない』と決めた時のセンエースは、
世界中の鬼が束になっても叶わないほど轟烈に鬼気迫る。
「う、げ、あ……が――」
狂気的な暴力を執拗に受け続けた結果、
ついに、龍の首が、鈍い音を立ててヘシ折れた。
とてつもなく長い間、人類を苦しめていた悪龍は、
こうして、比較的あっさりと死に絶えたのだった。
「うん、ぼく、ちょっと強いかも♪」
引きちぎった龍の首を抱きしめながら、
センは、ニコリと微笑んでそう呟いた。
人の命で遊んできた龍の首で遊ぶ閃光。
★
嗜虐趣味の龍を、センは片っ端から容赦なくデリートしていく。
一方で、まともな思考を持つ龍は当然、別枠として扱った。
『龍は龍であるというだけで大罪。汚物は消毒だ、ヒャッハー』――そんな差別的な思想は持ち合わせていない。
理性ある龍に対しては、まず圧倒的な力を見せつけ、逃げ道を完全に断つ。
そのうえで、淡々と選択肢を提示する。
絶対の服従か、凄惨な死か。
龍という種族は無駄に誇り高いが、愚かな個体ばかりではない。
絶対的な格差を理解した者は、ほぼ例外なく膝を折った。
★
――第一アルファで研ぎ澄ませておいた戦闘力を、この世界で、これでもかと振るい散らかす狂気の閃光。
もちろん、王としてふんぞり返ることなどしない。
するわけがない――そんな、くだらないこと。
センはただひたすら高みを求め、誰も寄せ付けず、孤高のまま、
山を越え、海を越え、各地を渡り歩いた。
行く先々で、魔物の群れをまとめて消し飛ばす。
そうして経験値を稼ぎ、レベルを一気に引き上げていく。
その過程で、当然ながら国家問題にも手を入れた。
この世界には、『龍と契約することで繁栄している国』が複数存在していた。
龍の威を借り、周辺国に圧政を敷いていた帝国。
センはその軍勢ごと叩き潰し、強制的に停戦へと追い込む。
『龍への生贄を選ぶ権利』を盾に、好き放題していた王族。
こちらは玉座ごと地面に叩き込み、そのまま粛清した。
どんな抵抗も意味を成さない。
センエースは強すぎる。




