エンド14 最初の四天王
「魔族の差し金か。……その四天王とやらの居場所は?」
「も、森にいるんだよ!霧があるから誰も近づけなくて安全だって言ってた!」
聖夜たちは黙って顔を見合わせる。
霧の中となると、対処が非常に困難。
なんと言ったって、昼に森に入ることを諦めたばかりなのだから。
「四天王はその霧について何か言っていたか?」
「き、霧について、………そういえば、魔力の濃度がどうとかいってた気がする」
魔力の話になってくると、聖夜は何も分からない。
ということで、現在の聖夜に提案できる解決方法としては、
「俺にはそれを解決できる方法は知らないから、他の街に移るのに1票だ」
これからも暗殺者を送られても困るし、逃げちまえ!
という考えである。
だが、セプティアは首を振った。
「魔力の濃度が関係しているなら、解決方法がなくはない」
「ん。そうなのか?」
セプティアは、解決方法を知っていた。
聖夜は、少し意外に感じた。
なんと言ったって、こういう通れないところなどは、ゲームなどだとある程度進んでから戻ってくることが多いから。
「簡単だ。高濃度の魔力は溜まる場所なら、そこで魔法を使えば良い。ただ、生半可な魔法を使うわけにもいかないし、」
そう言って、セプティアは転がっている賊たちを見る。
その視線を受け、賊はビクッ!と体を震わせた。
怖がるとか、そういう次元ではない怯えようだ。
「ということでお前ら、1つ仕事をすれば、今回は見逃してやろう」
「分かった!何でもやる!!」
首をガクガクと振る。
その様子を見て、セプティアはあくどい笑みを浮かべた。
聖夜はそれを心の中で引きながら、賊たちに少しだけ同情した。
それから、次の日。
聖夜たちは昨日と同じく森の前にやってきていた。
ただ、昨日とは違うのはそのメンバー。
「それじゃあ、やれ!」
「「「「『ファイアーボール』!!!」」」」
賊が一斉に炎の魔法を発動する。
すると、その炎の魔法は霧の中に飛んでいき、
返ってくる。
「「「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!??????」」」
賊たちは悲鳴を上げながらも必死にその魔法を避ける。
因みに、聖夜たちは賊たちからは離れていた。
そのため、被害はなし。
「おお。霧が晴れたな」
聖夜は、賊たちのことは気にもとめず、森を見て驚いていた。
なんと、さっきまであった濃い霧が綺麗さっぱりなくなっているのである。
感心している聖夜の横を、人影が通り過ぎた。
「あっ!セプティア!もう行くのか?」
「ああ。また魔力で霧を作られても困るしな。お前たちは、もう帰って良いぞ」
「「「うっす!頑張ってください!!」」」
三下に成り下がった賊たちが頭を下げ、聖夜たちに背を向ける。
それを見ながら、聖夜は逆方向、森の中へと進んでいく。
そうしながらも、セーブを忘れない。
「霧は晴れたが、魔物はいない、か」
セプティアが周りを警戒して見回しながら呟く。
セプティアが言うとおり、森に魔物の気配はしなかった。
魔物だけでなく、生物自体の存在を感じることが出来ない。
「………っ!セーヤ!」
「ああ!分かっている!!」
セプティアが途中で足を止め、剣を構える。
聖夜もすぐにそれに気づき、木を背にしながら剣を抜く。
2人が見つけたモノは、
「あらぁ~?見つかっちゃったわぁ~」
おっとりとした口調。
その声の主は、青い髪を伸ばし、聖夜たちに微笑む女性。
唯一普通の女性と違うのは、その目が怪しい闇を感じさせることくらい。
「魔眼持ちの魔族だ!おそらく四天王だろう!気を引き締めろ!!」
「ああ。分かって、どわぁ!?」
分かっていると言おうとしたところで、聖夜は情けない叫び声を上げた。
だが、それも仕方のないこと。
なぜなら、
「っ!?植物の操作か!厄介な!」
背を預けていた木に、突然襲われたのだから。
巨木が幹を動かし、聖夜を叩き潰そうとしてくる。
ーー周りも木だらけだし、安全な所とかないじゃねぇか!!!ふざけんなぁぁぁ!!!
「あらぁ?よそ見してたら、危ないわよぉ」
そう声が聞こえた直後、聖夜の周りが暗くなる。
ーーあれ?これ影?ってことは、上に大きなモノが、……あっ。
《バッドエンド『枝の下敷き』へ到達》
《防御力が15パーセント上昇します》
「ひぇ~。四天王って、こんなに強いもんなのか。あの感じ、森の木を全部操れそうな感じだったしなぁ」




