表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/56

春の訪れ16

「転生者だからって言われたって分からないんだよ‼ 何も‼ 昨日の今日で何もかもがわかるなら、神様なんかお呼びじゃないだろ⁉」

「恵まれてるって言ってんの‼‼ 努力しなくても、下界との(つな)がりだけで比べ物にならない存在力を持ってる癖に‼ そんなことも知らないで偉そうにしちゃって‼‼」


 燃え上がった炎が中々(おさ)まらないように、諍いは一度始まると長く引きずってしまいがちだ。

 それはどんな場所、文化、世界であっても変わらないのかもしれない。

 しかし、当然があるならば。


「グルゥオオオオオオオオオオオオオオオオ‼‼‼」


 (かく)れるべきものが(さわ)げば見つかってしまうのもまた、当然であるだろう。

 両者は(そろ)って、しまった! という表情こそするが、逸人は対応のために。ツインテエルは追及(ついきゅう)のために視線を動かす。


 そうすると大熊は自然とツインテエルを狙う。

 目が合った獲物(えもの)と、まだこちらを見てない獲物。

 狩りやすいのは圧倒的に後者だと知っているから。


 上から―――・・・そう、上からだ。

 振り下ろされたのは左腕。

 しかし逸人には、ビルがすごい勢いで倒れてきたように感じられた。それほどに熊の身体も腕も大き過ぎた。

 なのに、その時間は(わず)か1秒にも満たない速さで(せま)る。


 最速の攻撃と言われるビンタを振り下ろす状況は、まさに()でも潰すかのよう。

 逸人が反応できたのは、紛れもなく天界という世界の(ことわり)のおかげだろう。

 濃縮(のうしゅく)された時間の中で、ツインテエルを(かば)うために前へ。

 続いて飛び出し過ぎないように踏み止まると同時に姿勢を低く、腕をクロスさせつつ頭の上に。


 これらをツインテエルが立つ地面より高い足場たる木の根の上で行う。

 本当に、目にも()まらぬ一瞬の出来事だ。


 バガギャッ‼‼ という音は木の根が耐えられなかった音。

 釣られるようにツインテエルが音を目で追う。

 (にら)んだはずの逸人を目で(とら)えたのはこの時だ。


 意外にも逸人は原形を(くず)すことはなかった。

 意味があるのか不安だったクロスアームブロックも、お世辞(せじ)程度には役に立ったのかもしれない。

 ただ衝撃が伝わった先の足場は無事では済まず、それこそ脚の形にへこみ、逸人の3割ほどが木の根と同化している。


 なんであんな所に・・・? 怪訝(けげん)に思うのも(つか)()

 ブオンッッ‼‼ と一陣の風。

 髪が乱れるという女性らしい感想がチラリと脳裏(のうり)(よぎ)るが、網膜(もうまく)には別の映像が()けつく。


 絶望だ。


 絶望的な差が目の前にあった。

 埋まっていたはずの逸人の身体は、強烈な横なぎによって消えていた。

 けれど大熊は探さなかった。

 その必要がないからだ。


「グォガァアアアアアアアアアアァァァァァ‼‼‼」


 だって(かたき)は目の前に居るのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ