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アラン、村役場で一晩を過ごす。(2)
「でも、村を襲ったあの男以外にもまだ誰か彼の仲間が山の中に潜んでいるかもしれませんよ。」隣にいた男が言った。彼は立っていた。
「とりあえず、夜明けまでは何もしないが、夜が明け次第、隣村にまで、この村が襲われたことを伝えに行ってもらう。そうすれば、城から、この村にまで、兵を送られてくるだろう。そうすれば、安全だ。安全のはずだ。」村長は断言しなかった。
「この村の警護に就いてもらうのですか。」男が聞いた。
「そうだ。私たちだけでは、この村を守れない。」
「でも、そうだとしても、兵士が送られてくるのに、王国から兵士がこの村に着くまで、数日かかりますよ。」アランが言った。
「もしも、その間に村が襲われたらどうします。」男が言った。
「考えたくもないな。」村長が言った。
「そうなってしまうかもしれませんね。」アランがいった。