第五十二話
シグルド、ネフタス、ロイは街の外に出てきた。
天気は曇り、いつ雨が降ってもおかしくない状態。
ネフタスは焦っていた。自分を一目見ただけで人間ではないことに気づいたロイに。
もし、自分がロイと戦ったらどうなるかのシミュレーションもしたが、5秒もかからずに負けると直感的に判断した。
(シグルドさんは強い。だけど、この人も強い、この二人がまともにやりあったら......街の一つくらいなくなるかも....。それにこの人の剣、間違いない、ダインズレフだ。あいつも僕に気づいたみたいだけど...。今はこの二人を止める方が先か...、いやいや、そんなことしたら僕が...)
「ネフタス」
「は、はい!」
シグルドの声に驚き、ネフタスの声は裏返った。
「止めるなよ。てか、止められねぇか。俺とロイが本気でやったら」
「...はい。あの人は一体何者なんですか?ダインズレフを使える人間がいるなんて...」
「ロイの持ってる剣は業物なのか?」
「知らないんですか?シグルドさんの探している"秘刀・クサナギ"の対極となる存在。"魔剣・ダインズレフ"。本来、人間がもつと精神支配され、自我を保てなくなり、生きながらに死ぬんです。だけどあの人からはそういったものが感じられない。あの人はいったい...」
「シグルド、そろそろ始めないかい?」
ロイが10mほど先から言う。
「おう。いいぞ。ネフタス、下がってろ」
ネフタスはシグルドに言われ、邪魔にならないとこまで下がる。
(できれば怪我しないでください...)
ネフタスは静かに祈った。
「さぁ、始めようか。『不死鳥剣』」
ロイは白く輝く炎に包まれた。
「こいよ」
「君は魔法を使わなくてもいいのかい?」
「お前忘れたのか?俺の魔法はーーー」
「僕は知ってるよ。あの『眼』の魔法のこと」
「...ありゃ奥の手だ。使わせてみろ」
「そう、分かったよ」
『我の力も使えよ』
「まったく、空気を読んでよね。今再会を喜びあってるじゃないか」
『そうは見えん』
「まぁいいや。じゃ、君の力使わせてもらうよ」
「いいからさっさとこいよ」
「一発目はサービスだから。避けてね。『陽炎』」
シグルドの目の前から消えた。
「なっ!?」
そしてシグルドの目の前に現れ、ロイは剣を振る。
それを辛うじて避けるシグルド。
「お♪やっぱり避けてくれた♪嬉しいなー。やっぱりシグルドは強いや」
「...あいつも強くなってるな。こりゃ、ちっとばかしやべぇかな」
シグルドは身を引き締めた。




