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0話 三年前のあの日

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 屋敷《やしき》が、燃えていた。


 友達と遊んだ帰り道。

 途中でふと顔を上げて、俺はそれに気づいた。


 見間違いじゃない。

 確かに、自分の家が炎に包まれていた。


 両親は無事だろうか。

 妹は。兄は――。


 俺は燃え盛る屋敷の中へ駆け込んでいた。

 部屋から部屋へ、隅から隅まで走り回り、家族の姿を探す。


 それでも、大きな不安は抱いていなかった。


 両親は、二人とも軍人だ。

 霊獣討伐戦争《れいじゅうとうばつせんそう》において、多大《ただい》な戦績《せんせき》を残した英雄《えいゆう》だと聞いている。

 そんな二人が、簡単に死ぬはずがない。


 この屋敷だって、その功績《こうせき》によって手に入れたものだと、

 父は誇らしげに語っていた。


 ――だが。

 誰も、いなかった。


 家にいないのか。

 それとも、すでに逃げ延びた後なのか。


 庭へ出た、そのときだった。


 人影《ひとかげ》が、見える。

 ……いや、一人じゃない。二人いる。


 一人は立っていて、

 もう一人は、うつ伏せに倒れていた。


 倒れているのは、妹だ。

 今年でようやく年齢が二桁になったばかりの、俺の妹だった。


 よく見ると背中が、赤く染まっている。

 炎の赤じゃない。


 それはまるで、

 深く斬り裂かれ、血を流しているかのような。


 ――誰が、やった?


 ……いや、分かっている。


 立っている、アイツだ。


 太陽は沈みかけ、顔はまだはっきりと見えない。

 だが、燃え移った炎が、その輪郭《りんかく》を照らし出す。


 見覚えのある顔だった。


 俺は、そいつを知っている。


 そいつは――。

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