エンド23 仲間からのクリティカル
「……はい。こちらが報酬となります」
雑談をしていたら街へ到着。
聖夜たちはまっすぐギルドに向かい、討伐部位を見せて報酬を貰った。
ずっしりとした感覚が、聖夜の手に感じられる。
「ほら。今回の労働で得られた報酬だ。重みを感じとけ」
「はい。……?」
キャーミャは受け取ってはみるモノの、なぜ渡されたかは分からないようだ。
何度か袋を上下させ、首をかしげている。
ーーこの反応は、予想と違ったな。
「なあ。この労働でこの料金。割に合っていると思うか?」
「……割に合っているとは思いません。命の危険性もありましたが、この金額は少なすぎます」
キャーミャは首を横に振った。
命の危険性と、その報酬。
それが釣り合っていないと考えているようだ。
ーー討伐以外の依頼だと、もっと少ないんだけどなぁ。こんな金額、採集してたときには貰えなかったぞ。
「だが、コレが現実だ。お前が暮らしてきた環境なら、命などかけなくても金は入ってくる。だが、平民は違う。命をかけ、必死に頑張って、それで貰えるのがこのくらいの金額だ。確かに重みはあるが、コレと命が同じ価値かと問われると、なんとも言えない気持ちになるよな」
「………そうですね」
キャーミャは下を向いて、何かを考えているかのようだった。
その様子を見て、
ーーあんまり深く考えず、王族って良いよなぁ!っていう、嫌みのつもりで言ったけど、キャーミャが悩んでるな。………どうせなら成長できるように新たな視点からの発想を与えてみよう。
「この料金からは、自由の分の代金が引かれているのかもな」
「……え?」
聖夜の言葉を聞いて、キャーミャは目を見開いた。
彼女が求めていた自由に、それだけの価値があったのかという驚きと納得。
ーー王族なんて言う権力者がかなり望んだのに手に入れられなかったモノだからな。……まあ、キャーミャの望む本当の自由は、もっと高額なモノなのかも知れないが。
「それじゃあ、安い服を買って宿に泊まるぞ」
「はい」
聖夜たちは街の服屋へ向かった。
そこでキャーミャの服を一式買い、宿に行く。
宿代を払えば、もうほとんど金はなくなっていた。
「俺たち、ギリギリの生活してんなぁ」
「そうですね。明日も頑張りましょう」
所持金の関係上、1人部屋を2つ取ることは出来ず、2人部屋になってしまった。
そのことをキャーミャがどう思っているのか分からないが、聖夜はできるだけ刺激しないように大人しくしていようと思った。
ーー俺は大人!だから、少女に手を出すことなどあり得ない!あり得ないんだ!
……………。
………。
チュンチュン。
「………ん?」
聖夜は目を覚ます。
結局、キャーミャとは何もなかった。
ーーふっ。俺は大人だからな。当然だ。
聖夜は余裕の表情を浮かべながら、キャーミャの寝ているベットを見る。
そして、
ーーっ!?か、かわいい!?この寝顔は反則だろ!
………などとなれば良かったのかも知れないが。
残念ながらそんなことにはならなかった。
ーーうわぁ。寝相悪っ!腹出てるぞ!まあ、それでも可愛さは崩れない、か。美少女ってずるいな。
世の中の不条理さを再度認識しつつ、聖夜はキャーミャに近寄る。
それから、肩を掴み、
ユサユサッ!
「おい!起きろ!朝だぞ!!」
「………ん。あと、5分。………ぐぅ」
「………嘘だろ?」
聖夜は頬を引きつらせた。
シッカリしていて、いつも冷静沈着というキャーミャの印象が、ボロボロと崩れていったわけである。
流石に寝起きが悪いといったことまでは、実績達成の情報にも書かれていなかった。
ーーはぁ。どうやって起こそうか。
そう思って、キャーミャを見たときだった。
丁度キャーミャが寝返りを打つところで、遠心力のついた脚が、聖夜の急所に、
ドスッ!
「っ!?……・・ギャアアアァァァァァァ!!!!!!!???????」
「ひぇっ!?……………な、なんですか」
聖夜はうずくまり、絶叫した。
その絶叫を耳元で聞いたキャーミャが、何事かと飛び起きて周りを見回す。
ーーい、痛い!痛い!痛いぃぃぃぃ!!!??????何てことしてくれるんだ!このクソ姫ぇぇぇぇぇぇ!!!!!
「………起きたか。お前があまりにも起きないから、少しばかり大きな声を出したんだ」
「ああ。神の使い様。おはようございます。………そう、なのですか?それは、お手を煩わせてしまって申し訳ありません」
「気にするな」
気にするなとは言うが。
ーー無理だよな。気にするよな。ベットの横で俺がうずくまってたら。
聖夜はまだ、受けたダメージから回復できていない。
「「…………」」
しばらく2人で無言になる。
キャーミャとしても、聖夜からあまり触れて欲しくないという雰囲気が醸し出されていて、触れにくい。
ーー気を遣わせて悪い気がする。が!この痛みの中ではそんなことも考えてられない!!痛いぃ!
「俺はまだ少しこの部屋にいるから、お前は準備をしてから先に朝食を食べに行け」
「はい。分かりました」
キャーミャは頷いた。
お仕事モードに入ったキャーミャちゃんは、人の意見に疑問を持つことはなく、淡々と仕事をこなすのだ。
ーー朝起きてすぐに仕事モードに入らされるとか、きついなぁ。申し訳ないけど、………痛いっ!!
………結局、痛みは数分間とれなかった。




