ゲーセンで練習
説明頑張るのでみなさん読むのを頑張ってください!
パチンコ打ちは全員このくらいの用語を把握して日常に溶け込んでいます。
駅前のゲーセンのメダルコーナーには一世を風靡したりしなかったりする台が20台ほど置かれていた。
ちなみに一般的なゲーセンの台はパチンコ店にあるものの改造品で、挙動が全く異なる。
もっとも、出玉性能なんかが違うだけで、練習がてら遊ぶ分にはなんら遜色ない。
「ちょっと古いけど、これにしよう」
俺が選んだ台、旋風の用心棒 胡蝶の記憶だ。
この台でボーナス+ARTの基本を教えられるだろう。
ホールにあった当時、この台はどちらかというと不評寄りだった。
前兆のプイプイするリール遊びや、通る気のしないCZ、ほぼ継続しないARTのせいだ。
もちろん面白いところもあって、神旋風チャンスは相当スゴイ性能を秘めていたし、無限ARTの天井やREGの3択当てなど、光るところはあった。
両替した100円を台の横のスリットに入れ、クレジットが50増えた。
マックスベットを叩き、レバーをチョンと叩くとリールが回り始めた。
「黒いの・・・・・・黒いの」
「ヤニいってくるにゃあ」
15分に1回というハイペースで分煙スペースにタバコを吸いに行くアカリ。
(15分に1回3分、1時間で12分のロスか。まあ想定内だ)
しばらく打ち方を教えながら消化させて、ARTの押し順を守れるか横の席で見守ること2時間。
アカリが2時間でこぼしたレア小役は約7割。練習が必要なのは明らかだった。
しかし、7を揃えるのは半分くらい成功していた。これは少し練習すれば99%ミスしなくなるだろう。
「この数字の1、2、3の順に対応する下のボタンを押す」
「にゃあ。簡単にゃ」
4号機や5号機初期と違い、色目押しなどは必要はなく、誰でも簡単に押し順に従うだけで出玉が得られるのが5号機中期以降の台だ。
練習終わり! クレジットを払い出し、適当なメカスロに最大ベットして捨てた。
この後はアカリが友達と遊ぶ約束があるらしく、解散にした。
翌日、アカリにまた昼マックセットをおごり、今度はAT機とパチンコの練習だ。
台は―麻雀物語2~激闘!麻雀グランプリ~、だ
データ機で380Gやめ。ここからでは700のゾーンでかからないとだいたい天井直行する感じになる。
「このねえちゃんたちスゲェ恰好だにゃ」
アカリもだらしなさから大概な恰好をしているのだが、突っ込まないでおく。
俺が気にしていたのは単調な通常時を1時間ミスなく回せるのかということ。
順押し―左、中、右の順で延々ボタンを押せないと、ペナルティ状態になったりする台を打たせることができないからだ。
レア小役は最悪全部取りこぼしとして考えよう。
「もうやれそうか?」
「まあにゃんとなく」
近くの喫煙可の居酒屋に入り、アカリと夕食を摂る。
俺は酒もタバコもやらないが、別にどちらも嫌いではない。
もちろんこの飲み代も俺が払う。
「まずは―そうだな。汚くない恰好をしよう」
「にゃ?」
「毎日風呂に入って・・・・・・住まいに風呂はあるのか?」
「ないにゃ」
「じゃあひとまず3日分の銭湯代はあげよう」
ビールをグッと飲み干すアカリ。
彼女は会ってからずっと同じ服装のようだった。汗の臭いが多少は臭う。
俺は2千円を財布から出してテーブルに置く。
金を見た熊猫獣人の目が輝き始めた。
「次、清潔な服。下着にシャツと、短いズボン、靴下でいいのか?」
「下着は着けてないにゃあ。窮屈にゃ」
「だろうけど、これからは着けてくれ。洗濯機は無いにしろ服を手洗いできるところくらいあるだろ?」
「・・・・・・なくはないにゃ」
「じゃあ3日に1回は洗濯してきれいな服を着ること。もし着替えや洗濯が理由なら集合に遅れてもいい」
「にゃ」
(服を7セット。1週間分、駅前のファッションセンターで最安なら15000円くらいだな)
目立つ格好は絶対にダメだ。店員に顔を覚えられるのは仕方ないとして、毎日出していて他の客からクレームが入るとすぐに出禁にさせられるから。
テーブルに15000円を全部千円札で出す。
この熊猫獣人を打ち子として使うために予定している予算は10万。
ひとまず最低限の生活ができる程度には、まず金を出してやるつもりでいた。
「パチンコ屋ってタバコ吸えるんにゃよね?」
「ああ。今は基本分煙だけどな。ただし仕事中は1時間に1回までにしてもらう」
「・・・・・・まあそこは仕方ないにゃ」
2日間の挙動を見ていると、どう考えても嘘なのが透けて見えているがよしとしよう。
家賃を1カ月、水道代と電気代、スマホの通信料で5万だと。まずはこれを立て替えてやる。
「明日、その支払いに同行していいか? 流石にまだ信用できない」
「・・・・・・もちろんにゃあ。逃げたりしないにゃ」
アカリがある程度使えるようになれば、10万は2週間でペイできる金額だ。
「給料の話だが、朝、昼、夜の飯代が1000円ずつ。代打ち金が―ひとまず3000円。それに当日の合計収支がプラス10万以上だったら2000円追加であげよう」
「にゃあタバコが欲しいにゃあ」
「この辺は等価じゃないから、玉が出たときに景品で取ってまとめて渡す。1日1箱でいいな?」
「! もちろんにゃあ!」
それからアカリに指導すること3日。昼食と夕食にゲーセン代は全額俺持ちだったが、大した金額ではなかった。それよりもアカリという話相手がいて久しぶりに楽しかった。
・ボーナス+ART:メダルがいっぱい増えるボーナスとアシストリプレイタイムと呼ばれる機能。ARTをすごい簡単に説明すると、液晶などの指示に従うと絵柄が揃い、ちょっとメダルが増えていく、もう一回回せるリプレイという絵柄も揃いやすくなっている。これでボーナスまでメダルが減らないと嬉しい。
・通る気のしないCZ:チャンスゾーン。この間に当たりとかを引くとARTに入ったりする。成功する条件が無理ゲーでARTに入りにくい。
・クレジット:パチスロにはクレジット機能というものがあり、メダルを50枚まで貯めておくことができる。いっぱい入れておけばいちいちメダルを入れなくてよくなる。ちなみに昨今のスマスロはもっといっぱい貯めておける。
・マックスベット:3枚がけのこと。スロットは基本的に3枚入れないと回らない。もし2枚とかで回っても各種抽選がとても貧弱になる。当然、20円スロットの場合1回転60円を賭けている。
・レバー:台の左あたりについていて、これを叩くとリールが回転を始める。各種抽選は基本この瞬間。勝負のはじまりだ!
・レア小役:あんまり揃わない役。30分の1とか65536分の1とか。基本的に確率の低いやつ(出にくいやつ)を引くほどいっぱい出すチャンスになる。また、これは目押しをしないと揃わないことが多い。
・目押し:適当にストップボタンを押すのではなく、狙ってタイミングよく押すことで7を揃えたりする。できないといっぱい損するので練習しよう。昔からスロットが難しいと言われていた原因。今はそんなことないけどね。
・メカスロ:パチスロ機ではなく、勝手に回って勝手に止まる目押しのできないゲーセン専用機。カジノにもあるらしい。
・AT機:アシストタイム機。液晶などの指示に従うとどんどん出玉を増やせる。リプレイというもう一回回せる絵柄はナビしないやつ。たいてい波が荒い。10万円とか勝ったり負けたりする。
・380G:380ゲーム。誰も回していない状態からか、前回の当たりから380回転しているということ。
・700のゾーン:700回転あたりの当たりやすいところ。機種によっては当たりやすい場所と当たりにくい場所を作ってメリハリをつけている。つまり当たりは―そういうことだ。
・スゲェ恰好:麻雀物語2で動画検索すればわかります。
・通常時:当たってないときのこと。たいがい暇。今はみんなスマホに夢中。
・ペナルティ状態:液晶などで指示された押し順などを守らないと各種抽選が行われなかったりする。その状態。
・出禁:出入り禁止のこと。稼ぎすぎたりすると店に入れなくなる。そのほかにも問題行動をおこすと出禁になる。
・打ち子:誰かの指示に従って代わりにパチンコ、スロットを打つ人のこと。打つためのお金は親と呼ばれる者が全額出す。どれだけ出しても子がそのままお金がもらえる訳ではない。時給制だったり日給制が基本。昨今はSNSで募集されていることが多い。店によっては出禁対象で、どこでも良い顔はされない。老若男女多種多様な人間がいる。
・分煙:タバコの煙がもくもくの時代は終わった。現在は電子タバコは席で吸える店も多い。
・使えるようになれば:打ち子にも向き不向きがある。9時の並びから昼飯抜きで閉店の23時までパチンコ屋にいられるかどうか。




