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エンド36 お前とは行かない

「お兄さん」


「ん?……って、お前は!」


突然話しかけられた。

聖夜は振り返り、顔を歪ませる。

そう。また出たのだ。聖夜の心を落ち着かせてくれない存在が。


「ど、どうした?お前、昨日宿で絡まれて大惨事に巻き込まれたガキだろ?」


そう言いつつ、聖夜は素速くセーブを行う。

この少女と会えば、今まで毎回殺されているのだ。

今回も殺される可能性だって、決して低くはない。


「あっ。お、覚えてたんですね。すみません、昨日は。お騒がせして」


「い、いや。別にお前がやろうとしてやったわけではないだろうし、いいんだよ」


聖夜はそう言いつつ、心の中では、

 ーーそうだよ!全部お前のせいだよ!!責任とれやボケェ!!

と、怒鳴っていた。


まるで人でなしのようだが、実際にほとんどの責任はこの少女にあるので、聖夜の思うことはある意味正しい。

が、そうは言っても、こんな少女に暴言を吐くのは社会的に許されないだろう。

 ーーさぁて、今度はどんな厄介ごとを持ってくるんだか。できるだけ逃げられるようにしておかないと。


「あ、ありがとうございます。あ、あの、もし良かったら、私と西の方の町に行きませんか?」


「あっ。やめておく」


「え?あ、……そ、そうですか。お邪魔ですよね。すみません」


しょんぼりしたように少女は言う。

が、聖夜はそんなのに惑わされない。

 ーーはっ。悲しめ!泣き叫べ!!お前が悲しめば、俺は嬉しい!!!!

仕方ないことだが、人でなしな悪役の台詞にしか聞こえない。


「ああ。すまないな。俺にはパーティーメンバーもいるし、行くところは決まってるんだ」


「そ、そうですか。そうですよね。す、すみません。失礼します」


少女はそう言って去って行った。

 ーー早っ!?もうこれで会話は終わりかよ!

聖夜は、少女とのあまりにも速い別れに驚く。


「な、何なんだ、あいつ」


聖夜はその背中が見えなくなっても、呆然としながらしばらく見つめる。

 ーーそ、そろそろ戻るか。

そう思ったときには、かなり時間が経っていた。もうキャーミャを起こしても良いかも知れない時間だ。


………。

「うぃ~」


「戻ってこられたのですね」


「………はぁ?」


帰ってきた聖夜。

その聖夜は、目の前のことが信じられず、間抜けな声を出した。

 ーーう、嘘だろ?なんで、なんで、


「なんでお前が起きてるんだよ!?」


「そこに驚かれるのですか?」


 ーーそうだよ!そこだよ!!なんで、俺が起こしてないのにキャーミャが起きてるんだよ!!!

自分で起きられるなら、言って欲しかった。

それなら、今まであんなに聖夜が苦労することはなかったのに。


「それはいいのです。何をなされていたのですか?」


「いや。全然良くないんだけどな。……まあ、取り敢えず今回は横に置いておいてやろう。俺が何をしてたかっていったら、散歩だよ。


「散歩、ですか?」


「ああ。まだ俺が起きたときは日が昇ったばかりだったし、お前をもう少し寝かせても良いと思ったからな」


キャーミャの質問に、100歩譲って答えた。

本当なら、どうやって自分で起きたのか問い詰めたいところだが、どうにか思いとどまらせる。

 ーーとどまれ俺!ここで叫ぶわけにはいかないだろ!


「なるほど。お気遣い頂きありがとうございます」


「ああ。……で?お前、自分で起きられるなら言って欲しいんだが?俺が昨日とか一昨日とか、お前を起こすのにどれだけ苦労したと思っているんだ?」


「………今日起きたのはたまたまです。今度ともご迷惑をおかけしますが、何卒お願い致します」


キャーミャはそう言って、頭を下げた。

どうやら自分で改善する気はないらしい。

 ーーこいつ!ぶん殴りたい!とてもぶん殴りたい!!……だが、思いとどまるんだ俺。コイツは子供!子供に怒ってもしょうがないだろ?そう。仕方のないことなんだ。だから、止まれ俺の拳ぃぃぃぃ!!!!!

聖夜は飛び出しそうになる自分の拳を、全力で押しとどめていた。


「どうかされたのですか?」


「……何でもない。俺は準備をするから、先に朝食を食べに行け」


「はい」


キャーミャが事情を尋ねてくるが、どうにか言葉を絞り出してキャーミャを部屋から追い出す。

そして、そのタイミングで、

 ーークソがあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!


ボフンッ!

枕を思い切り殴った。

しばらく、その状態で聖夜は固まる。


「………はぁはぁはぁ。どうにか、我慢できたな。良かった」


聖夜は息を整える。

それから、殴った枕を整え、準備をした。

 ーー今日も西に行くので良いんだよな?………ん?そういえば、西って言えば、今日会ったガキも西に行くとか言ってたか?


聖夜は、朝に会った少女との会話を思い出した。

 ーーうわぁ。鉢合わせたら気まずい気がするな。でも、西に行かないわけにも行かないし。

聖夜はそう思って、頭を抱えた。

 ーーま、まあ、あのガキにも西に行かないとは言ってないからな。仲間がいるからって言い訳だったから、鉢合わせたとしても俺が悪いって言う流れにはならない、よな?たぶん。

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