第三十八話
二人はパイヤンの街の外に現れた。
「到着っと。おぉ!けっこういい街じゃん。サンドリアよりちょっと小さいかな?」
ロイはなに食わぬ顔で歩き始めた。
そんなロイをリオンは怪訝な顔でみた。
「どうしたんだい?早くいこうよ」
「......お前、『転移酔い』しないんだな」
「あー、特有の周波が脳を刺激して、耐性がある人、もしくは、慣れてないと、その周波に酔い、激しいめまいと吐き気に襲われる、ってやつかい?」
ロイは原理を語った。
「.....原理までは知らんが、そういうやつだ」
「いやー、ね、諸事情により小さい頃から転移ばっかしてたんだよね。最初は慣れなかったけど、いつのまにかなんも感じなくなっていたんだよね」
「.....悪い、少しだけ休ませてくれ。まだ少し慣れてないんだ」
「仕方ないな~、少しだけね」
リオンはその場に座りこんだ。
ロイは早く街に行きたくてうずうずしている。
「.....少し落ち着け、待たせて悪いとは思ってるが」
「うーん、早くしてよね。僕は街に早く行きたいんだから」
ロイは落ち着きがなく、あるきまわっている。
「.....一つ、いいか?」
「なんだい?」
リオンは座ったまま質問した。
「なに、たいしたことじゃないが、俺が初めてお前をみたときと、今、だいぶ違うなと思ってよ」
リオンの質問にロイは
「ははは、なんだい。そんなことかい」
ロイは笑いながら言った。
「あの時はね、シグルドがいたからだよ。シグルドの前ではあくまでも真面目でいなきゃいけなかったからね。でも、今は違う。たとえシグルドがいても、僕の行動、本心は変わらないよ。君が最初に見たのは僕じゃなくて建前だけの僕。今の僕が本当の姿だよ」
ロイはそう言って、微笑んだ。
「じゃ、行こうか」
ロイはリオンに手を差し出した。
「そうだな、そろそろいいだろう」
リオンはロイの手をとり立ち上がった。
そして二人は街の中へと歩き始めた。
「栗饅頭買ったらさっさと行くぞ」
「わかってるよ、でもさ、一つ問題があるよ」
「なんだ?言ってみろ」
「僕、サンドリアのお金は持ってるけど、ここのお金は持ってないよ」
数分間の沈黙。
「どうしようか?」
「...俺が立て替えるから後で払えよ」
「わかったよ。じゃあ、買ってくるね」
ロイはリオンからお金を受けとると走り出した。
「おまたせー」
ロイはたくさんの物を持って帰ってきた。
「...おい、俺は栗饅頭の金しか渡してないよな?」
「それはね、優しそうなお兄さんたちと勝負して勝ったから増えたんだ~」
ロイはノリノリで言った。
「一応聞くが、なんの勝負だ?」
「拳と拳の勝負に決まってるじゃないか!男の真剣勝負だよ、それいがいありえないね。ちゃんとルールは守ったし」
ロイはそう言うと胸を張った。
「...こりゃ相手に同情するわ...」
リオンはロイに聞こえないくらいの声で呟いた。
「じゃ、用事もすんだし帰りますか」
「あぁ、帰るーーーーわけねぇだろ!!アホか!!」
「あれ?やっぱしダメか。じゃあ、早くいくよ」
ロイはリオンの肩に手をおいた。
リオンは指輪に魔力を流し始めた。
「行くぞ『断罪の洞窟』」
そして二人は消えた。




