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7話 英雄達の帰還

更新が遅くなってしまい済みませんでした!


 あれからしばらく王国軍と一緒に森の中を歩いた。

 全員私を怖がっている様子で、あまり話しかけてこなかった。


 別にいいんだけどね。


 しかしせっかく負傷兵を助けたというのにちょっとがっかりした。信頼は積み上げるのは大変だが、失うときは一瞬だ。

 だがアドルフは少ししてから私にどんどん話しかけてくるになった。私のことをあんなに警戒していたのに驚いた。

 たぶん彼はこの国王軍を代表して話しているつもりなんだろう。私が本当に人に危害を加えないかを見定めるのと、国王軍を敵視しないでもらうためという思惑があるのだろう。

 

 というかあなたが私の正体をばらした本人じゃない。

 

 こっちは何も面倒なことが起きないように祈っていたのにね。

 まあ、誰も話しかけてこなかったのはやっぱり寂しかったから悪い気はしなかった。


 




 あれから一時間ぐらい歩いただろうか。ようやく森を抜けた。あたりは少し薄暗くなり、夕方になっていた。


「見ろ、あそこがサマラ王国のセーヌ地方出一番大きな街、ダリウスだ。我々は今日はここで一泊し明日には王都に帰る。本当に忙しくてどうにかなりそうだ。我々は全員ダリウスの兵ではなく、王都の兵なのだ。」

「ダリウスの兵は今回の戦いには参加しなかったの?」

「ダリウスの兵達は、今回はみんな街の守りに専念させた。我々がもしも負けてしまった場合に備えて、この街に待機させていたのだ。ほら、門の周りを兵士達が取り囲んでいる。あれがダリウスの兵達だ。」


 ダリウスは周りを巨大な壁で囲まれていた。そして5メートル間隔に兵士がたっており、門は固く閉じられていた。

 また、門の上にも兵士がたくさんおり、全員が弓矢を持っていた。


「まあ、ダリウスの兵士達が本戦に加わらなかったのは、あいつらが弱いからだ。」


 アドルフはため息交じりに言った。


「普段彼らは街の警護をして治安を守っているんだが、あまり実戦経験がない。この王国は王都に戦力を集中しすぎているんだ。馬鹿な国王や大臣どもが自分達の身を案ずるがあまりにこうなってしまった。おかげで地方には軍隊と呼べるような戦力があまりなく、何かあったら我々王都の兵士達がいちいち出向かなければならない。いつか近隣諸国から同時に攻められたらこの国は終わりだ。」


 驚きである。よくそんなので今までもったものだ。


「今までそれでよく大丈夫だったね。」

「今の体制になったのは1年前に馬鹿王子が国王になってからなんだ。」

「団長、それ絶対に本人の前で言わないでくださいね。」

「だが実際そうだろう?そのうちこの国は痛い目を見ることになるさ。」


 たぶんこの体制はあと1年もたないだろうな-。


 私はほとんど確信してそう言えた。

 どうしようか。その前に別の国に行ったほうがいいかもしれない。





「王国騎士団長アドルフ・バーナーだ!帝国軍は撤退した。門を開けてくれ!」


 アドルフが大声で言った。


「開門!よくぞ無事で!」


 門番の兵士達が急いで門を開ける。

 門が開くとものすごい人が王国軍を出迎えていた。


「さすが王都の兵達だ!あの数の帝国軍を撤退させるなんて!」

「さすが王国最強の男!」

「でも最初と比べるとものすごく数が減っているな。」

「ああ、半分以上死んでしまったのか。」


 街の人々は英雄達を褒め称えた。

 だが、王国軍の兵士の数を見て落胆の声を上げる人もいた。

 

 確かに今回の戦争では人が死にすぎた。あの戦場で見た王国軍の兵士達の死体の数の方が、ここにいる王国軍の兵士の数より明らかに多かった。

 自国を守ることは出来たが、犠牲者が多すぎた。

 

「出迎えありがとう諸君。だが我々は全員疲れている。まずは休みたい。」

「了解です!すぐに兵舎に案内しますので少々お待ちください。けが人の治療はどうしますか?」

「いや、ここにけが人はいない。みんなけがを負わずに済んだんだ。」

「なんと!」


 ダリウスの兵士が驚愕する。


「さすが王都の兵達!今回の戦いを生き残った猛者達は全員傷を負うことなく生き延びたと!」

「死んだ者達が弱かったみたいなことは言うなよ?」


 アドルフの顔つきが怖くなる。もともと怖い顔だけど。

 殺人マシーンにあんな感じに睨まれたら私だったら気絶しちゃうな。


「え、ええ。もちろんですとも...。すみませんでした。」

  

 兵士のおっちゃん、よく耐えた!


 まあすごい震えてるけどね。


「じゃあ道案内はしたからここまでだ。」


 アドルフは私の方に振り返った。


「あとこれが報酬の金だ。金貨20枚。銀貨20枚。銅貨20枚が入っている。だいたい一ヶ月分ぐらいの食費と宿代ぐらいある。」

「お金の使い方教えてくれない?」

「おまえ、お金の使い方も知らなかったのか...。わかった。」


 また怪しまれちゃったかな。せっかく道中結構話していたのにね。


「銅貨は10枚で銀貨1枚だ。銀貨は10枚で金貨1枚だ。簡単だろ?」

「それで宿とか食事の相場は?」

「宿は一ヶ月で金貨5枚ほどだ。安いとこはもっと安い。あとだいたいその辺の食堂なら銅貨5枚ほどで一食分だべられるぞ。」


 なるほど。金貨一枚は一万円ほどか。ということはもらった額は21万円ほどだ。

 ちょっとくれすぎじゃないかなあ。


「少しお金が多すぎない?まあ、ありがたいんだけど...。」

「それは服を買う金とかもあるあらだ。それ一枚というわけにも行くまい。」


 アドルフ!なんて紳士なんだ!殺人マシーンとか言ってごめんよ!


「おまえのことは絶対に誰にも言わない。だから我々と敵対しないでくれるとありがたい。」

「もちろんだよ!私に何もしない限り私は王国とは敵対しないから安心してね!」

「そうか...。感謝する。」


 私はアドルフと約束を交わし、ようやく王都の兵達と別れることが出来た。






「いっちゃいましたね。」

 

 スキップをしながら去って行く黒い少女を見送ったあと、レックが言った。


「ああ、そうだな。」

「何者だったんですかね。あの子。」

「わからん。だがアレは決して手を出してはいけないものだ。それだけはわかる。」

「でも悪い奴ではにように見えましたが...。」

「ああ、悪い奴ではない。だが恐ろしものだ。王国と敵対しないでくれればいいんだが...。」

 

 アレと敵対したら国が滅ぶ。

 アドルフはそんな気がした。






 さてと、どうしようか。


 もうすぐ暗くなりそうだし、とりあえず宿を探すことにした。


「それにしても字まで読めるとはね。」


 知らないもいであるはずなのに街に建っている店の看板の文字は全部読めた。

 あのふわっとした女神様が、しっかりとこういうところにも配慮しているとは驚きだ。


「じゃあとりあえずあそこの宿にでも入ろうかな。」


 私は試しに目の前にあった宿に入ってみた。


「こんにちは。ここに止まりたいのですが。」

「ようこそ、いらっしゃいませ。お一人様ですか?それと何日ぐらいお泊まりになられますか?」


 受付にいたのは、ブロンドヘアーのきれいな女の人だった。


「一人です。泊まるのは、...えーと、とりあえず一週間で。もしかしたら伸びるかもしれません。」

「わかりました。一人部屋は一週間でしたら値段は金貨1枚になります。」


 なんかあったときのために一週間にしておいた。

 一週間で金貨一枚ってことは、一ヶ月だと金貨4枚ってところか。

 

 まあ妥当な値段かな。


「すみません。シャワーなどはありますか?」

「もちろんありますよ!最近はシャワーがない宿はなかなか人が入らなくて。なのでここも先月から全ての部屋にシャワーを取り付けたんですよ。」


 それはありがたい!

 たぶん風呂はないことは覚悟していたが、シャワーぐらいはあってほしいと願っていた。

 タオルで体を拭くだけっていうのはちょっとね。


「わかりました。ありがとうございます。金貨一枚です。」

「はい。頂戴しました。ありがとうございます。お部屋は6号室になります。これが部屋の鍵です。ごゆっくりしていってください。」


 とりあえず宿は確保した。

 持ち物はお金が入った巾着だけだったから、私は受付のお姉さんにお辞儀をすると、店の外に出た。


「おなかは魂食べたからすいていないけど、とりあえず街に出てみようかな。」


 そういえばまだ魂以外も食べていなかった。試しになんか食べてみようかな。

 

 なんだか楽しくなってきた。夢の一人暮らしだしね。






 住宅地から少し離れた人気のない橋の下で二人の男が大きな麻袋を持っていた。

 

「この辺でいいか?」

「ああ、いいんじゃないか。ここら辺は商店街や住宅地から離れているし人通りも少ない。それに土も軟らかいから掘りやすいしな。」


 二人は麻袋を乱暴に置くと肩にひもでかけてきたスコップを持ち、穴を掘り始めた。


「それにしてもあんなにいい女だったのにこんなのになっちまうなんてな。」

「グロッグの旦那は扱いがひどいからな。先月も二人だめにしちまった。」

「あの豚ちょっとイカれてるからなあ。」


 そんなことを言いながら二人が穴を掘っているときだった。


 ゴソッ


 麻袋が少し動いた。


「こいつまだ生きていたのか!」

「どうする?やっちゃうか?」

「やるしかねえだろう。こんななりじゃ娼館にも売れやしない。使い道がないからなあ。」


 一人がスコップを高く持ち上げ麻袋に振り下ろそうとしたときだった。


「何をやっているんですか?」


 そこにいたのは白い髪と肌をした、赤い目の美しい少女だった。


 二人は最初その少女に見とれていた。

 こんなに美しい者を見たことがないと。

 それは天使とはいえないような美しさであった。天使の真逆の美しさだった。


 


 


読んでくださってありがとうございます!評価、ブックマーク、感想などがありましたらうれしいです!

また、誤植などがありましたら教えてくださるとありがたいです!

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