第三十七話
ロイは自分の部屋で刀の手入れをしていた。
「あーあ、シグルドといつ戦えるかな~。ま、今のままじゃ勝てる気がしないけど」
そんなことを言っているとリオンが部屋に入ってきた。
「今ちょっといいか?」
「うーん、少なくとも入ってから言う言葉じゃないとおもうんだけど、まぁいいや」
「そうだな、以後気を付けよう」
そう言うとリオンは軽く頭を下げた。
「で、何か用かい?行く日にちが決まった、とか?」
「なかなか鋭いな。そうだ。出発は明日。ボスにも許可は取ってある」
「おー、明日かー。いいね。わかったよ」
「じゃあ、明日また来る」
リオンはロイの部屋を後にした。
「...いいね。楽しみだ」
そう言うとロイは刀の手入れを再開した。
翌朝
ロイはフィンの部屋に向かった。
「ボスー、入るよー」
そう言ってロイはフィンの部屋の扉を開けた。
「おー、ロイくん、どうしたの?今日はパイヤンに行くんだよね?あ、もしかしてお土産かい?それなら栗饅頭をお願い。パイヤンの栗饅頭はおいしくてね」
「いやー、ちょっと聞きたいことがあってね」
「ん?なんだい?」
「僕はこれから、どこに連れていかれるんだい?」
ロイはさっきまで笑っていたが、今はもう、真面目な顔になっている。
「.....それはリオンくんに聞きなよ。でも、これだけは言っておくよ」
フィンは指を一本立てて
「自分の意思はちゃんともっておきなよ」
「どういうことだい?」
「ロイくんなら、なんともないと思うけど、一応ね、これから行く場所はそれなりに危険な所。意思なき人間は死ぬよ」
フィンはいつになく真面目な顔で言った。
「じゃ、僕は大丈夫だね。自分の意思はちゃんとある」
「そう、ならいいや」
「じゃ、行ってくるよ」
「うん、いってらっしゃい」
ロイはフィンの部屋を後にした。
ロイは歩きながら考えていた。
(意思なき人間は死ぬ、ね。僕には関係のないことだけど、覚えておくかな)
ロイはリオンの待つ場所へと向かった。
「やー、おまたせ」
「やっと来たな、行くぞ」
そう言うとリオンは袋から一つの指輪を取り出した。
「それはなんだい?みたところ魔法具みたいだけど」
「これは『転移指輪』装備者が行ったことのある所に行くことができる。距離によって使用する魔力が変わる。近いほど少なく、遠いほど多く。ま、よくある魔法具だな」
「へぇ、じゃあ、それでパイヤンに行くのかい?僕、ボスに栗饅頭頼まれてるんだけど」
ロイがそういうとリオンは頭をかかえた。
「はぁ、まじか、じゃあ、街に一回寄らないといけないのかよ」
「あれ?街にはいかないのかい?」
「とりあえず行くつもりはなかった。パイヤンの領土内にある場所にいこうと思ってたからよ」
「ふーん、まぁいいや、早く行こうよ」
「わかってるよ」
そう言うとリオンは指輪に魔力を流し始めた。
「つかまれ」
ロイはリオンにつかまり、
「行くぞ『パイヤン』」
二人は一瞬にして消えた。




