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エンド40 迷いとやりこみ

《バッドエンド『誇りにならない背中の傷』へ到達》

《防御力が15パーセント上昇します》


「……嘘だろ。全然勝てるビジョンが見えねぇよ」


暗い部屋の中、聖夜は頭を抱えた。

どうやっても勝てそうにない。

 ーーキャーミャにバフを最高までかけて貰って、しかも庇われたのに、それでも傷1つ付けられないのかよ。


「……ゲーマーらしく、やりこもうと思ってたけどな。やりこんで出来るもんなのか?」


聖夜は心に靄が掛かるようだった。

全くと言って良いほど道が見えてこない。

数回死んで、ボーナスとしてステータスも少しずつ上がって言っているはず何、それでも届かない。

 ーーあぁ。こういう事感じたの昔もあったな。確か、師匠と競争して、圧倒的な差を付けられたときだったっけか?師匠が1位で、俺が2位。その結果は最後まで崩せんかったが。


聖夜はそんなことを考えて、少し前の世界のことを思い出した。

まだこちらへ来て少ししか経っていないはずなのだが、かなり懐かしく思えてくる。

 ーー懐かしいなぁ。久々に師匠に経営を教えて貰いたいもんだな。………って言っても、もう師匠は向こうの世界にすらいないわけだが。


もう2度と会うことの出来ないだろう恩師の顔を思い浮かべ、聖夜はさみしさを覚えた。

だが、すぐに首を振って気持ちを切り替える。

 ーーいかんな。こんな姿を師匠に見られたら、鼻で笑われて冷たい目で見られて、「邪魔だからどいてくれない?」とか言ってくるに決まってる。俺も師匠の弟子らしく、こんな困難にも機転を利かして立ち向かわないと!……なんか、長い期間やってなくて、しかも異世界まで来たから感覚狂ってたけど、やることは昔仕事やってた頃と変わらないよな。そう考えると、久々に俺は仕事やってることになるのか。


仕事をしていると思うと、やる気が湧いてきた。

聖夜はこのやる気がある間に、ロードを行う。

吹っ切れて、なんだか頭がシッカリしており、今ならえげつないことをして少女に勝てる気がする。


「オラアアアアアアァァァァ!!!!!!!」


聖夜は近くにいるキャーミャを掴み、走り出した。

ここまでは前回までと変わらない、用に思えるが、大きく違う。

聖夜は墓標ではなく、前方の少女へと向かって走っていた。


ドスドスドスッ!

いくつものナイフが刺さる。

抱えているキャーミャの身体に。


「ひっ!な、仲間を盾にしてる!?人の心はないんですか!?」


「あぁ?俺は人をモノみたいに扱う、冷酷な経営者の心はもってんぞ!!」


聖夜がそういったときには、すでに少女の目の前まで迫っていた。

聖夜は右手に持つ剣を、勢いに任せて突き出す。

が、それより早く、


「あ、当たりませぇん!」


後ろへ素速く跳んで、少女に避けられてしまった。

それと共に、ゴゴゴッ!と轟音を響かせながら、1体のボスゾンビが聖夜に向かって走ってきていた。

 ーー前回までならびびって逃げただろうが、今回はびびらない!だって、


「お前!バフかけてボスゾンビにするのに時間が掛かるんだろ!」


とりあえず、通常のゾンビを1体ボスゾンビにするのに、最低1分はかかるだろうという予測だ。

でなければ、前回までのループでわざわざこの少女がナイフを投げて攻撃する必要は無かったはず。

ボスゾンビを突撃させれば良い場面が幾度となくあった。

 ーーつまり、複数体同時にボスゾンビにすることは出来ないし、ボスゾンビを作るのにも時間が掛かる!なら、俺は短期決戦で仕掛けて、あいつに突撃しまくれば良いだけ!!


「オラオラオラァ!!」


ボスゾンビのことは気にせず、少女へと攻撃を続ける。

ボスゾンビもこちらへ来ようとしているが、少女も待避するので場所がコロコロと変わり、追いつけないのだ。

立ち止まればボスゾンビを呼び寄せられるが、聖夜に殺されかねないので出来ない。


「で、でも!」


少女は聖夜が予想していたとおりの動きを見せる。

ボスゾンビのいる方へ向かって走ったのだ。

 ーーボスゾンビには俺が近寄れない。だからこその行動だろうが、……隙だらけだぜ?


「もらっったぁぁぁぁぁ!!!!!」


聖夜は振りかぶり、全力でナイフを投げた。

ナイフなど何処で拾ったのかって?

それは勿論、盾にしたキャーミャの身体からだ。


ドスッ!

「ギャァ!?」


可愛さの余り感じられない、心の底からの痛みによる悲鳴。

聖夜の投げたナイフは少し狙いをはずれて、少女の肩へと突き刺さった。

 ーーちっ。首は外したか。……ま、でも、ナイフはまだまだあるし、問題はないよな!!


「オラオラァ!!止まってる暇なんてないぞぉぉぉ!!」


聖夜は更にキャーミャの身体からナイフを引き抜き。次々と投げていく。

1度目の時のように当てやすくもないが、それでも下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。

4本に1本くらいのペースで、少女の身体を傷つけていった。


「い、いたい!いたい!!」


少女は身体を押さえ、痛みに唸った。

だが、そこに追撃でナイフを投げることはしない。

しないというより、出来ないといった方が正しいかも知れない。

ボスゾンビが少女の前に立ちはだかり、ナイフの軌道を邪魔しているのだ。


「……いいぜぇ。簡単に死んで貰っちゃ、面白くないからなぁ!!」

次で最終回です。


次回、聖夜死す。デュ○ルスタンバイ!

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