第三十三話
アジトの中を歩いていく二人。
「さすが元魔族の城だっただけの広さはあるね。こんなに広いんじゃ迷いそうなものだね」
「慣れればそうでもない。慣れるのに時間がかかったがな」
「へぇ、今度探険でもしようかな」
「そんなにおもしろいものはないと思うが」
「そういうのは求めてないよ。探険することに意味があるっていうものだよ」
「...あれがボスの部屋だ」
廊下の先には『玉』と書かれた扉があった。
「へぇ、こういうのは替えればいいのに。あれは魔族の玉座の間だったんじゃない?」
「玉座の間だったのは間違いないが、あの扉は俺たちがつけたんだ」
「え?」
「ん?」
しばらくの沈黙。
「ほら、行くぞ」
「う、うん」
ロイは我に返り歩き始めた。
二人は扉の前まできた。
(一体ボスってどんなやつなんだろう。きっとゴツゴツしてて、身長高くてメチャクチャ強いんだろうな~!)
「ボス!新入りを連れてきました!入ってもよろしいでしょうか!」
リオンがそう叫ぶが返事が返ってこない。
「よし、入るぞ」
「返事をまたないのかい?」
「返事がないときは入ってもいいんだよ。ウチのボスはちょっと変わってるからな」
「へー、楽しみだね」
ロイは扉を押して開けた。
「っ!?」
開けた瞬間に無数の矢が飛んできた。
「『炎精霊剣』」
ロイは咄嗟に刀を抜き、魔法を使った。
刀は炎に包まれた。
「『煉獄波』」
ロイは刀を振った。
すると、炎の斬撃が放たれ矢を焼きつくした。
「ねぇ、これは一体どういうことだい?」
ロイはリオンに言った。
「それはボスから説明してもらえ。ボス!どうですか!」
リオンはまた叫んだ。
「合格だよ。なかなか面白い人を連れてきたね」
奥の方から、一人の少年が歩いてきた。
「リオン、ボスに会わせてくれるんじゃなかったの?」
「ボスなら目の前にいるぞ」
リオンは少年を指差した。
「初めまして、僕の名前はフィン。よろしくね」
「へぇ、この子がボスなんだ。僕はロイです。よろしくお願いします」
ロイは軽く一礼した。
「それで、さっきの矢は一体どういうことですか?」
ロイはフィンに聞いた。
「あー、それはちょっとしたテストなんだ。咄嗟のことに反応できないといけないからね」
「あれじゃ、反応できないやつもいると思いますが」
「大丈夫、その扉は特別製でね。触れた人の魔力量によって飛んでいく矢の数が決まるんだよ。一本しか飛ばないやつもいたよ」
フィンはそう言って微笑んだ。
その顔は幼さがまだ残る顔だった。
「それで、合格っていうのは?」
「リオンくん、ロイくんを幹部に推薦するんだよね?」
「はい」
「うん。問題ないよ。仕事はしばらくないから、ゆっくりするといいよ」
「わかりました。そうさせていただきます」
ロイは一礼し、立ち去ろうとした。
「あ、ロイくん」
フィンがロイを呼び止めた。
「なんですか?」
「気をつけてね。入ったばかりなのに幹部になったのをよく思わないやつが少なくないと思うからね」
「わかりました」
「あと、敬語、止めてくれないかな?幹部のほとんどはタメ語だからさ」
ロイは少し考えてから
「わかったよ、ボス」
「うーん、できればフィンで!」
「...それはさすがに回りに示しがつかなくなるからやめとくよ」
ロイはやんわりと断った。
「ロイ、行くぞ。軽く案内してやる」
「じゃあね、ボス」
「なにかあったら来なよ~」
リオンとロイはボスの部屋を後にした。




