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ex.5 とある術師の推し活日記②


 ああ。


 ああ。


 ああ……。



「目が……合ってしまった」

「見つめ合ってしまった」


 私は緩む口元を押さえ、なんども緊張を保とうとする。

 いかんな。どうにも顔の筋肉が、言うことをきかない。


 しかし、ああ……。


「これで彼女は、私のことが気になって仕方がない」

「きっと今も、私のことを――」


 困った場面で、颯爽と現れる救世主。

 好感度は爆上がりに違いないのだ。


「ついでに、目障りな小僧にも、忠告ができた」


 良いことずくめだ。

 これは祝杯をあげなければな。


 そう思い、壁に作りつけの棚に向かう。

 ずらりと並んだ銀の缶。

 いくつかラベルを確認し、とっておきの茶葉を選び出す。


 開けた缶に顔を近づけ、豊潤な香りを吸い込んだ。


 ああ、次はきっとあなたと――




* * *


 狭い1K。

 一人用のテーブル周りを、ぐるぐると歩き回る不審な男。


――男は失念しているのだろうか。

 正体を隠すため、相手に認識阻害をかけたことを。







挿絵(By みてみん)


お読みいただきありがとうございました。

時系列としては「弱い毒のような呪い③」の直後の出来事です。

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