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朝起きたら超絶美少女になっていた俺ですが、男嫌いだった毒舌妹の様子がおかしくて貞操の危機です。  作者: たまやん


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第9話 新生!?美少女だらけの生徒会

 放課後。

 教室での授業をなんとか乗り切り、俺は緊張の面持ちで生徒会室の前に立っていた。

 この身体になって、初めての生徒会活動が幕を開ける。


「……ふぅーっ」

 

 俺は深く息を吐き、心を落ち着ける。

 後ろには、鞄を持った姫子がピッタリと付き従っていた。

 何を隠そう、実はこの毒舌妹も我が生徒会の一員であり、会計担当なのだ。

 彼女の計算能力と冷徹な予算管理は、生徒会の心臓部といっても過言ではない。


 俺がドアノブに手をかけたまま躊躇していると、背後から冷ややかな声が飛んできた。

 

「……早く開けてくださいよ。ドアの開け方を忘れるほど知能が低下したのですか?」

「お、おう。悪い」

 

 いつもの毒舌だ。

 そうそう、これこそが毒リンゴ付き白雪姫じゃねーか。

 調子戻ってきたな! と内心で安堵しつつ、俺は意を決してドアを開けた。


「失礼します!」

 

 ガチャリとドアを開け、堂々と入室する。

 その瞬間、既に集まっていた生徒会メンバーの視線が、一気に俺に集中した。

 見知らぬ人物の入室に一瞬驚いたようだが、事前に教師陣から説明を受けていた生徒会メンバーは、すぐにその見知らぬ生徒が生徒会長だと察したようだ。


「うっわー! もしかしてもしかして! 翔会長っすか!? 女の子になったって噂は本当だったんですねー!」


 真っ先に駆け寄ってきたのは、栗色のポニーテールを揺らした元気印の後輩だった。

 1年生で書記を務める、天道てんどうひよりだ。

 見ての通りのハイテンションガールで、生徒会のムードメーカー的存在である。


「ああ、こんな姿になったけど、俺が生徒会長の翔で間違いないよ」

 

 俺は髪をかき上げ、キリッとした表情を作ってみせた。

 

「カッコよさは一時的に失ったが、代わりに可愛さを手に入れた。どうだ、似合ってるだろ?」

「あっはははは! このナルシストっぷりは確かに会長っすね! ウケる!」

 

 ひよりは腹を抱えて笑うと、おもむろに俺の胸に手を伸ばしてきた。


 むにゅ。

 

「うおっ!?」

「おお、これは間違いなく本物っすね! すげー弾力! 確認のために下も触って良いっすか?」

「い、良いわけ無いだろ!?」

 

 俺は顔を真っ赤にして飛び退いた。

 セクハラだ! 女子校なら日常茶飯事なのかもしれないが、俺のメンタルはまだチェリーボーイなんだぞ!


 すると、背後から殺気が放たれた。

 

「何やってるんですか馬鹿ひより。一度死んでみますか?」

 

 姫子がひよりの背後に忍び寄り、そのこめかみを両手の拳でグリグリと締め上げ始めた。

 

「いたたたたたたたた!? ちょっ、姫子先輩!? 女の子同士のスキンシップじゃないですか! 痛い痛い!」

「スキンシップにも限度があります。兄さんの身体は私の管轄下にあるのです。許可なく触ることは万死に値します」

「わかりました! じゃあ姫子先輩のも触ってあげますよ! あ、揉めるほど大きくないですもんね? って、いたたたたたたたたたたた! 許して! 調子乗りましたごめんなさい!」

 

 グリグリからアイアンクローへと変化したその圧力は倍増し、ひよりが悲鳴を上げる。

 頭を締め上げられながら挑発するとは、なんて命知らずなやつだ……。俺は戦慄した。

 っていうかいつから俺の身体は姫子の管轄下になったんだ。俺は誰のものでもないぞ!?


 クールで大人しい姫子と、元気いっぱいなひより。

 対照的な性格だが、こう見えてこの二人は仲は悪くない。

 ひよりは姫子の実務能力と美貌を尊敬しているし、姫子もひよりの行動力は認めている……はずだ。たぶん。


 じゃれあう(?)二人は置いておいて、俺は他のメンバーに向き直った。

 ソファに優雅に座り、紅茶を飲んでいる女性がいる。

 

夕映ゆえ先輩、そういうわけで、こんな姿になりましたが俺です。遅れてすみません」

「わぁ、翔くん本当に別人みたいになったんだねぇ。でも、すごく可愛いわよ」


 おっとりと微笑むのは、3年生で副会長の桐生夕映きりゅうゆえさんだ。

 以前の生徒会長であり、俺が引き継いだ後は副会長としてサポートしてくれている。

 落ち着いた雰囲気の“お姉さん系”だが、少し世間知らずで天然なところがある、皆の癒やし枠だ。

 そして何より、その制服のボタンが弾け飛びそうなほどのダイナマイトボディは、全男子生徒の憧れの的ともっぱらの噂だ。

 今の俺(Fカップ)と並んでも遜色ない、というか俺よりデカいかもしれない。


「でもぉ、こうなっちゃうと、透ちゃんは生徒会で唯一の男の子になっちゃうわねぇ」

 

 夕映さんがぽつりと言う。

 そう。この生徒会室には、もう一人、メンバーがいる。


「いや、確かに見た目も性別も女子にはなりましたが、心はイケメンの翔のままなんで! とおるにはさみしい思いはさせませんよ? なぁ、とおる!」

 

 俺は部屋の隅でモジモジしていた小柄な影に声をかけた。


「翔先輩……!」

 

 その人物が、パッと顔を上げた。

 大きな瞳が潤み、感動に打ち震えている。

 華奢な肩、サラサラのショートヘア。

 その姿はとても可愛らしく、守ってあげたい感マックスの美少女……に見えるが、違う。

 彼は、れっきとした1年生男子、庶務の水無瀬透みなせとおるだ。

 男子の制服を着ているが、それが「男装コスプレ」に見えてしまうほどの可憐な容姿の持ち主である。


「姿は変わっても、先輩はやっぱり先輩のままなんですね……! その自信に満ちた言葉、間違いなく僕の憧れの翔先輩です!」


 透はいつも女の子に間違われる自分が嫌いで「男らしくなりたい」とイケメンでスポーツも学力も優秀な俺に憧れて生徒会に入ってきた。

 尊敬する人は誰かと聞かれると即答で俺の名を挙げる、可愛い後輩だ。

 俺も、姫子と彼の手本になる人物でありたいと思い、自分磨きを欠かさないように生きてきた。

 しかし、俺自身が「女の子」になってしまったことで、彼の「男らしい先輩への憧れ」を裏切ることになるのではないかと危惧していたのだが……。


 どうやら杞憂だったようだ。彼の澄んだ瞳には、変わらぬ尊敬の色が宿っていた。


「身体能力は落ちてしまったけど、お前の先輩として誇れるように頑張るからさ。最高の男になれるように一緒に頑張ろうな!」

 

 俺はニッコリと笑いかけ、透の手を取った。

 透は両手を合わせて、うっとりとした表情で頷く。

 

「はい! 僕も先輩みたいに、皆に慕われる立派な人物になれるようがんばりますね!」


 ああ、なんて良い子なんだ。この素直さこそが透の魅力だ。俺たちは熱い師弟の絆を再確認し合った。


 ――しかし。


「いやぁー、どっちもそんなに可愛い外見で『最高の男』は無理でしょ。説得力ゼロっすよ」

 

 ひよりがケラケラと笑いながらツッコミを入れた。

 ぐぬぬ、痛いところを突く。

 

「ええ、そうですね」

 

 姫子もひよりを開放し、冷ややかな視線で同意した。

 

「兄さんには『最高の男』ではなく、『最高に可愛い女の子』になっていただきたいと思います。私がプロデュースしますから」

「そうそう! 美少女生徒会長と男の娘庶務! これは生徒会の新しい売りになるっすよ! 写真集出しましょう写真集!」

「おぉ、いいですね。売上は生徒会費に計上しましょうか」


 勝手に盛り上がる女子二人。

 いやいや、待て待て。

 俺はこころの中で叫んだ。

 

(お、男に戻れないかどうかはまだわからないし! それに『最高の男』ってのは外見じゃなくてハートの問題だから! 気持ちの問題だからな!)


 こうして、美少女(元男)、美少女(毒舌)、美少女(天然巨乳)、美少女(元気っ子)、美少女(男の娘)という、傍から見ればとんでもない美少女空間と化した新生生徒会が、波乱含みでスタートしたのだった。

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