表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/27

天使の世界5

「・・・・・・・・・・・・?」


 女の子からきっと、ありったけの勇気を消費しての告白。

 けれども、逸人の答えは沈黙。

 しばらく待っても反応がないせいで、女の子は首を(かし)げ、(しま)いには怒る。


「おい! 無視するなよ‼ ヒデェじゃねぇか‼ そんなに好みじゃねぇってのか⁉」

「えっ? あ、ああ! あまりにも急だったから、理解が追い付かなくて」

「そんなに難しい話はしてねぇよ‼‼」

「嘘でしょ⁉ 人生における最大の分岐点(ぶんきてん)だと思うけど⁉⁉」


 人生。

 そう人の生で省みれば、伴侶(はんりょ)を選ぶというのは1つのゴールである。

 特に結婚の制度が設けられ、一対(いっつい)がルールとして定められていれば、それはそれは大きな分岐点となる。


 ただし、思い出すべきは逸人の現在と、この世界。

 少なくとも逸人は自認において死人である。

 であれば・・・判断のための基準が生前と一変していてもおかしくはない。

 そうすると女の子の告白に勇気が必要だったかは不明となるが。反応を見る限り、そこはあまり違いはないのだろう。


「なんでだよ‼ お前は男なんだから―――」


 女の子は途中まで口にして、はたと逸人の格好に目が行く。


「お前・・・もしかして転生者か?」

「・・・たぶん、そうだと思うんだけど」

「なるほどなあ‼ (あせ)ったぜ! そんなに俺に魅力(みりょく)がねぇのかってよ・・・でも転生者なら仕方ねぇよな‼」

「っ⁉ そうなのかな⁉」


 ガッ! と急に肩を組まれたことで、またしても緊張(きんちょう)を増す逸人。

 一瞬でも身体が離れて安堵(あんど)したところへ不意打ちを喰らい、目まぐるしく変形するパーソナルスペースに(まど)わされ続ける。


「だってまだ転生してきて日が経ってねぇだろ?」

「―――・・・つい、さっきのことで」

「そうだよな! なんにもわかってねぇんだもんな‼ そうだと思ったぜ! そうじゃなきゃ迷ったりしねぇはずだもんよ‼」


 立て続けに、今度は急激に顔を近付けられてタジタジの逸人。

 女の子が顔を近付けた理由が威嚇(いかく)威圧(いあつ)だったと知る(よし)もない。


「だったら色々と困ってるんじゃねぇか? 聞きたいこととか、わからねぇことばっかりだろ?」

「そう、だね。教えてくれる?」

「おうよ! 任せろ‼ そんじゃ、話ができる静かな所に行かねぇとな‼ さっきみたいに(から)まれちまったら雰囲気が最悪になっちまう」

「いや、雰囲気とかは気にしないんだけど・・・!」

「そうか? でもま、図書室でいいだろっ! 図書館が別にあるから、穴場なんだよ‼」


 有無を言わさぬ積極性で肩を組んだまま、組まれたまま歩き出す両者。

 教員棟が遠退(とおの)く中で、これでいいのか? どういう状況なんだ? と困惑(こんわく)し続ける逸人だったが・・・そんなまともな思考も。腕というか、脇腹というか、この中途半端な部分に当たる(やわら)らかさに乱され、霧散(むさん)してしまう。

 半分ほど押し出された腕の所在が見つかることはなく、その感触にドギマギしている間に図書室へと名前も知らない女の子に連行されてしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ