第四十五話
「さて、俺も行くかな」
シグルドはそう言って街の方に歩き始めた。
「どこにいくんですか?」
「肉をもう少し買ってくる。今の量じゃ足りないだろう。それに、金はまだあるからな」
「そうですか?けっこうあると思いますけど...」
レイナがそう言うとシグルドはレイナの肩を指差した。
「サラちゃんがどうしました?」
「サラって、けっこう食うんだよ。軽く俺の倍くらいは食うな」
「えっ!そんなに食べるんですか!こんなにかわいいこが?」
そう言ってレイナはサラを抱き上げた。
「キュア~...」
サラは気持ち良さそうに、目を細めている。
「まぁ、子供とはいえ魔物だからな。肉食だし、野生だったら人だって食うはずだ」
「そ、そうなんですか...、サラちゃんはそんなことしませんよね~」
レイナがそう言うと、
「キュア!」
と、サラは元気よく返事をした。
「まあいいや、とりあえず行ってくる」
シグルドは再び街に向かって歩き始めた。
「......この魔力の感じ、一体誰が...」
シグルドはわずかな魔力を感じ、路地裏に向かった。
「これは...」
路地裏には数人の男が倒れてた。
見たところ死んではいない。気絶しているだけのようだ。
「...強いな、急所に一撃、上手く力加減されてるな」
男たちをみてシグルドは小さく呟いた。
「......考えても仕方ないな」
シグルドはその場を後にし、店へと向かった。
シグルドが帰ってくるとそこには先程の少年と、小さな女の子が立っていた。
「あ、シグルドさーん!ちょうどよかったです。これから自己紹介しようと思っていたんです」
「そうか、俺はシグルド。こいつはレイナ。お前らは?」
「僕の名前はネフタス。こっちは妹のミィ。今日はありがとうございます」
ネフタスとミィは頭を下げた。
「よろしくな。今日はいっぱい食えよ」
「はい!あ、これ少しですけど野菜です。よかったらどうぞ」
「ありがとうございます。さすがに栄養バランスが偏りますもんね」
レイナの言葉にミィはコクコクとうなずく。
「よし、食うぞ!」
四人と一匹は食事を始めた。
シグルドたちは食事を終えた。
レイナはサラと遊んでいる。
「あいつ、楽しそうだな。ミィだっけ?お前も行ってきたらどうだ?」
シグルドに言われ、ミィはネフタスを見る。
ネフタスは笑顔でうなずいた。
ミィの顔がパァーっと明るくなり、レイナの所に走る。
「ミィの笑顔、久しぶりにみました。...で、僕になにか用なんですよね?」
ネフタスの顔が急に真剣になった。
「...ほう、どうしてそう思う?」
「僕の勘、ですかね?そう思ったんです。で、どうなんですか?間違ってます?」
「いや、ビンゴ、当たりだ。お前に聞きたいことがある」
「奇遇ですね。僕もあるんです」
「へぇ、じゃ俺から言っても言いか?」
「どうぞ、ご馳走になったのでなんでも」
「そうか、じゃあ一つだけ。お前、何者だ?」
シグルドは真面目な表情で言った。
「...何者、って言われましてもね。みての通り人間じゃないですか?」
「いや、お前は少なくとも人間ではない」
そしてシグルドは表情を変えずに
「さっき、お前が初めてここに来たとき。俺はお前が話しかけてくるまで気づかなかった。あの距離で俺が気づけないはずないのに」
「...そんなこともありますよ」
ネフタスは笑ってみせた。
「それだけじゃない。路地裏の男たち、お前がやったんだろ?」
ネフタスは黙りこんだ。
「もう一度聞く、お前、何者だ?」




