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デメキン姫と呼ばれた聖女、今日も華麗に逃げ出します! 〜最凶魔術師にいじめられてた私が、なぜか番契約で溺愛されて国へのざまぁも始まりました〜  作者: みょんたま
前編 /  旅路編

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第3話【執着】「デメキン姫を迎えに行くぞ」〜最凶騎士の過保護な追跡〜

「なんか……すっごい臭いんだけど!!?」

「はぁあああああ!?」


 アリアが思い切り眉を寄せ、小さな鼻をつまんで大げさに臭さをアピールすると、セシルは呆れ返って怒鳴った。


「お前、命の恩人に助けてもらった第一声がそれかよ! ちょっとは感謝しろ、出目金!」

「だから誰が出目金よ!」


 アリアは左眉をこれ以上ないと言うほどあげて怒鳴り返した。


「そもそも、頼んでないってば! おろして!!」

「あーもう、キンキンうるせーな! ほらよ!」


 乱暴な口調とは裏腹に、セシルは少女が怪我をしないよう、きちんと地面へ下ろしてやった。見れば見るほど大きな瞳。少女は地面に足をつくと、ほっとしたのも束の間、きょろきょろと小動物のように忙しなくあたりを見渡した。そのたびに、こぼれ落ちそうなほど大きな瞳がさらに丸くなり、余計に際立っている。セシルは内心で実家の執事が飼っている、金魚の出目金、クレオにそっくりだとまたも思った。


「これだろ?」


 ハルカが落ちていたブーツを拾い、砂を払う。そして少女の横に片膝をついて座ると、足元に靴を置いてやった。そして優しく諭すように話しかけた。


「君、本当に危なかったよ。僕らがいなかったら骨折どころじゃなかった。もしかしたら死んでたかもしれないよ」


「ふん!」

 少女はぷいっとそっぽを向き、小さな鼻を鳴らした。


「あんたたちがいなかったら、見事な受け身で静かに着地してたし!」


 真っ赤になった顔を隠すように、胸を張って全力で強がってみせる。


「こいつ……! 助けてやったのに、なんだよその生意気な言い草は!」

「誰も助けてくれなんて頼んでないし!」


 少女はべーっと舌を出さんばかりの勢いで言い返すと、そのまま地面にペタンと座り込んで履き始めた。  

 ハルカが目線を合わせて、少し声を落として優しく諭す。


「どこへ行くの?こんな時間に。もう夜になるよ? おうちの方には言ったのかな?」


 少女は気まずそうにわずかに視線を泳がせながら、ブーツの紐をきゅっと力強く結び直した。


「……逆に、これからウチに帰るの」


 少しだけ寂しそうな、でも譲れない決意を秘めたような複雑な表情で呟く。


「君、ここの住人の知り合いかい?」


 少女は勢いよく立ち上がって、ハルカをきっ、と睨み返した。


「断っじて違います!」


 今度は顔を真っ赤にして全力で否定する。  

 それから、セシルとハルカの鼻先をびしっと指さし、眉をキリッと吊り上げた。


「……いいわね?このことは誰にも言ってはだめ。死んでも言ってはだめよ!!」


 いたずらが見つかった子供のように必死な形相できつく言い渡すと、ハルカが持っていた自分の鞄をぎゅっともぎ取った。


「わかったわね!」


 念を押すようにふたりを交互にぎろりと睨みつけた。


「ちょ, 君――」


 ハルカが声をかける間もなく、少女は振り返りもせず、海の見える方角へ向かって猛ダッシュで走り去っていった。


 セシルは深い深いため息をつく。


「何だあいつ。厨房のパンでも盗んだ悪ガキか」

「この世知辛い世の中、盗みも一つの生きる手段だからねぇ」


「完全に出目金だったな」

「そこはもういいよ」


 ハルカが呆れたようにツッコミを入れる。


「とりあえず、さっさと中に入れてもらいたいね」

「だな。いつまでこんな壁の外で足止め食ってんだよ。俺は臭いらしいからな、早く風呂入りてぇよ」


 まだ根に持っているセシルが舌打ちをした、その時だった。


「ゴッホン!あ〜、お待たせいたしましたぁ〜〜〜…」


 数分後、二人の前に先ほどの執事が正門がある方の角からひょっこりと顔を出した。

 先ほど正門で二人をにべもなく門前払いをした、あのトーマスである。


 その表情は固く、しかしどこか気まずそうだった。


「帝都より、魔塔経由の緊急伝信がございましてぇ……お二人が、その〜〜本当にお迎えの特務部隊の方である、みたいな?」

「緊急伝信だァ!?」


 セシルは思いきり眉を吊り上げ、トーマスではなく、なぜか無関係なエデンの壁に向かって怒鳴り散らした。


「まるで俺らが門前払い食らってるのをその場で見てたかのような早さだなぁオイ!!」


 ハルカは壁の蔦がキリキリと動いたように見えたような気がした。


「…」

「な、何を言っているのです……」


 トーマスはヤバい連中を相手にしていると悟ったのか、わずかに目を泳がせた。


「そ、その、大変失礼いたしました。まさか、このように若い学生さん——いえ、お若い方が来られるとは思いませんでしたもので」

「子ども扱いすんな」

「一応、僕らは二十歳ですよ」


 ハルカが穏やかに笑った。  

 その笑顔の裏に圧力があることを、トーマスはまだ知らない。


「結界が弱くなったことで北部はもうかなり荒れています。ベテラン勢は前線と帝都警備で手一杯でしてね。今回の道中でも、大型の魔獣を何体か消し炭にしてきましたし」

「消し炭にしたのは俺だ」

「はいはい。そこは譲るよ」


 トーマスはハルカの血生臭い説明をほとんど聞き流し、まだ完全に疑いの視線を隠しきれないまま、二人を館の中へ案内した。


 重厚な扉を開け、豪奢な館の中へ入る。  

 チリ一つなく磨き上げられた床。首が痛くなるほど高い天井。  

 廊下には、むせ返るような百合の花の香りが淡く漂っている。

 螺旋階段を上る前に通った広い部屋の前で、セシルは不意に足を止めた。  

 そこには、年齢の異なる子どもたちが数人いた。  

 皆、静かに遊んでいる。

 積み木を積む子。絵を描く子。本を開いたまま、ページをめくらない子。

 笑い声は、一切なかった。  

 普通の子どもが立てるはずの歓声も、足音も、泣き声もない。  

 誰も、大きな声を出さない。

 ただ、決められた場所で、決められた姿勢で、人形のように静かに時間を過ごしている。


「……この子たちは?」


 ハルカが小さく問いかけた。  

 トーマスは何でもないことのように、答える。


「帝国中から集められた、聖力の素質がある子どもたちでございます。皆、帝国に保護されてここにいます。いずれ国のために旅立ちます」


 そして誇らしげに続けた。


「ま!いずれの子もアリア様に比べましたら? アリア様がこの子たちと同じくらいの年齢の時には、既に当時のソリストを上回る圧倒的な実力をお持ちでした!アリア様が歌えば難病も治るとされ貴族派の皇帝ですらその聖力を讃えたものです。私はアリア様がまだおしゃべりもおぼつかない頃からお世話させていただいてましてね? それはもう愛らしく、トーマシュゥ!などと呼ばれていたものですウンタラカンタラ……」


 セシルとハルカは、トーマスの自慢話には一切耳を貸さず、子どもたちの目を見た。

 澄んでいる。  深くきれいな輝く青の瞳。輝く美しいハチミツ色の金髪がまだらに混じっている髪色。

 二人の視線に気づいたトーマスが、待ってましたとばかりに自慢げに口を挟む。


「お気づきですか? ただの金髪や青い瞳ならこの世界にもおりますが、この二つが揃い、内側から輝いて見えるのは『聖なる者』である証拠。……ですがご覧の通り、この子たちはどれも不完全です。それに引き換え、髪の先まで純然たる黄金の輝きに満ちたアリア様の、なんと特別で尊いことか!」


 心底うっとりとした声で語るトーマス。  ただ――セシルとハルカが見ていたのは、そんな美しい色彩の話ではない。

 子どもたちのその瞳の奥底に、何もなかった。  

 生気も、感情も、意思もない。  

 空っぽのガラス玉のようだった。



 この国では、力を持つ者ほど自由がない。  


 そもそも、魔力を持つ者自体がごく一握りしかいない。

 攻撃に向いた魔力を持つ者は、帝都の魔術学園へ入り、やがて魔道騎士団に入る。


 長く続いた隣国との小競り合いと、各地に現れる魔物のせいで、強い魔術師はいくらいても足りないからだ。  

 そして、治癒や癒やしを司る「聖力」を持つ者は、魔力を持つ者よりもさらに圧倒的に少ない。  

 だからこそ、貴族たちはこぞって魔力や聖力を持つ者と政略的な婚姻を交わし、一族の血を濃くして権力を高め、盤石なものにしてきた歴史がある。


 特に聖力を持つ者の扱いは厄介だった。神殿に聖人や聖女として祀り上げられ、祈れ、歌え、癒やせと求められる。あるいは、強欲な貴族に囲い込まれて、文字通り政治や権力、繁殖の道具にされる。

 もしも保護されなかった場合、たとえわずかな癒やしの力しか持たなくても、聖力を酷使させられ、若くして命を落とす者もいると聞いた。

 だからエデンは、表向きには保護施設だった。  

 力ある子どもを守るための場所。  

 聖なる力を持つ者を、悪意ある大人から遠ざけるための白い館。


 だが、その「白い館」の中で保護されているはずの子どもたちは、まるで生きる屍のようにただ息をしているだけだった。


 ハルカは無言で、子どもたちを見渡した。  

 一番大きい子でも、十歳前後だろうか。


 ハルカは先ほどの少女がもしも逃げ出したのだとしたら、それも無理はないと思うと同時に、その身を案じた。


「……小さい子ばかりですね」


 ハルカが、静かに言った。


「この子たちは、大きくなったらどこへ行くんですか?」


 トーマスは何でもないことのように、答える。


「国のために各地へ旅立つか、ご実家に帰るかでございますな。儀式や結界の維持など、聖力をお持ちの方にしかできないお役目がございますので。年頃になれば、番契約を結ぶ子もおります」


「番契約……」


 セシルが、子どもたちから視線を外さないまま、低く繰り返した。


「聖力を持つ者は、魔力を持ち、なおかつ国に貢献した方と番となるのが習わし。力と力が共鳴することで、聖力はより安定し、長く保たれるのでございます。その逆も然り。相手の方も力が増幅します」

 

 トーマスは誇らしげに続けた。


「アリア様も10日後には十八歳。儀式の後には然るべき場所に向かわれることでしょう!!」

「…そうですか」

 

 二人は無言で、同じように顔を顰めた。ハルカはそれ以上、何も聞かなかった。セシルの指先からは、かすかに青白い火花が、ぱちりと散った。

 

 螺旋階段を上り、三階へ向かう。


「ささっ、こちらがアリア様のお部屋でございます」


 トーマスが仰々しい彫刻の施された扉の前に立ち、恭しくノックした。


「アリア様、失礼いたします。帝都からの護衛の方が到着されました」


 返事はない。


「アリア様?」


 もう一度、トーマスが声を張り上げて呼びかける。それでも、静まり返ったままだ。


「……失礼します」

 嫌な予感がしたのか、トーマスがガチャリと扉を開けた。

 開いた瞬間、潮の匂いを含んだ強い海風が部屋の中に吹き込んできた。窓辺の白いレースのカーテンが、狂ったように大きくはためいている。開け放たれた窓の向こうに、夕暮れの海が見える。

 三階の高さから見下ろすクリスタルレイルの街は、青い屋根と白い壁の家々が斜面に沿って並び、その向こうで港と海が赤く染まっていた。あまりにも静かで、美しい景色だった。

 だが、その窓辺に括りつけられたシーツを見た瞬間、そんな感傷は吹き飛ぶ。

 豪奢な天蓋付きベッドの枠には、何枚もの白いシーツが固く結びつけられ、開け放たれた窓の外へと無様に伸びている。


「……!! アリア様!?」


 トーマスの顔から、血の気が引く。


「セシル」

 ハルカが、はためくカーテンとシーツを見て、静かに相棒を呼んだ。

「あのシーツ……ひょっとして」

「おい」


 セシルが、限界まで眉間に皺を寄せてトーマスを振り返る。


「おっさん。ひょっとしてそのアリア・ブランシュ・メイフィールドって……こんくらいの小せぇ背丈で、頭に布巻、目ぇでっかい、出目金みてぇな生意気なガキか?」


「そ、そうです!頭に布…は巻いてませんが、アリア様は十七歳になられますけれども、大変華奢で、身長も160センチもなく…生意気なガ…年より幼く見られることもございます……というか、あなた方、まさかアリア様を!?」


「どこぞのパン泥棒かクソガキかと思ったわ。てか新聞の挿絵と違いすぎんだろ!!」

「あの挿絵は色っぽい女性だったよね。相当盛ってるってことだ」


 セシルがハーとため息をついて、ハルカはやれやれと頭を振った。


「それよりアリア様はどちらに!? まさか、あのシーツで……」

「そのまさかですよ」


 ハルカが、窓を指差して静かに言った。


「彼女は窓から器用に降りてきて、私たちに『誰にも言うな』と命令した後、海の方角へ全力疾走していきました」


 ひいいい!!  …とでも聞こえてきそうな表情で、わかりやすくトーマスは狼狽えた。


「セシル、急ごう。まだ半刻も経ってない。近くにいるはずだ」

「……ちっ。マジで面倒なことになってきやがった。探すったって、どこ探すんだよ」


 窓からは、海に沈みかける夕日が見えた。  

 豪奢な部屋が、少しずつオレンジ色に染まり出している。


「ま、窓をお閉めください!」


 トーマスがパニック状態になりながら慌てて窓へ駆け寄った。


「その楔を外したままでは、部屋まわりの結界が解けてしまいます!」

「楔?」


 セシルが窓枠を覗き込む。  

トーマスは結びつけられたシーツを外しながら、床に落ちていた細長い銀色の留め具を震える手で拾い上げた。細い楔だった。その表面には、蔦のような細かい術式紋がびっしりと刻まれている。


「窓枠の結界を留めるための楔でございます。本来なら、保持体であるアリア様ご自身が内側から外せるようなものではございませんのに……!」

「本来なら、ね」


 セシルはその楔を横から胡乱な目で見た。  

銀色の蔦。先ほど外壁で見た、あのフォイエルシュタイン家の陰湿な術式紋と同じものだ。


「結界そのものが弱まってるから、ガキの力でも外れたってわけか」


 トーマスは青ざめた顔でカクカクと頷いた。


「……おそらくは。帝国全土の結界が弱まっている影響が、ここにも……」


 ハルカの声も一段と低くなる。セシルが忌々しげに舌打ちした。


「しかし一体、あの方はどこへ……」

「これからウチに帰るって言ってましたよ」


 トーマスが「ヒッ」と短く息を呑む。


「う、ウチ、でございますか?」

「ええ。彼女、さっきはっきりとそう言ってましたよ。これからウチに帰るんだって」


「も、もし一般市民に見つかりでもしたら……大変なことになります!聖なる力を求めて群がる群衆の怖さは魔獣よりも恐ろしいのです!」

「だからターバン巻いてたんじゃねーの」


「そんなものであの方の光は誤魔化せません!それにご実家のことでしたら……もう、誰もいないかと」


 部屋の空気が、急激に冷えた。


「シングルマザーだったお母様は、数年も前に再婚されて別の土地へ引っ越されました。お婆様も、先月……心不全でお亡くなりになられております」


 ハルカの目が、鋭く細くなる。


「……それを、彼女は知っているんですか?」


 トーマスは気まずそうに視線を伏せた。


「……知らせておりません。一度このエデンに入ると、外界の俗世とは完全に遮断されるのがしきたりなのです。余計な感情は、聖力を濁らせますゆえ」


 重たい沈黙。セシルは、この日一番の特大の舌打ちをした。


「……そこだな。住所は?」

「確か……港の方です。ドラフェンガルド旧市街地の、海沿いの公園の前にある——」


 ハルカが流れるような動作で懐から地図を広げる。


「ここから歩けば一時間はかかる場所でございます」

「セシル、馬を出そう」

「ああ」


 セシルは踵を返し、迷うことなく開け放たれた窓へ向かって歩き出した。  

トーマスがギョッとして慌てて声を上げる。


「ま、まさか窓から行かれるおつもりですか!?」

「おっさーん」


 セシルは窓枠に躊躇なく足をかけながら、肩越しに振り返る。  

長すぎる足と全体重が乗り、アンティークの高級な窓枠がミシリと嫌な音を立てた。


「俺ら、ちょっと迷子迎えに行ってくるから。荷物の準備でもして待ってろよな?」

「やめてください! 扉から!普通に一階の扉からお出になってくださいませ!」


 悲痛な叫びを気にも留めず、ふっと無駄に美しい顔でトーマスに不敵に笑いかけたセシルは、


「誰に命令してんだよ」


 笑顔でそう言い放ち

 ――次の瞬間、三階の窓から躊躇なく宙へ飛び降りた。

 バキィッ!!

 その瞬間、セシルの軍用ブーツの力強い踏み込みとなった木製の窓枠の一部が、無惨にもへし折れて眼下へ落ちていった。


「ひぃやああっ! 結界がぁあ!!!」

「いやぁ、窓を壊す必要はなかったですよねぇ。すみませんあの銀髪、本当に野蛮でして」


 爽やかに謝罪しながら、ハルカもまた窓枠に残った無事な部分に足をかける。しかし、鍛え上げられた肩幅が大きすぎたのか、窓のサッシに肩がぶつかり、ガラスにヒビが入る音がした。


 ピシッ……。


「あ……」


 ハルカと、顔面蒼白のトーマスの目があう。

 ハルカは、にっこりと微笑んだ。その笑顔は、自分の顔が整っていると自覚している表情で、その素敵な笑顔に一瞬トーマスも笑顔となった。


 ・・・。


 時が、3秒ほど止まっただろうか。


「では、失礼?」

「ハッ!・・・し、失礼?ではございません! 結界があぁ浅ああ!!!」


 笑顔の魔法が解けた執事の悲痛な絶決は、夕焼けの空へ空しく消えていった。


 ◆◆◆


 ――そして、その頃。


 ヤンキー二人組が窓枠をへし折りながら自分を追ってきているなど、知る由もないアリアは。  

すっかり日の落ちた旧市街地で、懐かしい『我が家』の前に立っていた。


「やっと、帰ってこれた……!」


 それまでの強がりで意地っ張りな仮面が嘘のように、その表情は一転して、今にも泣き出しそうな、それでいて愛おしいものを見つめるような、柔らかく幼い顔に変わっている。家族が待っているはずの家を、そっと見つめる。





 その背後で。

 しゅう、しゅう、と。  濡れた息がした。

 暗闇の中で、巨大な緑の眼がゆっくりと開いた――。


うわー誤字脱字多すぎて直しました、改変だらけになってしまった!

ポンコツな進み具合ですが、このまま続けます!

ご指摘でも感想でもいただけると嬉しいです!ご覧いただきありがとうございます✨

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