春の訪れ2
見た目からビルそのものな学び舎へ、そして講義室まで状況は変わらず。
部屋へ入って別れる間際でも、手を振って送り出す母親仕様。
よって注目も集めたまま。
「皆さん。入学おめでとうございます!」
しかも、そのまま話を始めるママエル。
恥ずかしさが有頂天で踊り狂う逸人は、苦し紛れに講義室に目を向ける。
実を言うとそんなつもりはなかったが、顔を隠すように伏せたら他に見えるものがなかったせいだ。
備え付けの机と椅子。その切れ目には階段が3列。最後方は通路か。
というか、この机と椅子・・・名ばかりの板と板だな。コレは。
机の下に物置程度の隙間こそあるが、机と椅子どちらにも移動という概念は無く、高さすら合わせられない不親切仕様。
使い難かったりはしないのだろうか? そんな疑問が当然のように浮かぶが、同列には座布団のようなものを持ち込んでいる天使も見受けられたため、生徒側が工夫しろという暗黙の了解であるかと受け取れた。
確信を得るために部屋の中をざっと見ますと。
(数が少ない・・・?)
部屋に生徒が数えるほどしかいないことに気付く。
自分を含めても10人ばかり。
(いや、人じゃないのか・・・天使だから、10使? あ、自分は天使じゃないから9使1人? ちょっと呼び方に迷うな)
などと、馬鹿な考えで脳を働かせていると。
最前列に座る天使の後ろ姿が印象的すぎて閃く。
(あれはツインテエル? その隣はメダウナだったりするのかな?)
あまりにも太い2本の髪が幅を利かせ、その隣で机に突っ伏す2人組には見覚えがあった。
なんとなくツインテエルなら最前列に座りそうだなとか、メダウナはそれに付き合わされてそうだなというイメージがあったのも大きい。
確かめてみたい気持ちはあったが、今はタイミングじゃないと思ったし、なにより。
「ここまで説明しましたが、分からないことがあったら、気兼ねなく後から先生に聞いてくださいね! 私は皆さんの担任ですから!」
聞き流せない言葉があったからだ。
担任制。
大学ではあまり馴染みがないものの、小中高ではお馴染みの制度。
もう少しわかりやすく噛み砕くとクラス制。
少数人を担当者が受け持つことで管理しやすくする方法であるが、少数人が同じ面子で集まる都合上、グループによるカーストなどが形成され問題となるケースもしばしば。
まさかここで鉢合うとは。
それが逸人の素直な感想だった。
なぜそう思ったのか?
それは制度の良い悪いではなく、異分子である逸人にとっては都合が悪いからだ。
クラスという枠組みで区切られると、連帯感や協調性を強いられる場面が増える。
あるかは知らないが、学年行事などがわかりやすいだろう。
体育祭や文化祭を初めとして、各所での成績や課外授業での移動など。
個人として、逸人はこれらがあまり得意ではなかった。
いつもどこか冷めた目で見てしまっていたからだ。
にもかかわらず、今まで以上の少人数で。
さらには、転生者としてあらゆる面で注目を集めながらというのは・・・。




